まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

角田光代 「今日もごちそうさまでした」を読んで

2011-09-01 10:44:36 | kakuta

食べるの大好き、お料理大好きの角田さんにふさわしい、「食」にまつわる楽しいエッセイ集。
インターネット上で連載されていたエッセイを、季節ごとをベースにまとめ直したもののよう。

季節を代表する「主役」級の旬の食材から、スポットライトの当たらない地味な「脇役」まで。
角田さん独自の切り口・表現で、なおかつ、その食材に対する熱い愛情に満ち溢れています。

            *  *  *  *  *

まず、「私の分類のなかで、鶏肉は魚類である。」という一文に、腰を抜かしてしまいます。
そして、「ごぼうと新ごぼうは違う。」という一文に、「うーん、なるほど!」と納得します。

食感を表す言葉の巧みさも魅力のひとつ。 例えば、アスパラは「ぽくぽく感」が命であり、
とろけるチーズをのせた出来たてトーストは、噛み切ると「ぬそー」と糸がのびるのです。

ごく一般的な「食」のエッセイにもかかわらず、これだけ笑わせてくれるのは何故なのかな?
行間から溢れ出んばかりの思い入れのある言葉が、ユーモアを誘い出すのかもしれません。

            *  *  *  *  *

ただ、「太っ腹」の角田さんにしては、地味過ぎる単色刷りの表紙。 ちょっとケチった?
色あざやかな食材が並ぶ表紙ならば、いっそうの食欲、購買意欲が湧いたと思うのですが…。

ある「四柱推命」の占い本によると、私は「食神」という「神様」?の割合が高いらしい。
そんな「食い意地」のはった私をも、幸せな気分いっぱいに満たしてくれるエッセイ集です。

Gochisou

コメント (4)
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