この本は、角田光代さんとイラストレーターの松尾たいこさんとの共著です。
お二人によるコラボは、あの「Presents」以来になるのでしょうか? 楽しみです。
松尾たいこさんのイラストには、「美しさ」の中に潜む「哀しさ」とでも言おうか、
ある種、独特のイメージ世界が広がっています。 ちょっと不気味で怖い感じもします。
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第1章・第2章から、ちょっと現実離れしたようなメルヘンの世界へ読者を誘います。
小学生くらいの子どもたちにも、読み聞かせてあげたくなるようなお話が続きます。
第3章になると、なんと生体遊離現象?「生き霊」が登場するオカルト仕立てになります。
そのせいかどうか、そこで語られる超弩級の「恋愛論」には、イマイチ実感が伴いません。
第4章には、忘れ物の多いそそっかしい母親のお話。 なんと電車の中にわが子(娘)を!?
笑いながら読んでいるうちに不思議な感じになって、突然、文章の雰囲気が一変します。
最終章は不思議な静けさに包まれた世界。 安らぎに似ているけれど、もっと透き通った感じ。
その国の扉を開けた時、誰が、どんなものたちが、私を迎えてくれるのでしょうか?
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あとがきに書かれた松尾さんの文章を読んで、私が最初に抱いた感想に説明が付きました。
どことなく懐かしい感じがするのだけれど、何だか不気味な感じを覚える理由が…。