本の帯に「みんながふられる小説」とあるように、登場人物がことごとくふられていきます。
まるで「失恋の連鎖」のように…。 そして、うまい具合に(?)、くるっと一回り。
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■ 連作の短編小説集。 これは、角田さんお得意のジャンルなのだ!
ストーリーが展開していく様は、「トリップ」や「空中庭園」に似ています。
■ それぞれのラブ・ストーリー。 正確には、失恋ストーリーなのですが…。
かつての彼(彼女)との思い出が、さりげなく散りばめられている「演出」が光ります。
■ 交際している時には、私には見えなかったもの、気が付かなかったこと。
別れてからしばらく経つと、「あっ、そういえば…」なんてこと、けっこうあるよね。
■ ストーリーの中に盛り込まれている、美術館やアートについてのエヒソード。
これは、角田さんご自身の実体験がベースになっていると思われます。
■ 角田さんのエッセイ集、「恋をしよう。夢をみよう。旅にでよう」(角川文庫)。
その中の「最近、心がふるえたことは?」に書かれています。 ご参考までにどうぞ。
■ そして、ラスト手前の「光の子」では、若きアーティストの独白が胸を打ちます。
まるで角田さんご自身の姿とオーバーラップするような、真に迫るような力を感じます。
■ 単なる「恋愛(失恋)小説」に終らせないような、素敵なエンディングの「光の子」。
最終章の「乙女相談室」は、角田さんからのとっておきの恋に効く「処方箋」みたい!
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この小説のようなことが起こるとするなら、私のところにも戻ってくるのかも?
ふった、ふられたを合わせると、まぁ5回くらいはあるので、けっこう可能性はある!?