人形劇団なみ日記

活動記録、制作日記、などなど。

ロミオとダイエット

2016年03月21日 | 作品について
ひらかた人形劇フェスティバルでは、パネルシアターを2本上演しました。

ひとつは、去年の秋にひまわりホールの宴会でお披露目した「三匹の子豚・日本語版」
そして、もうひとつは。
最新作「ロミオとダイエット」。
なんと、今回の枚方が初演でした!

さて、その「ロミオとダイエット」。
新作と書きましたが、じつは脚本が出来上がったのは20年以上も前なのです。
人形劇団なみの旗揚げから間もなく、たしか、ダジャレのタイトルから先に思いついて、ポータブルワープロ(!)で書き上げたもの。
ところが、立体の人形では、制作も操演も考えるだけで行き詰まってしまい、そのまま20年もデータのまま眠らせてしまっていたのでした。
やがて自分の経験値も上がりまして(年を取ったともいう)、立体の人形は一旦離れ、脚本はそのまま、パネルシアターならではの演出を加えることで、やっと初演まで漕ぎ付けたという次第です。

余談ですが、口三味線のよくわからないテーマ曲は、大御所チャイコフスキーの「白鳥の湖」から「序曲」。
プロコフィエフのバレエ組曲で、ずばり「ロミオとジュリエット」というのもあったのですが、こちらはどうもイメージに合いませんで…。

新作「寿限無」

2008年11月27日 | 作品について
以前から作りたいと思っていた、初の大人向け作品ができました。
古典落語「寿限無」を、片手遣い人形の掛け合いとしてアレンジしたものです。

「寿限無…」の長い名前に込められた思いはできるだけ原典に忠実に、でも対話はすべてオリジナルで構成しました。



今回、落語とは違う試みとして、名前の要素で漢字のプレートを作り、話者が受け渡す、という演出にしています。
台詞を声に出し、また自分でプレートを作りながら文字を見返していると、「毎度ばかばかしいお笑い」の向こうに、美しい言葉がいっぱい見えてきます。

観てくれるお客さんのご長寿も祈願する、おめでたい演し物に育ちそうな気がしてきましたよ。

やしの木のものがたり

2005年08月08日 | 作品について
今年の「いいだ人形劇フェスタ」には、「やしの木のものがたり」と「あんころもち」を持って行きました。

じつはこの2本、1993年、人形劇団なみが初めて上演した思い出の作品なのです。
そしてその記念すべき初ステージは飯田市知久町の歩行者天国。フェスタの前身である人形劇カーニバル飯田でのことでした。

「やしの木のものがたり」は、相方の発案によるオリジナル作品です。
主題がはっきりしていて、言いたいことはストレートに描かれていましたが、当時は2人とも未熟でしたから、主題をずばっと台詞で言ってしまうような、ストレートすぎるもので、ひとつの作品としては盛り上がりや変化に欠ける作品であったと思います。

それで、1996年に一度、私が全面的に手を入れてリメークをしました。

ところがその方法が大間違い。

ストーリーを膨らませ、視覚効果と音響でスケールを大きくしようとしたのです。
人形や大道具、舞台装置まで、これでもかと作り物を増やし、買ったばかりのパソコンで凝ったサウンドトラックを作ったり。
結局、稽古の時間が足りなくなり、道具の取り回しが二人の手に余るほどになりました。

そんなありさまですから、お客さんの評価も芳しくなく、自分たちにも不満が残り、それで、以来ずっとお蔵入りになっていました。


さて、私たちの飯田への上演参加が、去年で10回になりました。
それで、節目、というか新しい10年の始まりになる今年、ぜひ「やしの木…」を復活させたいと思いました。

もう一度、初心に帰って、今の自分たちにできる最高のリメークをしよう、と。

8年前に不必要に継ぎ足した部分はすべてそぎ落とし、主題を見つめ直して、むしろどんどんシンプルにしてゆきました。
その中で、登場する人形の役割を整理して、シナリオはまったく新しく書き直しました。
出遣いなのでケコミは使わないこととし、シンプルで機能的な舞台装置を設計しました。

出来上がったものは、飯田市内の高羽町南自治会館と飯沼南自治会館で上演させていただきました。
すべてが満足、とは言いませんが、1993年当時に抱いていた理想に、より近いものになったと思っています。
これからも上演を続けて、もっと育ててゆくつもりです。

じつは、人形たちのほとんどは、1996年に作ったものをそのまま使っています。
お蔵入りになっていた人形たちを何年かぶりで取り出してみると、どれもものすごく丁寧に作ってあって、とても大切に保存されていたからです。よく見ればあちこちに技術の拙さが見えるのですが、それを補って余りがあるほどの情熱を注いでいたのだなあと、昔の自分たちに教えられた気がします。

あんころもち

2005年08月08日 | 作品について
「あんころもち」の初演は1985年です。
東日本では同様の物語が「だんごどっこいしょ」などの名前で上演されており、出典は古典落語ではないかと思われますが、人形劇団なみで演っているものは、大阪大学創作人形劇団せせくらせ在籍中に、交流のあった聖和大学人形劇部わらべに伝わっていた「あんころもち」を参考に、シナリオを新しく起こしたものです。
せせくらせ時代から依頼公演で何度も活躍し、飯田でも幾度となく上演されています。

もともと主役の男の子、たごさく役をパートナーの女の子に任せ、私が残りの役をやる、というスタイルでしたが、いまの相方が東京出身…!関西弁の台詞は無理、ということで、人形劇団なみ結成後は私の一人芝居になってしまいました。


20年もやっていると人形も傷みますし、世代交代があったりします。

現在のたごさくは3代目、おじいちゃんとおばあちゃんは2代目になりますが、たごさくとおばあちゃんは、頭(かしら)のデザインを全く変えていません。
おじいちゃんの顔は少し変わりましたが、これも初演のときに描いていたイメージに近いものになっています。鼻から顎にかけてのラインの削り出し、学生時代にはまだ技術を持っていなかったもので…。