満天横丁に住まう妖怪のひとり言

満天横丁に住む満天と申します
最近、猫妖怪化してきており更新は不定期ですが…
ひとり言にお付き合い頂ければ幸いです。

アルカサル-王城- 青池保子

2008-07-30 | 漫画紹介
ヨーロッパの城で私が好きなのは…

イギリスにある「コーダー城」(マクベスの舞台になりました)
 今でもコーダー伯爵が居住しておるのが凄い

イタリアの「カステル・デル・モンテ」(8の形をしています)
 新聖ローマ帝国皇帝フリードリッヒが建てた8づくしの城です

ルーマニアの「ブラン城」(あのドラキュラ舞台の城です)
 トランシルバニア南部の山上にオドロオドロしく建っております

そいで、本日紹介の
スペイン セビリアの「アルカサル」…っと思って載せたら間違えた(笑)
コチラの写真はセゴビアの「アルカサル」どしたっ!

ディズニー映画「白雪姫」の、あのお城のモデルになった城です

ほいで本物のセビリアの「アルカサル」は…コチラでした

(ガハハハハハハハハハハ)
ご指摘をして下さった「城好き様」。助かりました
ありがとうございました~

イスラム時代の宮殿の跡地にムデハル様式で建設され
グラナダのアルハンブラ宮殿を意識した構造になっている。
スペインの国王である「ドン・ペドロ」が手を加え
イスラム文化が色濃く見てとれる素晴らしい城を作りました

さて今回ご紹介する漫画はこの「ドン・ペドロ」の生涯を描いた漫画です



いつも漫画を快く貸してくださる「たれぞ~さん」からお借りしました
ありがとうございます~~

ネタバレなしの各巻の内容は…
LANDHAUS」(青池保子HP)に載ってます
興味のある方はご覧下され~~(笑)


青池先生は、こんなに素敵に「ドン・ペドロ」を描いているんだが…


実際はこんな人だったらしい…本当かっ??

王と王妃の間に嫡男として産まれたのにもかかわらず
子供の頃から母子共に父王に疎まれ、
異母兄弟ばかりが可愛がられる姿を、折りにふれ見せられ
30代で早世した父王に代わり王になったのもつかのま
次から次へと裏切りの連続

異母兄弟達に裏切られ、古参の貴族達にも裏切られ
あげくの果てに実母にさえ裏切られる
素直で可愛かった少年も「やらなきゃ、やられる」の流儀を覚え
狡猾な宰相を殺し、裏切り者を成敗し続けた訳です

内情を知らなきゃ、残酷きわまりない行動としか思われない
のちに「ドン・ペドロ王」はその残虐性ゆえに
ヨーロッパ中から「残酷王」と呼ばれてしまうのである

しかし、自国の国民や商人達からは
慣例や身分に捕らわれない公平な姿勢を慕われ「正義王」とも呼ばれていました

青池先生の「アルカサル-王城-」を読むと
どちらも同じ「ドン・ペドロ」なんだな~っと良く解ります
裏切りのない国だったら…さぞかし良い王になっておったであろうの~

この時代のヨーロッパは、文化的国家とは程遠く
洗練されたイタリア諸国からみれば、田舎者達っと思われていました
「ドン・ペドロ王」が生きた世界は
ルネッサンスの終わり頃~1400年代の大航海時代幕開けまで。
時代の中心はイタリアからヨーロッパへと流れ始めた頃です

1350年にはヨーロッパの人口の1/3が死滅したペストの大流行もありました
「ドン・ペドロ王」も最愛の妻と子供をこのペストで亡くしています

この漫画を読んで一番深く思ったことは…
「徳川家康ってスゴイの~」でやんす

「おい!こりゃ~スペインの話だろう」っと突っ込みを入れてくださった方
ありがとうございます(笑)

いえね~
徳川家康も日本を統一した時に
一番恐れたのは「各地の領主の裏切り」だったと思うんですよ
自分の目の黒い内は良いが…自分が死んだ後に、また戦乱の世になったら…
そう考えたら夜も眠れなかったと思うんでやんす
現に彼の前。豊臣家の崩壊はそうやって起こった訳ですからの
しかも、いの一番に裏切ったのは、家康自身でやんすから(笑)

そこで各地の領主が裏切れない形を作った訳です
もちろん完璧な完成形は彼の孫、家光の時代に出来上がりましたがの~
そんな賢いジイさまが「ドン・ペドロ王」の家系に居たら?
時代小説や漫画を読むと何時も思うんです
ココにアノ人が居たらっと(笑)

日本は島国で隣国は海を隔てた所にありますから…
周り中が他所の国のスペインでは、そう旨くは行かないかもしれません

参勤交代と将軍のお膝元に各地領主の奥方や子供を人質にとり
領主勢力の弱体化を狙った家康戦法では
いざ、他所の国が攻めて来た時に
肝心な働きが出来なくなったかもしれませんし…
そんな裏事情がヨーロッパ諸国の裏切りと謀略を呼んだのかもしれません

1984~1994年の間、別冊プリンセスにて連載されていたこの漫画も
掲載紙休刊の憂き目にあい…このまま完結しないのかっ!?
っと思われておりました
2007年「プリンセスGOLD」に前後編読みきりで、やっと完結した作品です

私はといえば…25歳のころから雑誌連載で読み始め
28歳の結婚までの3年間セッセと読み続けておりました
てっきり遥か以前に完結しておるんだろうの~っと思っており
まさか13年もの長き空白があったとは思いもよりませんでした
ブログで仲良くなった「たれぞ~」さんの
「やっと完結偏が出た」との記事を読み
大変、驚いた次第であります(笑)

青池さんも語っておられますが、13年の月日は長く
作者も読み手も歳を取り、考え方も、感じ方も変わってしまいました
若かりし頃に読んだ時は…
史実に基づき描かれているこの漫画の最後に訪れるであろう
「ドン・ペドロ」の悲しい「死」を意識し
辛い気持ちを引きずって読み続けておりましたが…
今、私自身が歳を重ね、自分自身の「死」を意識しだした年齢となり
改めて読んでみると、
ココに登場していた人物達が、それぞれ考えに考えて精一杯生き
そして死んでいく姿に、目を引かれ感動すら覚えました

先にも述べましたが、時代が変化し激動したこの不安定な時期に
生きるか死ぬかの選択を常に強いられ戦っていた、男達や女達の生き様は
全ての選択を自分で決めておりました
人を頼ったり、人のせいにしたり、自分をかえりみる事を忘れた人間は
誰よりも早い「死の鉄槌」を受けています
親ですら生きることに必死ですから、自身の利益に繋がらない子は切り捨てます
単純明快な時代であったと言えるでしょう

さて、複雑怪奇な現代を生きる我々は
人間本来に与えられた「生きる」っという単純な目的を忘れ
真逆な「死への憧れ」を抱き、全ての悪原因を人のせいにし
自身を省みることを忘れているかのようです

親が悪いのでもなく、学校の先生が悪いのでもなく
職場の先輩や同僚が悪いのでもなく
全ての原因は自分自身に起因している事を
怖がらずに真っ直ぐに見つめた時に
初めて「生きる希望」は生まれてくるのだと思います

あまりにも世の中が複雑になり過ぎて、見落としがちですが
人間の心は意外にも単純で明快な気がします
中世ヨーロッパで生きていた人達と、なんら心に違いはないと思います

「人を殺して、死を求める」より
「自身を見つめて、生を求める」
生き様の方が
より勇気と根性が必要な行動だと思いますが…
人間なら誰しも備わっている一番単純で明快な行動だとも言えます
自身を見つめ、自分に素直に
そんなに急がなくとも、誰にも確実に「死」は訪れるのですから
たかだか70~80年の人生です

また、平均寿命が30歳位だった中世ヨーロッパに比べれば長いとも言えます
10代で道を見失っても20代で打撃を受けても…50代で奈落に落ちても
まだまだ盛り返せる年数でもあるのです

全て自分一人の考え方一つで世の中は変わって見えるのです
ぜひ、勇気を持って自身を見つめ下さい

「ドン・ペトロ」王の奥方と子供の亡くなった年代が少々違うらしいですが
だいたい史実に忠実に描かれた漫画のようです
内容を小説で読むより青池流の「ウフフ」っと笑えるシーンも満載で
面白く出来上がっておりました
機会があれば一読をオススメいたします

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