満天横丁に住まう妖怪のひとり言

満天横丁に住む満天と申します
最近、猫妖怪化してきており更新は不定期ですが…
ひとり言にお付き合い頂ければ幸いです。

蝉時雨がやむ頃

2008-07-01 | 漫画紹介

「蝉時雨がやむ頃 作:吉田秋生」

「雨降り人色バス」の「あこさん」にお借りしました~ありがとう!

唐突な質問なんだが…皆さんは鎌倉へ行ったことがありますか?

私も数回しか行った事はないのだが
大変良い所である
細い路地が多く、いかにも古都の風貌を兼ね備えておるのだが
海が近くにあるせいか若い人も多く住んでおり
古さの中に若さが旨く共存しており面白い町である
坂が多いので、坂道から見える海が人の心を解き放つような感覚がある

そんな町に「幸」「佳乃」「千佳」の三姉妹が住んでいる
父親は15年前に借金と女を作って出て行った
父親が居なくなって2年ほどで母親は男を作って出て行った
残った三姉妹は祖母に育てられたのだが、その祖母も他界している
そんな折、三姉妹のもとに父親の訃報が届く

葬式に行きたくはないのだが…行ってしまう気持ちが良く解る(笑)
つまり、興味半分。こういう時、好奇心の方が勝ってしまう
そこで自分達の母に良く似た「弱さを武器に生きているウザイ女」と出会い
異母姉妹である「すず」と出会う
弱さを武器に生きているウザイ女を母に持つと
その子供は人より数倍早く大人にならなくてはいけない

長女の「幸」に良く似たその子を三姉妹は放ってはおけなかった

文章にするとエライ・ド・暗い話となるのだが…
周りから見るほど当事者は「そんなに暗くない」ってな雰囲気が良く出ている
そりゃ~二親に捨てられた訳だから辛くないっと言えばウソになる
長女の「幸」は芯が強くシッカリしているし
次女の「佳乃」は男に貢ぐし
三女の「千佳」は年上好みだし
三人共にシッカリと二親に捨てられたトラウマを持っている
でも、トラウマも長年やっていると…それが「自分」なわけなんだし
それが普通の彼女達なりのプロテクターなのだ(笑)

私の父親も女を作り出て行った
その時、父の妻だった継母さんは、自分も他の女から父を奪ったって事を
ものの見事にコロっと忘れて、ハデに泣いたり喚いたりしておった(笑)
が…チョビっと可哀相かな~っと同情しかけた時に…男を作って出て行った
泣いたり喚いたりする女は、一見弱そうで実は強い(笑)
多少飽きれたが、誰かに頼っていないと生きられない女も大勢いる
それを罪だと言えるほど私は子供ではなかった
年齢的には子供だったが、早くに大人にならなくては
この家族の中では生きられなかった

春先に、その父の愛人から我が家に電話があった
父が心臓発作で倒れ手術中だという
我が実家の「家庭の事情」ってモノをよく知るダンナ様は「行くな」と言った
日曜の19時である。父は現在東京に住んでいるので
我が家から飛んで行っても1時間はかかる
多少迷ったが…いや、本当に迷ったのだ…が、好奇心が勝ってしまった
肉親をこよなく愛する人々には罵倒されそうだが
そういう家族も居るコトを解って欲しい

病院へ到着しても手術は終わってはいなかった
実は…本当にオマヌケなのだが…手術の間、私は父の愛人と
二人っきりで待合室で並んで待たねばならないって事を…
まったく想定していなかった
限りなく…気まずい雰囲気であった(笑)

父の愛人や妻たちと話すのは慣れておったのだが…
私と同じ歳の父親の愛人とは何を話してよいやら解らんかった
大変都合の良い事に…夜の待合室には誰も来ないし、誰も通らん。
ポツリ、ポツリと、どんな状況で父が倒れたのかを聞きながら
時をやり過ごすしかなかった
(これほどの気まずさは経験したことがなかったぞ…笑)

たまたま常勤しておった先生が、カテーテルでの心臓手術の権威だったらしく
父の手術も無事終了しICUで父の寝顔を見て、その日は帰った。
翌日、柄にもなく花束なんぞを持って父の病室を覗くと
バケモノ張りの回復力を見せて父が起きておった
第一声が「帰れ!お前なんぞ呼んでない!」である

最後に会ったのが3年ほど前で…
父の「金貸してくれ~」ってな借金を断り、
大喧嘩して別れたのが最後であるので
さもあらん(笑)

「ほうか、それだけ元気なら大丈夫じゃろう。帰るわ!」っと
啖呵を切って帰ってきた
手術後の父の姿が、小さなジジイに見えたもんで
少々同情して翌日も顔を出したのが間違いじゃった
まったく、私も歳を取ってヤキが回ったもんである(笑)
我ら親子を知る人は皆、似たもの親子と呼ぶがの(最悪である…)

それから2週間ほどして…父が入院していた病院から電話が来た
普通…容態が急変したんかっ!?って思うじゃろう~~
我が父は…病院代を踏み倒し…治療半ばで逃げたらしい…。

クソオヤジ~~~!
っと叫んだのは言うまでもない(笑)

何時か私の所にも、この漫画と同じように父の訃報が届くだろう
その時私は信長のように父の祭壇に灰を投げて
「この、クソオヤジ~!」っと叫べるだろうか?
やってみたいな~~なんぞと考えると顔がニヤケる(笑)
どうせ、葬式代一式私が払う事になるんだろうし
借金もあるだろうし、その時の愛人は私よりも若いかもしれんしの
この位はやっても良いかもしれん(笑)

おっと、漫画の紹介だった…(ハハハハハハハ)
つまり、傍から見たらシンジラレナイ状況であっても
子供の頃から慣れ親しんでいる世界なもんだから辛気臭さは無いのである
むしろ肝が据わっている分、小気味良いのである
そんな漫画だからオススメだと思う(笑)


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