満天横丁に住まう妖怪のひとり言

満天横丁に住む満天と申します
最近、猫妖怪化してきており更新は不定期ですが…
ひとり言にお付き合い頂ければ幸いです。

はじめてのおつかい(桜の思い出③)

2007-04-12 | 昔話のハチャメチャ
 ドレミファだいじょうぶ 歌:BBクイーン
誰にもないしょでお出かけなのよ
何処に行こうかな
ドレミファソラシド ドシラソファミレド
レミファソラシド 

TVで放送されている「はじめてのおつかい」
あの番組が好きでね~(笑)
もう~涙流して見ている私なのです~(ハハハハハ)

さて…三作続いた「桜の思い出」の最終回は~
「満天小僧の、はじめてのおつかい」で、ひとまず終了とさせて頂きます~

小学校へ入学してスグの頃
北海道札幌市在住の我が家は
父の職業とは別に、自宅を改造して寿司屋を営んでおりました

ある日…昼メシの出前が多く出て
寿司桶の在庫が無くなるっという緊急事態が発生致しまして
夕刻前の、猫の手も借りたいほどの忙しさの中
出前桶の回収作業に
満天小僧の手を借りるコトと相成りました~

小学校へ入学当初より6年間。一貫して通信簿の「おたより欄」に
「落ち着きが無い」っとのご指導を頂き続けた6歳の満天小僧に
大人達が無謀な賭けに出たわけです

元来、人の話を半分しか聞けない満天小僧の耳には
諸注意事項を述べる大人達の声など耳に入っておらず
「オレに任せろ~」「やったるぜ~」「イェ~イ!」の気持ちしかなく
意気揚々と出発して行ったのです~

それこそ~TVの「はじめてのおつかい」と同じく
歌を歌ったり~踊ったり~そりゃ~楽しく歩いて行きまして…
で…道に迷ってしまいました~

心細くなって「ふっ」っと見上げた空にトンビが一羽、
満天小僧の真上で円を描く様に飛んでいます
こんな時に「ハッ!」っと思い出したのが…
あの梅干バ~様(満天の祖母)の言葉。。。

「昔、トンビはな~。よ~く子供をかっさらって飛んで行ったもんだ~」

も・・・もしかして・・・狙われている~~!

そう思い込んでしまった6歳の満天小僧は涙で顔がグシャグシャになり
一歩も歩けなくなってしまいました~

「怖いよ~~~~!ウェ~~~ン!」」
で…通りかかった通行人に交番へ届けてもらったのです~

さて~交番に連れていかれた満天小僧は泣いて泣いて~(笑)
自分の名前はおろか、住所も電話番号も言えません
ただ言えた言葉は「寿司…ヒック・ヒック…エ~ン」
律儀にも「寿司桶を取りに出かけて迷子になった」っと伝えようとした模様。

困ったおまわりさんは、この子は腹が減っているんじゃろうっと思い
「寿司はおじさんのお給料では取れないが~」っと言いながら
「親子丼」を出前でとってくれました~

泣きながらもシッカリと親子丼は平らげた満天小僧

何とか落ち着きを取り戻し名前だけは伝えるコトが出来ました~
それでも住所が解らなければ家に帰るコトが出来ません

と…そこへ現れたのが新聞配達のお兄さん。
彼は私の顔を見て即座に「あっ!寿司屋の子だ~」っと言ってくれました
何時も家の前の道路で「書ける石」を使って絵を描いていたので
覚えていてくれた様です

そこで、おまわりさんは満天小僧の頭をナデながら
「よし、パトカーに乗せてあげよう」っと言ってくれたのです!

もう~地獄から天国~とはこのコトで~
天にも昇る幸せ~を感じながら
颯爽とパトカーに乗り込んだ満天小僧なのでした~

交番の脇にあった北海道のエゾ桜の木は満開で
少し赤みの強い花びらが夕暮れ時に真っ赤に燃えるようでした

走るパトカーの窓にデコをビタっと、くっ付けながら
薄闇に家の明かりが灯り、それらの明かりが帯のように流れるのを
満天小僧は刑事になりきって眺めておりました~

さて…その後…そう長くは幸せな時間は続かず
待てど暮らせど帰って来ない満天小僧を心配していた大人達に
しこたま怒られ、ゲンコツを頂き…
暗号のように住所・氏名・年齢を覚えさせられ…
やっぱりもう一度泣きました~(ハハハハ)

でも…怖かったけど…
チョッピリしょっぱい味の親子丼を食べ、
刑事みたいにパトカーにも乗れてエガった~っと思った
「はじめてのおつかい」です。

ここ数年はエゾ桜を見ていないのですが
エゾ桜の少し赤い花びらを見ると…
あの時、パトカーに颯爽と乗り込んだワクワク感が
胸一杯に広がります~(笑)