「チェリビダッケ・エディション第4集 宗教音楽とオペラ」

            

 最近発売される低価格のボックスセットは本当にお得でうれしい限りです。しかし、そのほとんどを通常料金で購入していると気持ちは少し複雑、それでも相応の時間が経過していれば納得できます。

 チェリビダッケのミュンヘンフィルとの一連のディスクが4組みのボックスセットで売り出されました。これも安い。11~14枚入りで3090円~3700円、一枚あたり270円くらいです。発売当時の値段は調べると輸入盤ボックス14枚で22000円、一枚1600円。六分の一の価格です。
 しかもピンキリの抱き合わせ販売ではありません。全て弩級の名演奏、極上録音ばかり。内容からすると頭がクラクラするくらいに安いです。
 1~2集はほとんど、3集は半分持っていましたが、4集は11枚中2枚しか聴いていなかったので購入しました。

 ・バッハ     ミサ曲ロ短調  2枚
 ・レクイエム   モーツァルト、ヴェルディ、ブラームス、フォーレ  5枚
 ・オペラ管弦楽曲 ロッシーニ、ワーグナーなど  4枚

 純音楽的な演奏です。レクイエムも死者を悼むという雰囲気はありません。こんなに大きくて厚みのあるフォーレを聴いたことはありません。

 ロッシーニの序曲集も絶品です。透明感と躍動感が絶妙にミックスされています。特にセミラミデ序曲、ヴァイオリンの美しさ、浮揚感、艷やかな合奏。音楽を聴く最上の喜びがあります。

 ワーグナーは正統派のスケールが大きくてぐるぐるとうねる演奏です。トリスタンの前奏曲と愛の死はザルツブルクでのカラヤンとノーマンのディスクを聴いた後は、どの演奏も物足りなかったのですが久しぶりに満足、興奮しました。

 共通しているのは音が濁らない。強奏する箇所でも透明感を大事にして決してハーモニーが損なわれることはありません。この深い響きの実演に接してみたかった。空間の中で音楽が生まれて響いて消える。
 素晴らしい演奏ばかりですが、中には変わったものもあり、激性を抑制したドン・ジョバンニ序曲は何これという不気味な奇演です。いずれにしてもどれも聞かせます。


 別の日にロリン・マゼールのボックスセットも売っていたので購入しました。こちらは何と30枚で4800円です。一枚あたり160円。マゼールについては変な演奏もあるのを承知ですが、巨匠、天才と言われている割にはアメリカ時代の演奏はほとんど聴いていないので、というより安すぎて買わなくちゃいけないような気がして購入しました。
 こちらは、あまり期待せずにゆっくり聴いていこうと思います。


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