ホイチョイ・プロダクションズ「気まぐれコンセプト クロニクル」

          

 ビッグコミック・スピリッツに連載されていたホイチョイプロダクションズの「気まぐれコンセプト」をまとめたものです。発売された2007年に購入していたのですが分厚すぎて中断していたのを思い出して、今度は970ページ一気読みです。面白かった。

 1984年から2006年までの23年間、「はじめに」にもありますが、バブル前夜、バブル絶頂、バブル崩壊、不況、ネットの普及した現代へと流行りや遊びの世相を反映した4コママンガのクロニクルです。広告代理店とヨイショ先の自動車会社の宣伝部を中心とした登場人物の軽薄さ、馬鹿らしさをこれでもかとノリノリに描いていて最高です。
 私にとっても、高校生の頃から中年になり二人目の子供が生まれるまでの20数年間、同時代で経験したり、周りから眺めていた世の中です。

          

 マンガの再録だけでなく、毎ページには当時の解説があり、スキー人口が1000万人消えた(私もそのうちの一人です)とか、データの裏付けが成程と思わせます。

 バブル時代の解説などもあり、関連で少し調べてみたのですが、1980年の公定歩合は9%、バブルのきっかけとなったプラザ合意の1985年でも5%です。それを当時は“超低金利政策”といわれた2.5%に据え置いたのがバブルが膨らんだ要因です。2.5%が超低金利だなんて今では信じられないことです。

 マンガの一つに元祖水槽(水族館)バーの1990年オープンの六本木「ディープブルー」を取り上げたものがあり、解説に「店も水槽も現存しています。」とありました。まだやっているのかと懐かしくて会社の同僚と2次会で行ってみました。
 防衛庁(今は東京ミッドタウン)前の出光のガソリンスタンドを左に入ったエリアです。このあたりは、お洒落なストリップショーの店など怪しいスポットがいくつかあり、たまに遊んでいました。ストリップは日本人だけだとやらしくなるのですが、白人の客も結構いて、チップのお札を口に挟んで寝転がり、するとストリッパーが胸で札を顔と一緒に挟んで取るなんてことをやっていて、ワーワー歓声上げながら盛り上がっていました。ドンブリ勘定だったのがバブル崩壊後はシビアに金を取るようになり、行かなくなって、店も自然と消滅しました。
 久しぶりのディープブルーは2008年に3度目のリニューアルをしたそうですが、水槽も小さくて地味で昔とは随分違いました。こういう店は自分のためではなくて同行者を驚かすために行くところなのでこれだと次回はないです。お客もいなくて寂しい感じです。因みに、1次会はすぐそばにある小樽で入れなかった「北とうがらし」というジンギスカン屋だったのですが、こちらは滅茶苦茶美味かったです。こんな美味いラム肉を食べたのははじめてです。それでも客は我々以外にいなかったので飲食店の不況は深刻です。

 いろいろと懐かしく思い出されるマンガ集でした。この「気まぐれコンセプト」もスピリッツに現存していました。ホイチョイ最新作の「新女子高生株塾」も読みましたが、こちらも楽しくタメになりました。
 
 わが日本、デフレを脱却して本当の好景気を迎えることは果たしてあるのでしょうか。

              


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