計画的に、とか、論理的な、とか、十分な事前準備のうえ、とかは、みんなまとめて苦手だ。
逆に、衝動的に、とか、たいした意味もなく、とか、急に思い立って、とかは、年々得意技になっていく傾向にある。
良いことなのか、忌むべきことなのかは、よく分からないが。
というわけで、財布と携帯、タオルと簡単な着替えだけをバックパックに放り込んで、新幹線に飛び乗り、一路坂の町の尾道へ。
福山にも停車する『さくら』は、夏休みの日曜日でもなぜかガラガラだし、N700系は電源も完備してるから超快適。
第一攻撃目標、あひるちゃん。
本日が最終日。
福山駅を降りると、改札を出る前に既に見えてくる分かりやすさ。
バカでかくて、ポップなカラーで、キュートな造形のそれが、なんの脈絡もなく瀬戸内海にプカプカ浮いているのは、実際に見てみると想像以上に笑えてくる光景。
近くで眺めるのもいいが、あえて、尾道らしい坂道からの、瀬戸内海を特有のキラキラした光をを狙って、駅の裏にそびえる山をトレッキング。
こういうときに、スマートフォンのマップとGPSの機能は本当に役に立つ。
2時間ほど急な斜面を上へ奥へとつき進み、さ迷い歩いた成果が、冒頭の写真。
おかげで、ほかのどんな宣材写真よりあひるちゃんの非日常感をとらえた写真が撮れたと思うがどうか。(典型的な自画自賛。)
まぁ、熱中症になる寸前だったけど。
第二攻撃目標、尾道三部作ロケ地。
1970年代に生まれた人間にとって、大林監督の、『転校生』、『時をかける少女』、『さみしんぼう』の舞台である尾道は、かなり特別な場所。
たとえばこの光明寺下の跨線橋。
『転校生』のなかで、自転車で駆けあがるシーンが実に印象的で、実は大学生の時にバイクのツーリングで来て以来二回目なのだが、それでもなお感慨深い。
今回は、御袖天満宮にも来てみた。
ここは、同じく『転校生』のなかで、山門(?)前の石段を転げ落ちることで、お互いの心と体が入れ替わってしまうシーンが有名。
石段の上の境内は、一種のパワースポットなんですな、きっと。
下界は凄まじい暑さと日差しなのだが、不思議なことに、境内は肌寒さを覚えるほどのひんやりした風が吹き抜けている。
54段の石段は、幅5メートルはあろうかと思う長さで、使われている石材は継ぎ目のない見事な一本もの。
ただし、よく見ると最後の一段だけは継ぎ目が入っている。
それも、中途半端なところに。
こんな感じ。
これは、『一旦、完璧ものを作ると、その後は崩壊の一途を辿るだけ。だから、あえて不完全な部分・未完成な箇所を残すことで、神様への畏れ敬う気持ちを表す。』との考えによるものだそうな。
なんとまぁ、粋な。
それにしても、この街の坂道は、どこを切り取っても絵になる。
第三攻撃目標、尾道ラーメン。
今日ばかりは糖質制限を『なかったこと』にして、代表的な2店舗で尾道ラーメンを食う。
確かに美味いし、ラーメンの原点を思わせるシンプルさは、それなりの説得力を持ってはいる。
しかしながら、昨今の『旨味至上原理主義』の流れのなかでは、進化の過程にとどまった『過去のラーメン』のような気がしてならない。
尾道ラーメンに感じる違和感と、何とも言えない未充足感は、『あえて残した石段の継ぎ目』ではないように感じる。
といったらカッコつけすぎか。
期せずしてウマイことまとまったから、ま、いっか。
それにしても、日焼けがヒドイ。
むー・・・。