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映画・演劇のレビュー

短距離男道ミサイル『裸のリア王』

2013-12-02 21:50:30 | 演劇
 チラシそのままの芝居で看板に偽りなし。裸芝居でリア王をそのままする。もちろん、脚色はしてあるけど、お話の骨格はそのまま。たぶんだけど、別にリア王をしたかったわけではなく、なんでもよかった。たまたま『リア王』だっただけ、って感じ。「リア王で遊ぼう!」という感じ。テーマとかない。自分たちなりにこのお話をどうアレンジして、現代によみがえらせるか、とか、あまりない。ただ、長編のネタにしただけなのだ。でも、その思いっきりのよさは潔い。ええかっこしない。屁理屈こねない。

 ただ、これが純粋にコメディとして楽しめるか、と言われるといささか心許ない。もし、これで悪ふざけされたなら、見ていられないものになっただろう。でも、彼らはとても真面目に取り組んでいる。ただ、いささか下手。もう少しスマートに出来たなら、これはこれで確かなスタイルとなるのだが、なかなかそうはいかない。ドラマ性が希薄なのが問題なのだ。せっかくシェイクスピアを持ってきたのに、そこに自分たちのテーマが盛り込めない。というか、シェイクスピアなんかを取り上げたからそうなるのだ。オリジナルで勝負したなら自ずと自分たちの主義主張がそこに見え隠れせざる得ない。スタイルだけでは芝居にならない。だが、テーマばかりでも無理だ。要するにバランス感覚なのである。そのへんがまだ考えられていないから、物足りない。情熱の迸りや、そのエネルギーは伝わる。その熱い想いをもっと明確なかたちにできたなら、いい。

 公演後の、トークショーが面白かった。僕が見た回はサリngROCKがゲストだったのだが、彼女を囲んでの劇団メンバーの真剣な話がよかった。ふざけた内容ではなく、真摯に自分たちの芝居と、劇団について話している。芝居自身とのギャップがとてもおかしい。でも、芝居を見ながら感じた彼らの姿勢の生真面目さがとてもよく出ていて微笑ましい。

 Tバックで、チンポ見えそうになりながら、汗だくで芝居する。一見、下品でおふざけすれすれの芝居だ。しかも、先にも書いたように、ちゃんとした主義主張があるわけでもない。中身はない、といっても過言ではないだろう。なのに、情熱だけはある。悪くない。ぜひ、このまま頑張って欲しい。


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