隅田美代子による事件を扱うノンフィクションなのだが、あまりに膨大な人物と事件の概要の壮大さに、言葉を失う。どこを切り口にして描くのかも、筆者自身がわからなかったはずだ。読みながら、誰がどうしてどうなったのか、それを掴むことすら困難を極めた。それは事件が発覚した時の新聞やTV報道でも感じたことだったが、今回、この本を読みながら、ますますその困難を感じた次第だ。小野さんは尼崎に入ってそこで生活しながら、取材を進めた。気の遠くなるような作業だ。だが、彼は喰らいつく。
でも、このQさんとの出会いを読んだとき、なんかうさんくさいな、と思った。なんだかあまりに簡単に重要な取材ソースと出会いすぎ。そこから芋蔓式に手繰り寄せられるのも、なんだかなぁ、と思うし。もちろん、読みやすいように構成してあるのだろうが、なんかかなり引っかかる。でも、気にせず、読み進める。
まず、ここに描かれる事実に圧倒される。どうしてこんなことが可能なのか。恐ろしい。隅田ファミリーのやり口が、巧妙で、震撼する。取り入られた犠牲者たちの状況は仔細に書かれてある。それを読みながら、中心にいる隅田美代子という女の圧倒的な存在に恐怖する。そして、彼女のなかには何があったのか。何が彼女を突き動かしたのかが気になる。だが、それは描かれることはない。これは一体何だったのか?
筆者の視点がどこにあるのか、それが見えないのが少し気になるけど、こんなものなのか。どこまで信憑性があるのか、よくわからないまま、取材して、得た情報をもとにして書き綴る。読み終えて、あの事件の概況は確かに伝わってきた気がする。だが、小野さんが描きたかったものは見えない。自殺した隅田美代子というモンスターの内面にはまだ迫れない。それは彼女が死んだからだけではない。事件の当事者からの話がないからでもない。闇の中に葬られた見えないものが、まだまだここにはある。警察の民事不介入の名の下での放置プレイへの怒り、隅田美代子とそのファミリーによる圧倒的な暴力への無力感。だが、なんか、読みながら納得しないものが多々ある。わからないことが多すぎる。Xという存在もそうだし。読み終えても、茫洋とした気分にさらされるばかりだ。
でも、このQさんとの出会いを読んだとき、なんかうさんくさいな、と思った。なんだかあまりに簡単に重要な取材ソースと出会いすぎ。そこから芋蔓式に手繰り寄せられるのも、なんだかなぁ、と思うし。もちろん、読みやすいように構成してあるのだろうが、なんかかなり引っかかる。でも、気にせず、読み進める。
まず、ここに描かれる事実に圧倒される。どうしてこんなことが可能なのか。恐ろしい。隅田ファミリーのやり口が、巧妙で、震撼する。取り入られた犠牲者たちの状況は仔細に書かれてある。それを読みながら、中心にいる隅田美代子という女の圧倒的な存在に恐怖する。そして、彼女のなかには何があったのか。何が彼女を突き動かしたのかが気になる。だが、それは描かれることはない。これは一体何だったのか?
筆者の視点がどこにあるのか、それが見えないのが少し気になるけど、こんなものなのか。どこまで信憑性があるのか、よくわからないまま、取材して、得た情報をもとにして書き綴る。読み終えて、あの事件の概況は確かに伝わってきた気がする。だが、小野さんが描きたかったものは見えない。自殺した隅田美代子というモンスターの内面にはまだ迫れない。それは彼女が死んだからだけではない。事件の当事者からの話がないからでもない。闇の中に葬られた見えないものが、まだまだここにはある。警察の民事不介入の名の下での放置プレイへの怒り、隅田美代子とそのファミリーによる圧倒的な暴力への無力感。だが、なんか、読みながら納得しないものが多々ある。わからないことが多すぎる。Xという存在もそうだし。読み終えても、茫洋とした気分にさらされるばかりだ。