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映画・演劇のレビュー

劇団息吹『飛んで孫悟空』

2010-06-13 18:44:53 | 演劇
 とても楽しい時間を作ろうと努力している。作り手の誠実さが伝わってくる作品だ。だから、僕はこの芝居に対してどうこう言う言葉をもたない。面白いとか、つまらないとか言う話ではないと思う。確かにたわいないし、作品に奥行きがあるわけではない。別役作品とは思えないくらいの単純さだ。でも、それがこの芝居にはちょうど良い。

 シルクロードを旅するツアーの一行と、なぜかそこにやってくるまるでやる気のない三蔵法師。やがて、彼の登場に導かれたように猪八戒に沙悟浄、そして悟空というおなじみのキャラもやってきて、ツアーのお客に促されてしかたなく天竺を目指す旅が始まる。これは別役実の戯曲を息吹のテイストでショーアップした「お楽しみ劇場」である。

 子供から大人まで楽しめる作品を目指して無理することなく、等身大のファミリー劇場としてちゃんと成立している。毒気は全くないけど、この場合はこういう処置は適切だろうと思われる。観客もよく入っていて僕なんかぎりぎりで入ったから入口の隙間から立って見た。でも、それが苦にならなかった。子どもたちも楽しそうにしていたし。


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