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映画・演劇のレビュー

Micro To Macro『ワンダー三日月リバー』

2018-10-08 17:59:37 | 演劇

 

石井さんはずっとこういう音楽劇を作りたかったのだと、改めてこの芝居を見て思い知らされる。今までの試行錯誤の先にこういう答えが用意されていたのだ。ずっと音楽と物語の融合を目指してきた。それはライブシーンとドラマパートが渾然一体となる芝居だ。だけど、それは難しい。2時間ほどの芝居においてドラマ部分を重視すると、ライブは背景に沈む。それでは意味がない。両者は対等で、補完関係にある、そんな芝居が作れないか、模索してきた。バランスが何よりも大事でその匙加減を毎回調整してきた。僕はドラマ部分の弱さがネックだと思い続けた。だけど、それは間違いだと本作を見て気付く。両者が響き合うためには、ドラマ部分がもっとシンプルになるべきだったのだ。

 

ストーリーをとことん削ぎ落としてその先にある一番大切なものを、どれだけ大切に見せていくかということ。何度となく繰り返される短いシーンの積み重ねが、余白に秘められた大切な想いを描ききる。見せないこと、語らないことで、それを想像させる。説明的な過剰な描写は要らないのだ。いくつもの短いシーンをコラージュさせて、怒濤のように展開させていく。一度目ではわからなかったものが、次ではちゃんと見えてくる。繰り返しの力で見せつける。ドラマは凄いスピードで展開していくから見落としてしまうこともあるけど、大丈夫。それでもここにある大切なものはちゃんと伝わっていくから。

 

その結果、生演奏によるライブシーンがドラマ部分と共鳴して、渾然一体となる。思いっきりシャボン玉を飛ばすラストの視覚効果も絶大。あそこまでやっても過剰にならないのは、それだけの想いがこの作品には溢れているからだ。

 

ある男の子と女の子が出会い、恋に落ち、結婚して、子どもが生まれて、年老いていくまで、一緒に暮らして死んでいく、はずだったのに、彼女が事故で若くして死ぬ。叶わなかった人生とどう折り合いを付けるのか。1時間50分ほどの上演時間の中で、怒濤の展開の先、答えを出してくれる。それは素晴らしい感動のドラマだ。

 

今回、僕が見た回にはアフターイベントとしてキャストによるミニライブが終演後ついていたのだが、それも楽しい。

 

 

 

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