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映画・演劇のレビュー

劇団未来『ストップキス』

2019-07-03 21:20:46 | 演劇

オーバーアクトを許したのは、外国ものだからか。今時そんなことで大仰な芝居をさせるなんて、時代錯誤も甚だしい。翻訳ものを「赤毛もの」なんていう言い方はもう死語になったはずだ。久々にそんなことを思い出させる芝居だった。演出のしまさんは敢えてそういうルーティンを役者に課したのだろうか。最初はきついな、と思った。ただ、だんだん慣れてくる。人間というのはすごい。そのうち、もしかしたらこれはある種のパターンに則って、オーソドックスな芝居を見せるため、こういうスタイルをとったのかもしれない、とも思う。ガール・ミーツ・ガールのラブストーリーをある種のパターンとして見せる中からそこに生じた事件すら類型化したものとして、提示する。この悲劇をどこにでも生じるものとして、見せていく。特別ではないことの怖さ。そんな妄想を抱かせる。

実際はそんな意図はたぶんない。ルーティーンは狙いかもしれないけど、それ以上のことはなかろう。真正面から同性愛者への差別を訴えかける。どこにでもある恋愛、でも、相手が女性同士だったなら。戸惑いながら、お互いに歩み寄る姿がじっくりと描かれていく。だが、事件をそこにさしはさむことでドラマはいびつな曲線を描くことになる。どこにでもある恋愛が、そうじゃなくなる。そういう図式はこの台本の意図だろう。丁寧にふたりの想いが描かれていく。それが壊れてしまう悲劇と共に。まじめすぎる芝居は作り手の真摯さが心地よくもあるが、なんだかもの足りない。

ヒロインを演じた前田さん(ダブルキャストのAプロを見た)は、とまどいながらも年下の女性に心惹かれていくもう若くはない(でも、まだ30代前半の)女性の揺れる想いを素直に演じた。そのまっすぐな視線が見ていて、すがすがしい。池田さんは純粋で、何にも染まらない少女のような女性をこちらも自然体で演じる。そんなふたりの出会いから、別れまでをじっくりと見せる。多くを語らない。ふたりのそれぞれの恋人(男性)とのドラマもはさみながら、言葉にはしない秘めた想いを悲惨な事件を介して見せていく。別れと書いたけど、そこが始まりでもある。事件を介して別れ再び出会う。ふたりの心の揺らぎをもう少し描きこんでくれたなら、と惜しまれる。


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