習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『ピューと吹く!ジャガー』

2008-10-18 12:52:30 | 映画
 こんなにもつまらない映画を平気で作れてしまう神経ってどんなもんだろうか。確信犯的にくだらないものをねらっているのはわかるが、そんなことをして何の意味があるのか、僕にはわからない。よくあるマンガの映画化で、かなり面白いと評判になったものらしい。でなくては映画にはしないだろう。

 くだらないものをわざと作り、それが笑える場合も確かにある。だが、ここまで滑るのはなんだろう。うちの娘が「マンガもアニメもけっこう面白いよ」と言っていた。だが、横で30分くらい見て、自分の部屋に戻っていった。もう、いいらしい。僕もほんとならさっさと止めたかった。だが、せっかくレンタルしてきたのに、もったいないし、超人予備校の魔人ハンターミツルギさんから見るように言われていたから、我慢して最後まで見た。

 こんなにもくだらないことに、ここまで本気になれるのは、それはそれで凄いことだ、とは思う。作り手が最初から投げているようなものなら見たくはない。だが、誠心誠意こめてくだらないことに夢中になる姿は愛おしい。主人公の要潤はあのバカコスチュームを厭わず当たり前としてその姿を曝す。照れたりしたなら最低だしおふざけではないのだから、この平常心は大事だ。だが、彼の周囲がなんだかバカバカしいばかりで彼が(そして、彼の仲間であるふえ科の3人)かわいそうになる。バカは本人たちだけでいい。

 周囲は普通でなくては彼らのバカはただの道化と化してしまう。日常空間のなかで、なんのためらいもなくバカがいる。しかもこの普通の風景の中にしっかりなじんでいる。それって充分おかしいはずだ。できることならそんなドラマを作って欲しかった。少なくとも、彼がバンドのオーディション会場に行き、おまえらにはなんのオリジナリティーもない、と看破する場面は充分可能性を感じさせた。しかも、彼に影響を受けた有名なロックーミュージシャンが彼の教え(勝手に影響されただけだが)を受けてたて笛に目覚めるなんていう展開はおかしい。だが、それについても、2人をその後絡ませないのはなぜだろう。なんだか中途半端だ。

 美術品強奪の話とか、いらない。どうでもいい話を連ねておふざけに堕してしまうから映画はつまらないものとなるのだ。篠崎誠監督の『0093 女王陛下の草刈正雄』はその点ちゃんとしていたではないか。せめてあのレベルには到達して欲しかった。

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1 コメント

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観たその後に・・・ (まじん)
2008-10-19 02:07:52
すいません。
この作品観た後、29人に紹介しないと不幸になる噂があったので、広瀬先生にお勧めしました。
これから29人に勧めて幸せになってください。

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