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映画・演劇のレビュー

『ラブデス』

2007-12-23 09:57:26 | 映画
 かなり楽しみにしていたから失望は大きい。何でこんな映画を楽しみにするんだか解らないという人は多いだろう。どうせバカバカしいだけではないか、なんてね。もちろんバカバカしいはずだ。そんなこと最初から解っている。しかし、これは北村龍平の置き土産である。心して見るべきではないか、なんてね。彼にはハリウッドでぜひ成功してもらって「あの世界のキタムラがこんな映画をかって撮っていた」なんていうお宝映画にこれをして欲しい。

 僕が彼を信じるようになったのは『あずみ』を見てからだ。あのエンタテインメント大作の遊び心と、情熱は、並ではない。これでもか、これでもか、というアクションのつるべ打ちに心ときめいた。日本映画にもこれでだけのことが出来るのだ、と思わされた。『ゴジラ ファイナルウォーズ』だってあれだけの重責を負って平気で怪獣バトルを見せた。あの根性は見あげたものだ。物に動じない。常識なんてものを破壊するパワフルさが彼にはある。あれならハリウッドでも充分通用するはずだ。

 そして、『ラブデス』である。もう呆れるしかない。この男に好き勝手させたらあかんということを改めて思い知らされた。(まぁ、最初から分かっていたことだが)彼はある程度の制約がなくてはまともな映画を作れない人ではないか。さぁ、あなたの好きにしてください、と言われたならこんなにも中身のないつまらない見せ掛けだけの映画を作る。わざとしてるにしても限度がある。下品でつまらない。だらだらしていて独りよがり。気取ってるばかりで、なんにもない。あらゆる駄目さを満載した2時間38分!のアクションバカ映画である。

 彼はいつも、もともとくだらないことをしているのだが、それが巨大なエネルギーと化すと凄いのだ。だが、ただのマニアックになると、本人は面白がって好き勝手しているつもりなのだろうが、それは映画の力にはならない。豪華な役者たちはこの現場に来て、適当に楽しんで帰っただけ。ただのゲストでしかない。バカばっかりしてて苦笑するしかない。船越英一郎のボスには笑えるが、彼の捨て身の芝居を生かせてない。石井克人の『ナイスの森』と同じくらいにつまらない。

 いのうえひでのりに見せてあげたい。そんな映画だ。

 

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