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映画・演劇のレビュー

『もう少しだけ近くに』

2016-04-19 19:23:15 | 映画

 

この韓国映画を以前見たことがある。レンタルされたときに、手に取り、借りてきた。2010年作品で、2012年リリースされているから、最近のことだ。なのに、また、間違えて借りてしまった。たまたま、こういうことがある。見たことを忘れていたのだ。

それくらいに印象の薄い映画なのだ。なのに、気になる映画なのだ。そうじゃなくては、借りてこない。DVDのパッケージの宣伝に乗せられたのだろう。韓国の岩井俊二なんていう部分にそそられたのか。でも、こんなに簡単に忘れるほど、どうってことない映画なのだ。それは厳然とした事実。

 

5話からなるオムニバスストーリーだ。微妙にリンクする。最初のエピソードが印象的なので、これを見た瞬間この映画以前に見たよ、と思い出した。簡単な話なのだ。ポ-ランド人(確か。たぶん、)が恋人を探しやってきた(でも、空振り)オランダのロッテルダムからソウルに電話をかけるという話だ。彼は意図的にではなく、たまたまこのダイアルにコールしただけ。この番号がどこに通じるのか、それすらわからない。韓国のソウルの本屋の女性が出る。「あなたは誰ですか? そこはどこですか?」と怪しい質問をするしかない。誰でもいい。ただ、声が聞きたいだけ。恋人を探してこんな異国に来たけど、彼女はもうここにはいない。そんな傷心を抱えて電話ボックスに入ったのだ。

 

10分にも満たない作品で、この後、タイトルが出て、映画が始まる。だから、このエピソードはプロローグでしかない。でも、十分インパクトがある。僕はその後の4つのお話をすべて忘れていた。だから、この映画を実に新鮮な気分で見ることが出来た。(でも、それってなんだかなぁ、だけど)

 

なぜ、忘れてしまうかは映画を見たなら明らかだ。ここにはストーリーはない。ちょっとした風景しかない。男と女のすれ違い。さりげなさ過ぎて心にも残らない。でも、このさりげなさの中に、僕たちの人生がある、なんて、ね。映画は意図的で狙いすぎた。だから、わかりやす過ぎて忘れる。忘れてもいいような出来事なのだ。

 

好きな男の部屋に行き、告白する。でも、彼は彼女ではなく、男の恋人がいる。彼女の想いには答えられない。そんなこと、彼女も十分にわかっている。

 

夜の街かど。車の男に声をかける。好きだった男で今もその気持は変わらない。でも、彼にはほかに好きな女が出来た。振られたのだ。でも、彼女は彼を忘れられない。

 

男が部屋に帰ってくる。彼は、恋人の男に別れを告げる。好きな女ができた、と。

 

ふたりの男女が歩いている。ソウルタワーに向かって。彼らは2人組のミュージシャンで、結構人気もあるようだ。でも、恋人同士ではない。ずっとしゃべっている。

 

なんとなく、これで伝わるか。こんな感じの映画なのだ。どのエピソードも基本2人だけ。カメラはふたりに接近する。スクリーンには彼らしかいない。(彼らしか映らない)20分ほど、息が詰まるような緊張で描かれる。こんなにも近いのに。でも、映画のタイトル通り『もう少しだけ近くに』と願うしかない。でも、そんな願いはかなわない。

 

2度目になったけど、こんなこともある。それはそれで、悪い気分ではなかったし、これは悪い映画でもない。

 


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