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映画・演劇のレビュー

東海大付属仰星高校『赤鬼』

2019-08-03 14:29:25 | 演劇

渾身の一打。やられたな、と思う。これは実に阪本先生らしい作品だ。作品自身は追手門時代の阪本作品の延長線上にある。今までも何度か上演したこの作品を取り上げ、3年目を迎える仰星高校演劇部で、それに挑戦した。ラストの終わらせ方といい、(あのひっぱりまくった阪本節全開!)好きしている。新しい学校でも以前と同じことができるという事を試したかったのか。どこに行こうと変わらないという事を示したのか。自分らしいものを作りたかったのか。そう書くとこれは阪本龍夫ブランドを示すものになる。だが、そんなお話では当然ない。

今再びこの作品を取り上げることに意義がある、と思ったから、上演し、仰星演劇部の高校生たちもまた、そこに共鳴したから上演する。異文化理解とか、少数派の意見が多数派に飲み込まれていくこととか、ここにはそういうわかりやすいテーマが内包されているけど、芝居自身が力を持つのはそういうテーマ設定ゆえではない。まだ見ぬ世界への旅立ちと挫折。生きていくためにはなにをしてもいいのか、とか。自分を許せなかった「あの女」は死を選ぶ。彼女の選択をどう受け止めるのか。様々な問題が提示されていく。それらについてきちんと向き合いながら、芝居がラストを迎える。

技術的にも、素晴らしいけど、彼らがこの作品に込められた問題とちゃんと向き合いながら作品が作られていることが素晴らしい。芝居を通して、ひとつの答えへとたどりつく旅がこの作品には感じられる。高校演劇にとって何が大切なことなのか、そんなことをこの芝居を通して教えられる、そんな気がした。


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