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映画・演劇のレビュー

メイシアター・プロデュース『少年王國記』

2019-01-25 22:22:11 | 演劇

笠井友仁の作、演出による作品。笠井さんのオリジナルなんて珍しい、しかも、エイチエムピーとしてではなく、外部でのプロデュースで、というのも興味深い。

 

『蠅の王』と『十五少年漂流記』が下敷きになっている。殺伐としたお話になる。見ながらとんでもなく暗い気分にさせられる。未来がない。少年たちが対立し、破滅に至るまでのお話だ。緊張が高まり、この後のラストはどうなるのか、と一瞬は思わせるけど、予定調和に終わる。あっけない幕切れはがっかりではなく、確かにそういうことだろう、とも思わせる。ただ、この先にある大人の介入が彼らをどこへと連れて行くのか。その先も見てみたかった。ヘリコプターの音が彼らの解放だけを示唆するのではなく、さらなる地獄がそこから始まってもいい。もともと、彼らは地獄を見ている。原発事故のため住めなくなった世界から脱していくための旅だったのに、無人島に流されることで、別の使命を授けられる。

 

墜落によってここに閉じ込められた12人の少年たち。生きていくためのサバイバルがそこから始まる。やがて、対立し、戦いが始まる。暴力による支配。白塗りの役者たちは、もういい年をした大人なのだが、彼らの演じる子どもたちには異様なリアリティがある。彼ら大人の仮面をかぶった子どもたちの確執は大人社会の縮図でもあるのは、当然なのだが、その不気味さはそれだけに止まらない。子どものフリではなく、彼らの姿が醜い子どもたちを提示するのだ。メタファではないリアルさがこの芝居の刺激的なところだ。女の子が演じたならこの生々しさは生じなかっただろう。

 

型にはまったような彼らの動作、動きも、そこにこの芝居の象徴だけではなく、異形の世界を提示する。ドロドロした嫌な気分がどんどん蓄積していく。終盤の展開と救いのなさも、凄い。

 

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