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映画・演劇のレビュー

『アクロス・ザ・ユニバース』

2009-03-28 21:51:56 | 映画
 ビートルズのナンバーを全編に流してミュージカル仕立てにした映画。なんだかいかにもなお話で、見ていてちょっと退いてしまいそうになるが、悪い映画ではない。誰もが知ってる曲を配して、なんだか懐かしい気分にさせられる。

 お話はリバプールの工場で働く青年ジュード(!)が父親に会うため海を渡りアメリカまで旅する。プリンストン大学で働いているということを突き止めて、行ってみる。彼はそこで確かにいたが、大学教授ではなく、施設管理人だった。かって第2次大戦の時、イギリスにやってきた兵士だった父はまだ娘だった母と出会い、恋に陥る。だが、彼女とおなかの中の赤ちゃんを残して帰国したのだ。ジュードはアメリカで様々な人たちと出会う。新しい友人マックスやその妹ルーシー。やがてジュードはマックスとNYに向かい、歌手のセディが住むアパートの間借り人になる。マックスは徴兵されベトナムに。ルーシーは反戦活動に身を投じる。ジュードは彼女との間に出来た溝を埋めることが出来ない。

 こうして荒筋を書くと、ほんとに「なんだか」な話だ。甘いし、定番から出ない。だが、作者(監督はジェリー・テイモアという人)は敢えてこういうスタイルを貫く。曲の配し方もパターンを忠実に守る。みんなの中にあるビートルズのイメージを大切にしたのだろう。『愛こそすべて』だなんて終わらせ方も本来なら気恥ずかしいのだが、この映画がそれを望むのだからしかたあるまい。

 ミュージカルというスタイルでビートルズの歌詞をそのまま歌うから、最初は退いてしまいそうになるが、全編それで貫き通す。イメージ・シーンの映像はこの映画が一番やりたかったことだろう。見ていて楽しい。

 それにしてもなんだか懐かしい映画だ。それって、高校時代、よく聞いていた曲が臆面もなく続々流れてくるためだろう。この映画とは直接は関係ないのだが、あの頃のいろんな思い出が甦ってくる。それも気恥ずかしい。

 

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