習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

第2劇場『ウルウル7』

2011-03-08 23:48:31 | 演劇
このチラシを見たとき、心からアホだ、と思った。でも、こんなアホを本気でするところが大好きだ。2劇しかしないと思う。普通の人たちなら、考えるだけで、あほらし、と思う。そこで終わるところなのだが、彼らはその思いつきをこうして実現してしまう。今はやりの3Dである。ただの3Dではない。なんと、アナログにも程がある、というあの古典的な青と赤の2色めがねによる3Dなのだ!

3Dはもちろんチラシだけではない。芝居自体も3Dになる。と、いうか、芝居って人間がナマで演じているから、そのままでも3Dですけど。入り口でちゃんと赤青めがねをもらう。芝居の中でめがね着用シーンが用意されている。そのシーンになると、みんなで着用だ。もう考えるだけで、バカらしい。でもそのバカが見たくて、阿部さんたちはこの芝居を作る。3Dシーンは赤と青の人たちが登場して、赤と青の照明で、なんかしているのだが、正直言ってまるで飛び出してこない。これでは詐欺だ。でも、みんな必死になって、めがねをかけて、舞台を見守る。なんだか、それだけで笑える。

芝居自身は別に3Dはどうでもいいような作品である。けっこう真面目な話だ。3Dにばかり心囚われて、肝心の芝居の事を書くのを忘れるところであった。これはギャンブル依存症の回復施設を舞台にした社会派演劇なのである。シリアスに描くと、かなり深刻にもなりかねない内容なのだが、そこは2劇である。軽妙で、さらりとしたタッチで見せていく。遊びのシーンを前面に出し、重くはならない。

「高齢化し、活気が失われた地方都市でひときわ目をひく豪華な建物」であるパチンコ屋。そこを入り口にしたドラマ、という目の付け所は、いつもながら鋭い。更にはそれを依存症回復施設の話に結びつけるというのも上手い、と思う。

 なのに、そこから先を突き詰めて描かない。それも、いつものことだが、これではなんだかもったいない気がする。僕等が生きるこの世界の現実を追いながら、ギャンブルに依存していく大人たち、老人たちを通して、この世界の在り方をきちんと描いて欲しかった。あたりさわりのないところで、お茶を濁すのではない、そんな腹の据わった2劇の芝居が見たい。

『演劇』 ジャンルのランキング
コメント   この記事についてブログを書く
« 『ランウエイ・ビート』 | トップ | 『ヒックとドラゴン』 »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

演劇」カテゴリの最新記事

関連するみんなの記事