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映画・演劇のレビュー

『弥生、三月』

2020-03-21 10:28:49 | 映画

もしかしたら、と期待したのだが、残念ながら期待はずれの一作。30年以上の歳月を3月だけに集約して描くというアイデァは興味深いし、15歳から50歳までという時間の設定も面白い。波瑠と成田凌がその30数年をひとりで演じる。時間軸は自在に前後するからわかりにくいけど、提示されたものを自分で頭の中で整理していくように作ってある。彼らの30年が見えてくる。ラストでは彼らの縁が実は誕生の瞬間からだったことが明かされるけど、それってふたりの人生すべてがこの2時間弱という上映時間に集約されるということでもある。

仕掛けを生かし切れていないのが残念なわけだ。細切れすぎるエピソードも、映画をつまらなくした。流れるように描けたならよかったのだけど、そうはできなかった。しかも、お話がリアルではないエピソードが多すぎ。3・11は避けて通れないところだけど、そこがあまりにわざとらしい。波瑠の最初の結婚のシーンもあれはないだろ、と、がっかりさせられる。『卒業』を引用するならもう少しスマートにしなくてはムリ。成田凌の事故もそうだ。人生にはいくつものドラマがあるだろうけど、それをさりげなく描くことで映画はリアリティを獲得するはず。なのに、この映画はあまりにドラマチック。その結果なんだか嘘くさくなったのが敗因。

でも、作り手はわざとこういうふうにベタな作りを選んだのかもしれない。ラストのいきなりミュージカルを見ながら、ほんとうに最初から最後までやりたいほうだいだな、と苦笑する。リアルなんかどうでもよくて、でも、コメディというわけでは断じてないからやはりバランスが悪すぎ。学校でのいじめのエピソードもそれはないやろ、と思うし。波瑠の両親のバカバカしい仕打ちも冗談としか思えない。全編突っ込みどころ満載。若いころの大林宜彦監督の映画を見てる気分だけど、それをファンタジーとしてはやってないから、シラケるしかない。

でも、主役の2人が頑張っているし、遊川和彦監督は大まじめにしているので、最後まで付き合える。やりたい気持ちはわかるし、企画としては悪くはなかった。見せ方、描き方に難があるだけ。残念。


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