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映画・演劇のレビュー

トイガーデン『ハンカチ雲の』

2007-11-01 22:12:52 | 演劇
 トリスタン・ツァラの『雲のハンカチ』というテキストを使って、前回と同じように、物語を見せていくのではなく、物語の枠踏みを完全に解体してしまう。そのへんは前作以上に徹底している。

 一応、「夫に構ってもらえない妻が、詩人に恋をして、彼を追いかける」というストーリーはあるのだが、正直言ってパンフにある<あらすじ紹介マンガ>の内容すら舞台上からは理解できなかった。後で、このマンガを見て、そんな話があったのか、と感心する始末だ。こんなにもストーリーを叩き壊すような作り方をするのはなぜだろうか。ここまでするのなら、テキストなんて不要ではないか、とすら思う。作、演出の安武剛さんはとても丁寧にテキストを読み込んだ上で、この解体作業をする。これってただの徒労ではないか。何が彼をこの方法に向かわせるのか。よく解らない。

 舞台上は、劇団名通りで、おもちゃ箱をひっくり返したような散らかり方で、役者たちは、わざと学芸会レベルの芝居を見せる。そうすることで、この呆れた話をおちゃらけにしてしまえる。話自体がバカバカしいのに、それをシリアスにしないことで、そのバカバカしさすら表現しないくらいに、ふざけた芝居を作り上げる。

 これは一体何事なのだろうか。プラモデルを作っている女だとか、この世界全体を見ている傍観者(作者のツァラでもあるらしい)とか、主人公3人をおちゃらけにする取り巻きたち。主人公3人だって充分にふざけたジャンキーに見える。

 何かを伝えようと言うよりも、何も伝える気がないのではないか、と思わせる。この徹底した表現を面白がれるか、どうだかは、かなり微妙だろう。
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