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映画・演劇のレビュー

劇団925『裏の裏の裏は裏』

2014-04-05 22:46:16 | 演劇
今回の925は3話からなるオムニバス。中西さんが信頼する3人の劇作家による書き下ろしを、彼らが推薦した2人×3=6人のキャストと一緒に贈る短編集。テーマはタイトルにもあるように「裏」。それぞれ趣向を凝らした「裏」を見せてくれる。

いずれも軽いタッチのコメディでそれを中西さんがそれぞれのキャストの持ち味を生かして軽快に処理して見せる。30分程度の長さが心地よい。転換もスマートで、よかった。こういう作品の成否は、ちゃんとした流れに乗せてどれだけ気持ちよく見せることができるかにかかっている。内容よりも気分だ。

1話目のスーパーのバックヤードでのドタバタ騒動は、導入のエピソードとしては悪くはない。こういうどうでもいいような話をさらりと見せていくのは簡単そうに見えてなかなか難しい。あまりに平凡すぎると、退屈するし、奇抜な話でも引いてしまう。要はバランスなのである。出しゃばらずに、気分よくこの作品世界に観客をいざなう。

次の「インカム」はドタバタだが、少し癖があって、粘っこいのがいい。奥手の兄を心配して妹が仕掛ける恋愛コメディ。最後3話目の葬式を舞台にした騒動もバカバカしいけど、芝居の中でならありかも、と思わせる。自分の葬式を見てみたくて、死んだふりして、事の成り行きを見守るなんて、あり得ないけど、中西さんが演じると許せてしまう。

まるで、何も考えず作ったような、単純極まりない、たわいもない話ばかりだ。だが、今回はわざとこういうものを作ろうとしたのではないか。ただただ楽しい。それのどこが悪い? そんなおちゃめな芝居である。だから、観客も何も考えず、笑って見ていればいい。


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