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映画・演劇のレビュー

夕暮れ社 弱男ユニット『京都で、恋とフォーク』

2019-07-06 08:40:14 | 演劇

前作『サンクコストは墓場に立つ』も面白かったけど、今回もまた、なんでもないお話なのに、笑える。あるあるのお話が展開していく。そこにはなんの驚きもない。京都の大学、フォークソング部の合宿、部員は9人。男女半々。いや、女子のほうが少し多い。いやいや、3対6だから男子少ない。カップルがいくつか、できている。二股もある。部内恋愛禁止というわけではないだろうけど、人間関係もあり、カミングアウトは難しい。

世話役の1年生の女の子はだらだらするばかりの先輩たちのお守で忙しい。理想に燃える彼女の周囲にいるやる気のない先輩たちとのやりとりだけで100分ほどの芝居は終わっていく。たわいないといえばこれほどたわいもない話はない。それをさらりとしたタッチで見せていく作、演出の村上慎太郎は、この青春のスケッチに特別な思い入れはしない。でも、彼らを否定的に捉えるわけでもない。懐かしい学生時代の感傷になんかならないのがいい。距離を置いて彼らを見つめる視線は優しい。最初と最後のフォークギターを抱えてのキャスト全員による生演奏のシーンも楽しい。

何かを共有することって、なんだろうか、そんなことを考えさせられる。それって芝居作りにも通じる。彼らは施設での慈善事業としての演奏会のためここにいる、という背景にはあまり重きはない。だけど、なんらかの理由で何かをすること、というちょっとした動機から、集まり、共有する時間を過ごす。そんな時間が彼らにとってどんな意味を成すのか。そんなことも少し考えさせてくれると芝居はさらに魅力を増すのではないか。


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