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映画・演劇のレビュー

『ズートピア』

2016-06-29 19:49:02 | 映画

『ズートピア』

まさかの傑作。このアニメーション映画にやられたわぁ。小さなウサギが警察官になり、周囲の偏見と立ち向かい、立派な警官に成長していく姿を描く感動のドラマ。もしかしたら、と少し期待しないでもなかったのだが、ここまでとは、思いもしなかった。これだけの大ヒットはだてじゃない。この映画の実力だろう。あざとくないのもいい。素直に感情移入できる。

 

彼女のがんばり、と暴走を応援したくなる。最初はバカにしていたキツネが彼女を助けることになるというよくあるパターンもいい。これはバディー・ムービーなのだ。ウサギとキツネのコンビが時間内で事件を解決に導くか、否か。いろんなことがお約束通りに展開する黄金パターン。だが、そこを堂々と生かしてわかりやすくてひねりのある映画にした。

 

動物たちの楽園、ズートピアに起きる陰謀。それを2人の名コンビが、様々な苦難を(結果的には、難なく)乗り越えて、ハッピーエンドに導く。まず、このズートピアという場所のビジュアルがいい。設定のよさをパターン通りのドラマが生かしきる。その相乗効果がこのわかりやすいお話を新鮮なドラマとして提起する。ありきたりスレスレなのに、大丈夫だったのは、そのさじ加減だ。

 

今思い返すと、どうしてこんなに感動出来たのだろうか、と首を傾げるほど、なんの変哲もない映画なのだ。だが、そこには小さな女の子の夢と現実がある。おとなになっても夢を諦めない。現実は過酷で楽園にも差別や偏見はある。だが、それをひとつひとつ乗り越えていく。努力を怠らない。そんな姿が僕たちを感動させるのだろう。夢はかなう。そう信じて戦う女性の姿が胸を打つ。主人公を子どもにしなかったのがいい。まず、目の前にある夢をかなえた。そんな大人の女性が、現実の厳しさに直面して、それでもへこたれず、頑張る。これはただの夢物語ではない。そこが成功の理由だろう。


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