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映画・演劇のレビュー

ともにょ企画『レイク横』

2010-11-22 22:43:29 | 演劇
 このなんとも不思議なタッチに魅了された。だいたいこのタイトルも変。普通なら『レイクサイド』でしょ。

 ドタバタ劇になりそうな話なのに、やけにテンションが低い。というか、体温が低いのだ。どちらかというとテンションは高いかも。だが、暑苦しくはならない。というか、そうはしない。変に醒めている。過激な話が展開するのに、それがエスカレートしていくのではなく、なんだか自然に横すべりしていく。急に話がずれてくるのだ。どうしてこういう展開になるのか、よくわからないまま、先に先に進んでいく。まるで、遊んでいて、飽きた瞬間に、それを簡単にやめてしまい、別の遊びに移るような感じだ。自分たちの作っている芝居に責任を持てよ、と言いたくなるくらいに移り気だ。もちろん、わざとやっている。これが彼らのスタイルなのだろう。

 湖のほとり。美しい自然の中に立つ家。そこで暮らす夫婦。彼らは自由にいろんな人たちを受け入れ彼らに部屋を提供する。4人の男女に、一部屋、今またもうひとり青年がやってきた。ペンションか何かだと、最初は思ったのだが、そうではないようなのだ。ここは普通の民家なのである。この夫婦は趣味で赤の他人を同居させている。その意図は、まるでわからない。4人組はここを起点にして、この近所を走る現金輸送車を襲う計画を立てているようだ。

 不条理劇、と呼ぶのは、なんだかおこがましい。テーマが見えてこないし、お話の展開はおとなしいし、だいたい彼らの行動は気分に左右されていて、明確な意図はないし。よくわからないまま、ただ、ぼんやり見守ることになる。ちょっと淡々としすぎていて眠くなるほどだ。

 エコの観点から、湖の魚を捕る男に、この家の主人は切れてしまい、家を出ていき、市長選挙に出馬する。妻は男にキスされ、いきなり性に目覚める。現金輸送車強奪に成功し、金庫にその大金を入れたまま、置いていたら、盗まれる、とか。行き当たりばったりの荒唐無稽な展開が、あまりに唐突に起きる。大事件も小事件も均等に描かれ、同じくらいのリアクション。現金輸送車強奪に成功しても同じように暮らすし、それがその後のストーリーに大きな影響を及ぼさない。ならば、なぜそんなストーリー展開を用意したのか、皆目見当がつかない。

 それって作者の気分でしかない(のかも、しれない)。では、作者はいい加減で場渡り的に話を作っているのか、と言われると、必ずしもそうは言えない。テンションの低さ、冷静さ。エスカレートしていくこともなく、淡々と100分間。芝居はよどみなく流れていく。よくはわからないけど、おもしろいし、そういうところが、なんだか心をざわつかせる。次回作がぜひ見てみたい。この1本だけでは、なんとも言い難いし。


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