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『海峡』三部作 伊集院静

『海峡』幼年編
『岬へ』海峡・青春編
『春雷』海峡・少年編
伊集院静
新潮文庫

伊集院静の自伝的長編小説、海峡三部作。
瀬戸内海の小さな港町。主人公である少年の成長を通して、人間の生きること
の意味や、人との絆のようなものを、じわじわ静かに問いかけてくる。
少年の境遇は、時には厳しく辛いものなのだが、瀬戸内海の町の情景とともに、
胸にせまってくる。とっても美しい小説だ、と思う。
『海峡』『岬へ』『春雷』と、まるで自分がその本の中の登場人物になったような
感覚になり、ぐいぐいと引き込まれていく。

伊集院静は、どうしてこんなに美しい文章が書けるのだろうか!
『乳房』(吉川英治文学新人賞)
『受け月』(直木賞)
『機関車先生』(柴田錬三郎賞)
他の小説もエッセイも、どれも、文章がいつも綺麗だなあああ・・・と感じる。

彼自身とてもステキな人なんだろうなと思う。男の人の「色気」がある。きっと、
ものすごくモテるのだろうなあ。
かつての奥さん、夏目雅子が、結婚の会見の時に、
「伊集院さんとどこに行きたいですか?」という記者の質問に(新婚旅行のことかなあ)
幸せそうなはにかんだ笑顔で、
「彼の故郷に・・・」と答えていたのを、よく覚えている。そのとき、夏目雅子は
かわいいのに、何でこんな人と結婚するのかな?と、伊集院静をよく知らなかった私は
思っていたのだけど、あの嬉しそうな幸せそうな顔を見て、ああ、よっぽどステキ
な人なのだろうな、と思ったものだった。

今はそれが、とってもよくわかる。伊集院静の本を読めば読むほど、彼の魅力が
理解できる。そして、在日韓国人である彼の「故郷に行きたい」と言った夏目雅子
もいいなあ、と、今にしてしみじみ思うのだ。

そして、この海峡三部作。
何度読んで見ても、大泣きしてしまう。自伝的小説だ、と言うが、この小説の主人公
が彼だとするならば、彼がステキな理由が、よくわかるのだ。

久し振りに、再読してみよう。
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