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『パタゴニア~あるいは風とタンポポの物語』 椎名誠

『パタゴニア~あるいは風とタンポポの物語』
椎名誠
集英社

椎名誠が好きである。彼の当たり前のことを普通に考える精神や、
男らしさ(男くささ、とも違う)、堂々としている反骨精神やユーモア
のセンス。
ヘラヘラ笑って読めるものもあれば、ドキっとするほどキリリとした
ものもある。いろんな側面があり、だから、彼のエッセイや旅の本は、
本当に旅をしているようで、おもしろい。

そんな彼の作品の中でも好きなのが、この『パタゴニア』。私小説だ。
いつものハチャメチャな?旅行記とは違い、少し、暗く重い旅。
少し心を病んでしまった妻を残してのこの秘境への旅。
パタゴニアの厳しい風吹くなか、健気に力強く咲いているのタンポポに、
彼は妻の姿を重ねる。
旅、旅、旅、と風のように走りまわる椎名さんと、そこに咲くタンポポ
のような妻の、ちょっとした愛のお話でもある。と思う。

憧れの、地球の反対側、パタゴニアへのこの旅は、旅行記としても
読み応えがあるのだが、もうひとつの物語”風とタンポポの物語”
は、ふっと優しく切ない気持ちにさせられる。

ちなみに、奥様は、作家である、渡辺一枝さん。
彼女も今では、旅の人生を、風のように生きている。
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