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ピッチパイプ

ウクレレ用のピッチパイプを買った。

ピッチパイプとは調子笛(ちょうしぶえ)。弦楽器のチューニングの際の
音の高さを決める笛のこと。

各弦の開放弦の音程が得られるようになっている。
弦楽器ごとに存在し、ウクレレ用は(ウクレレは普通4弦なので)4つ
笛が小さなハーモニカのように一体化されている。

弦楽器のためのみではなく、合唱やアカペラのための笛もあるのだそうだ。

久しぶりに触る自分用のウクレレのチューニングをした。
ピッチパイプを吹きながら、一弦、二弦・・・・と音を合わせていく。
・・・・と、亡くなった祖母を思い出した。

祖母は彼女がまだまだ小さな子供の頃から自分の母親に三味線をかなり
厳しく習わされ、私が物心つくころには、かなりの腕前だったようだ。
時にはテレビに出演したり、町のお祭りともなると、お神酒所でいつも、
チントンシャンと三味線を弾いている祖母の姿を、今でもはっきりと覚えて
いる。子供の頃から決して楽しくなかっただとうお稽古で、身体にしみついた
三味線の音は、結局、祖母が91歳で亡くなるまで、彼女の身体から消える
ことはなかった。

亡くなる少し前に、ほんの少しだけボケてしまった祖母にどうしても三味線
を弾いてもらいたくて、小さな骨だけの身体の祖母に三味線を持たせた。
すると、まるで急に若返ったかのように、曲がっていた背骨もシャンとなり、
大きくなってしまった三味線をしっかりと持ち、チューニングを始めたのだ。
(この場合、チューニングというよりも、調弦と言ったほうがしっくりくるかな。)

もちろん、調子笛(ピッチパイプ)などない。
祖母は自分の耳だけで、しばらく誰も触っておらずに調弦もめちゃくちゃだ
った三味線を、見事にしっかりと生き返らせたのだった。
祖母の耳はすばらしい!と、心から感心し、感動したのを覚えている。
三味線の音を聞いていたら、泣けてきた。

その後、祖母が亡くなってからもしばらく、三味線を最後に弾いて唄ってい
たその祖母の姿と歌声と、調弦していたときの祖母の顔が忘れられなか
った。

そんな祖母の孫である私が、ピッチパイプを使っても、イマひとつしっくり
とくるチューニングができず、おまけにウクレレの腕前はひどいもの。

天国のおばあちゃん、ごめんね!
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