UDI重要

というわけで終わってしまいましたねえ、「アンナチュラル」。
これ、本当によく出来たドラマでしたねえ。
密度の濃さ、完成度の高さ、倫理観の強さ……そう、
とてつもなく真面目なところも本作の大きな魅力やったと思うんですよ。
石原さとみ演ずる三澄ミコトも市川実日子演ずる東海林も、
普段はくだけた会話を連発してるけどいざ仕事となったら、
いざ死体……いや、「ご遺体」と向き合うとなったらプロ意識の高さを発揮し、
鑑定結果をめぐって検察と対立することも辞さず、
またある犯行グループが仲間割れでメンバーを殺し続けていた時も、
あんな奴死んでもいい……とか思いながらも未然に防ごうとする、
そんな、どんな命でも救わなければならないという崇高さが、
他の過労死やいじめのエピソードにも一貫していて、
もう毎週のように胸を熱くさせられてました……だから、
だからこそ、最終回にはほんの少し違和感を覚えてしまったんですよね。
やはり職業意識から検察と対立してしまったミコトは……いやその前に、
松重豊演ずる神倉所長が検事に啖呵を切るあの場面、
とくに今のご時世を考えると、よく言った！と拍手喝采したくなるくらいで、
しかしその直後の場面で言いすぎてしまったことを後悔し落ち込むそのうなだれっぷりに爆笑させられてしまったけど、
それで話を戻して、プライドを曲げることなく、
新たな証拠を得て被告の有罪を立証することにこぎつけたミコト……しかし、
その結果は当然、被告が死刑となることにつながりますよね。
卑劣な凶悪犯なら死に追いやってもいいのか？……いや、
そこに至るまでの井浦新演ずる中堂の葛藤もきめ細やかに描かれていたし、
現行の法制度上、そうなってしまうことに異を唱えるのは難しいかとは思うけども、
ただ気になるのは劇中、死刑ということに触れていなかったことなんですよね。
やはりそこは避けてしまっていたのか、
あるいは作り手の側も矛盾を感じていたのか……さらに、
その法廷で被告を追い詰めるミコトのとった手段、
あからさまな挑発を用いて被告を激高させ、真相を告白させるという、
法医学者としての証言を超えてのこの行動、
それまで描かれてきたミコトのキャラクターと照らし合わせて、
やはりしっくりこないものを感じないではいられないんですけど、
あるいはこれが、彼女の生い立ちの理不尽さを乗り越えたことのあらわれなんでしょうか……と、
こんな風に書き連ねてると文句つけてるように思われるかもしれないけど、
そうじゃなくって、こうやって考えさせられてしまうのも長所のひとつ、
それだけ余韻がずっとずっと残っているということ、
感動がいつまでも尾を引いていることの証なんですよね。
いやあ本当に最高でしたわ「アンナチュラル」、
もう毎週毎週涙腺が崩壊させられっぱなしで、
これで終わってしまったのかと思うとぽっかりと大きな穴が心に開いてしまって、
これをどうやって埋めればいいものやら……と、
そこまで絶賛するのになんで放送中に感想を書いてなかったんやと問われれば、
いやちょっと無茶苦茶忙しかったもんで……そして、
本当なら出演者一同のイラストも描きたいところなんやけど、
いまマウスの調子が悪くて直線を引こうとしても勝手に破線になってしまうような有り様なもんで、
まあそんなわけで何をいまさら的なものになってしまうけど、
いや本当に面白かったですわ「アンナチュラル」。