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人々を騙す「オルタナ・政権」・・・トランプとネットの親和性

2017-02-07 09:27:00 | 時事/金融危機
 

■ 「オルタナティブ・ファクト(alternative facts)■

ちょっと前の話題ですが・・・

トランプ大統領の就任式に集まった人々の人数について、スパイサー報道官が「オバマ政権以上」と虚偽に発言をした事に対して、彼を擁護した大統領上級顧問のケリーアン・コンウェイ氏がTV番組で「彼はオルタナティブ・ファクト(代替的事実)を述べたに過ぎない」と擁護した事で、アメリカでは”alternative facts”が瞬く間にTwitterなどで拡散し、流行語になっています。

この「オルタナティブ・ファクト(代替的事実)」というのはSFファンには嬉しい表現で、SF作家が描く空想の物語を20世紀初頭に「代替的事実」と表現した事に期限のを持つ。

政治の世界で「オルタナティブ・ファクト」という言葉が持ち出される事は過去には無かったかと思いますが、そもそも政党というのは共通の事象をある「信条」に則って見ている人の集団なので、政党間で「オルタナティブ・ファクト」は常に存在するとも言えます。

例えば、「アベノミクスで実質賃金が上昇」したというニュースに対して、安倍政権の支持者は「アベノミクスの成果が出た」と評価し、否定的な人達は「円安でデフレに戻った」と判断します。


■ ネットに溢れる「オルタナティブ・ファクト」 ■


ネットは「オルタナティブ・ファクト」の宝庫です。私の陰謀論なども、まさに「オルタンタティブ・ファクト」そのものです。

現在は大手のメディアが「公式見解」としての「ファクト」を提供すると、ネットで「オルタナティブ・ファクト」が増殖します。真面目な分析も有れば、面白半分の陰謀論も有ります。ただ、大方は根拠の無い「フェイク」です。

しかし、ネット情報に触れる事の多い人々の間では、大手メディアの報道を信じない人達が増えていて、「マスゴミ」などとメディアを批判しています。この中には知性の高い人も居れば、知性の低い人も居ます。

ただ、ネットを使用する機会の少ない老人を中心とする人達と、ネットを頻繁に利用する人達の「ファクト」が徐々にズレている事は事実でしょう。

■ 人々の「オルタナティブ・ファクト」に付け込んだトランプ ■

トランプは選挙戦の時から、ネットの「オルタナティブ・ファクト」を意識した発言が多く見られました。「不正選挙」に言及するなど、ネットの「ファクト」を上手に利用して、ネット情報を信じ易い大衆の「信頼」を獲得しました。

■ 陰謀論者を手玉に取るトランプ ■

私はトランプの背後には優秀な選挙参謀が居たと考えていますが、彼らはネットの時代の世論形成に精通しているのでしょう。

ネットで様々な情報に接する有権者は「表向きの真実」には猜疑心を抱いています。一方で「実はね・・・」という「代替的事実」に飢えています。(私も含め)

だから、スピーチやTwitterの発信に、最早ネットでは「常識」となっている「代替的事実」を混ぜるだけで「トランプは本当の事を語っている」とか「トランプは世界の支配者と戦っている」と勝手に妄想させる事が出来る。

アメリカでも日本でも、著名な陰謀論者達がトランプを「救世主」の様に見ているのは、トランプの策略にまんまと引っ掛かったからだとも言えます。

そして彼らは新政権がGSのOBや、キッシンジャーの手先や、米軍の強行派に支配されている事に対してさえ「トランプは孤独な戦いを始めている」と妄想を膨らめます。

■ ある種の陰謀論には注意が必要 ■

私はある種の陰謀論には注意が必要だと考えています。

「エリザベス女王は爬虫類型の宇宙人だ」という類は、「陰謀論って低俗なやつらが信じているんだよね」と思わせる一種の「陰謀論潰し」の分かりやすい例です。

しかし、実は「90%の真実の結論に10%のミスリードを混入する」陰謀論が厄介です。彼らは「新聞には書けない真実」を人々に開陳し、そして結論を敢えて誤る・・・。

トランプをネット信者の少なからぬ人達が支持する理由に、この手の陰謀論者達の影響は小さく無いはずです。

■ 日本がロシアと関係改善を始めた時点で、既にトランプが次期大統領に決まっていた? ■

私はトランプは共和党の有力候補を葬り去る為の刺客で、実は大統領選でチョンボをやらかして不人気なヒラリーを勝たせる為の噛ませ犬候補だと考えていました。

しかし、違和感を感じ始めたのは日本政府がロシアとの関係改善の交渉を始めた頃です。次期政権がヒラリー政権だとすると、ロシアに対して敵対的になるはずです。アメリカの意思に逆らえないハズの日本政府がロシアと接近する事はオカシイ・・・。

一方、今となってみればトランプの背後にはキッシンジャーが居て、トランプにロシアと仲良くしろと指示していた。さらに93歳の本人もモスクワに飛んで何やら策謀を巡らしている。

ここまで分かれば、トランプ政権が「準備された政権」である事がほぼ明らかになります。

■ 問題はトランプ政権の与えられた「ミッション」 ■

トランプの言動は一貫性を持っている様に見えて、実は場当たり的です。ドル高が進めば、それを牽制する・・・。様は理念よりはビジネスマン的なセンスで彼は政権を運営しています。

市場はそれに右往左往していますが、短期の相場の動きにあまり意味はありあません。市場は脊髄反射しているだけですから。

問題は、「米国の金利がどの位のペースで上昇し、それが、いつリーマンショック以降の金融緩和バブルを崩壊させるのか」の一転に絞られます。

そして、そこに微妙に絡むのが「メキシコ国境の壁」では無いかと・・・。

大規模な金融危機が発生した場合、仕事を求めて大量のメキシコ人がアメリカに不法入国しようとします。実はメキシコ国境には現在でも壁は存在します。



越境者が多い地域では上の様な壁がかつてから存在しています。メキシコ人は壁の下にトンネルを掘って越境したり、麻薬を持ち込んでいる。こんなイタチごっこがかつてから続けられているのです。

アメリカとメキシコは長大な距離で国境を接していますから、これを全部壁で隔てるには確かに兆大なコストが掛かります。まさに現代の万里の長城ですが、きっとトランプは壁を建設するでしょう。

そのお金は始めはメキシコに出させ様としましたが、メキシコがこれを承諾する訳が無い。だったら日本に金を出してもらおうという事で、日本人の年金であるGPIFの資金に手を突っ込んだ。

かなり強引では有りますが、将来的なメキシコからの大量移民をブロックし、米国内の公共事業で景気を刺激し、さらに自分の懐は痛まない・・・・とてもスマートな方法だといも言えます。

■ 陰謀論者達がトランプに騙されたと気づくのは何時? ■

「オルタナティブ・ファクト」や「陰謀論」なんて色眼鏡を外せば、トランプのやってる事は、アメリカの支配者達の利益を合理的に拡大しているだけです。

ただ、小池知事同様に「アメリカン・ファースト」と叫び続けるだけで人々は容易に騙される。かつてヒットラーが同様の手法で「共通の敵」を作り上げ、ポピュリズムの波が国家を飲み込んで行きました。


■ 再び世界は大きな変革を欲している ■


ヒットラーに資金提供をしていたのはロックフェラーだと言われていますが、ヒットラーが果たした役割は「ヨーロッパの破壊」。

当時の世界はヨーロッパに富が集中する仕組みでしが、成長センターをアメリカに移す事で、世界全体の経済規模は戦後大幅に拡大しました。その過程で基軸通貨をポンドからドルに変え、アメリカの旺盛な消費が世界経済を回し続けて来ました。

しかし、トランプがいくら強引な手法で「アメリカン・ファースト」を遂行しようとも、アメリカの製造業が復活する事は無く、アメリカがかつての成長力を取り戻す事もありません。アメリカが世界の政治と経済のコアである事が、世界全体の成長を阻害しています。

ならば、どうすれば良いか答えは明確です。「アメリカをぶっ壊せば良い。」


トッド・フランク法の廃止は、必ずや巨大なバブルを作り出し、その崩壊は世界の経済システムや覇権構造を大きく変革させる「口火」になるでしょう。

ただ、歴史的には、世界の構造変化に最も影響を与えるのは「戦争」であり、破壊によって「新秩序」が生み出され、「新しい需要」が生まれて来ました。


・・・トランプというクレージーな存在が大統領になった意味・・・彼を避難すれば「知識人」に見えますが、それでは本質が見えて来ません。



本日は人力流の「オルタナティブ・ファクト」を垂れ流してみました。