ぽんちゃんの買ってし魔王な日々

ことあるごとに「買ってし魔王」が降臨する、ぽんちゃん(観音旭光の両刀使い)の物欲の日々を、周囲にばれない程度に語ります。

コメントに対してのお返事

2009-11-28 10:50:24 | 日記
日本の科学者はいらない! (美智子)
2009-11-27 12:28:00
日本の科学者はまちがっているよ。科学者は自分の栄耀栄華だけを主張していればいいのかよ!やつらは国民を虐殺するだけで、国民の幸せを全く考えていない。科学者によって就職や結婚を破壊されたり子供を殺されたりした国民がたくさんいるんだよ。国民を殺しても、科学をてめえの栄達の道具にしたいのかよ。おまえがいてもだれも幸せにならないんだよ!国民を殺害しても世界一になりたい科学などまったくいらない!科学に一位も二位もないんだよ。こんなじじいになっても一位だの二位だの入試の順位にこだわりやがって。裏では犯罪やりまくって表向きはノーベル賞科学者なんて、てめえのことしか考えていない最悪の凶悪犯だ。そんなに科学をやりたいなら、他人のカネを奪い取って食いまくっていないで、自腹でやれよ。
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一つ前のエントリで、こう言うコメントが書かれました。

中々に強烈だなぁと思いつつ、お返事を返したいと思います。

まず、コメントを書かれた「美智子」さんにお伺いしたいのですが、何時『やつら(日本の科学者)は国民を虐殺した』のでしょうか?
『科学者によって就職や結婚を破壊されたり子供を殺されたりした国民がたくさんいる』と言われますが、『たくさん』いるのであれば、その具体例を新聞記事等の客観性のあるメディアでお示しの上、日本で活動されている科学者全体の何%がそれに関わったのかをお示しください。
また、『ノーベル賞科学者』が『裏で犯罪やりまくった』『最悪の凶悪犯』である刑事罰に該当するであろう具体的な事例をお示しください。

なお、科学技術業界の末端で仕事するようになって、それなりに経ちますが、過分にして、その様な情報に巡り会った事はありません。重ねて申しますが、日本の科学者に対して名誉毀損に近い事を発言されるのですから、具体的な事例を示してください。それが無ければ、私としてはあなたの意見を肯定することは断じて出来ません。

もし、「生活保護等の社会保障費に血税が廻らなかったから、その様な事例が発生している」と申されるのであれば、科学者を犯人扱いするのは筋違いです。税金の使途については、行政機関が発議して、国民から選定された利益代表者である議員が所属する立法機関が審議し確定するのが、民主主義および日本国憲法の原則です。税金に関する最終責任者は、日本国憲法の「国権の最高機関」である国会にあります。その事から、もし現状の税金の使途に不満があるのであれば、ご自身の選挙区から選出された国会議員へ苦情を表明するべきかと考えます。

その上で、(所詮は無駄な努力と思いつつ)「美智子」さんのコメントに意見返しますが、研究者が何を考えて研究に従事されているかは人それぞれで、その中には栄耀栄華を求められている方もいるとは思います。しかし、科学者=研究者がいて幸せになった事例は結構あります。抗生物質はその最たるもので、カビを研究していた研究者がいなければ、これ程効果が高い薬が普及せず、その影響で世界の人口は現状より減っていると思われます。より長生き出来るのも幸せだと思いますが?

その研究者が1位にこだわるのは、科学に1位も2位もないものの、1位を目指して5位程度、1位を目指さなければ全世界相手の激烈な競争に直ぐに新興国以下に追い落とされるからです。しかも、追い落とされた後に復活するのは多大な労力が必要となります。

「止めた」ばかりにどうなったかの具体例として上げる日本の航空機業界は、戦前は(エンジンはともかく)そこそこのレベルにありましたが、終戦後、占領軍のGHQの指示で、ほんの数年間、研究開発・製造の一切を禁止されました。その数年間の間にジェットエンジン化が進み、諸外国と日本の航空機産業は絶望的な格差が開いてしまいました。その後、YS-11が生み出されましたが、頑丈な以外は性能的にそれほどパッとせず、営業力の貧弱さも手伝って、商業的には失敗作の烙印を押されてしまいます。以降も、何とか巻き返しを図ろうとしても鳴かず飛ばずで、日本の航空産業大手の三菱重工・富士重工・川崎重工ですら、米欧の主要航空機メーカーの下請けに甘んじている状況です。

ちなみに、最近、某工学系国立大学に行った際に伺った話では、学生教育を兼ねた「教育研究」の経費として40万円弱を各研究室へ配布しているだけで、後は、政府関係機関もしくは民間企業からの外部からの研究費で賄うような体制になっています。40万円を高いと見るか安いと見るかは人それぞれだと思いますが、やはり何か腰を入れて研究しようとするには余りにも少ない数字だと私は考えますし、裁量労働制で残業代が存在しない研究者の自分の給与から補填するにしても、可処分所得は余りに少ないと考えます。

さらに極論に対して極論を返す形で言いますと、大学では学生に専門科目を受講させて一定の知識を蓄積させた上で、ゼミなり卒業研究なりで研究を模擬的に経験させ、学生が社会に出ても自らが問題を解決出来るだけの技能を習得させる教育機関となっています。ところが、先の「教育研究費」を含めた研究費を無くすという事は、学生への教育の最終目的が達成できないことになります。その教育分を、学生を採用する民間企業が負担するようにすれば、社員教育の経費がアップし、その分コスト高になり、確実に諸外国との価格競争力が落ちます。バブル崩壊以降、民間企業に体力が無くなったため、社員教育に関する部分も学校教育で実施して欲しいと申し入れている現状から、さらに民間企業側へ負担させる方向への変更ですから民間企業も負担に耐えられないかもしれません。元々、技術者が優秀だった事から、ここまでの経済成長を見せた我が国ですが、その技術者のレベルが下がれば、当然将来の成長は鈍化するでしょう。

ましてや、国際競争を争っている企業としては、日本の人材が信用出来なくなれば、人材確保のため、人材が優秀な韓国、台湾、中国などへ逃げ出すかもしれません。そうなれば、法人税は減り、失業者が増えるため所得税が減り、逆に失業者への失業保険、生活保護などの社会保障費が増え、ますます機動的に使える税金が減る訳で、どんどん硬直化して負のスパイラルに突入し、破綻への道へ突き進むと思われます。

そんな事態に至らないようにするためにも、日本に工場を置くメリットを維持するとともに、次フェーズで海外へ打って出られる技術、海外の相手が金を払っても手に入れたいと思う技術を、今の段階から仕込む必要があると私は考えます。

最後に、私は「科学技術関係予算を増やせ」とも「同額確保せよ」とも「研究支援制度を現状維持にしろ」と明確に言っている訳でもありませんし、「文部科学省のファンディング機関2法人を統合するな」とも言っている訳でもありません。ただ、赤字であっても一定のレベルで政府の関与が必要な分野であること、「無駄削減」「効率重視」が、科学技術に対しては逆に阻害要因となるので、その点を良く良く考えるように、との意見を自分のblogで申したまでの事です。ちなみに、平成20年度通常予算の約84兆円のうち、科学技術関係経費は約3.5兆円(pdf)で、政府予算の数%と言う状況を「多い」と見るか、「少ない」と見るかは、(そんなにいないと思うけど)このエントリの読者にお任せしたいと思います。

と書いていたら、寝落ちして翌日のアップになってしまったのは内緒です。
コメント
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