山本飛鳥の“頑張れコリドラス!”

とりあえず、いろんなことにチャレンジしたいと思います。

20 経済産業省(カーボンフットプリント)

2012-01-07 11:14:24 | 産業・技術
さて、このブログでのエコプロダクツの展示のご紹介、第20回目は「カーボンフットプリント」です。これは、結構大きなテーマなのですが、ついついまとめるのが後回しになってしまいました。



「カーボンフットプリント制度」は「低炭素社会」に向けて国が始めた制度であり、様々な商品について、その商品が作られる時から廃棄されるまでに排出する二酸化炭素の量を表示するというものです。
「カーボンフットプリント」というカタカナ語は、あんまり意味がピンとこなかったのですが、カーボンとは炭素のことであり(なるほど炭素の原素記号のCはcarbonのCだったのですね)、footprintとは足跡、検証用の足型というような意味のようです。

いったいどうやって二酸化炭素の排出量を算出するのやら、そのあたりが具体的にはよくわかりませんが、「商品種別算定基準(PCR=Product category rule)というものに基づいて公正な算出方法で出された数値を、その商品に表示して売ることを推進しているようです。



例えば、イオンで売っている宮崎産のピーマンですが、CO2が0.4gと表示されています。内訳は「原料調達」9%・「生産」45%・「流通」8%・「使用・維持・管理」36%・「廃棄・リサイクル」2%で、これらを合計して、製品100gあたり0.4kgの二酸化炭素が排出されるということが示されています。

ピーマンを作り、袋を作り、袋に入れて運んで売って、人が買い、食べて、袋を捨てて処分するまでの、ピーマンと袋を含めての二酸化炭素排出量なのでしょうか?こんなに細かく計算するのは、非常に面倒臭いようにも感じますが、例えば、輸入野菜だと輸送するのにたくさんの燃料が必要であるため、流通で使う二酸化炭素がかなり増えるということになるのでしょう。当然、二酸化炭素の数値が少ないほうが良いということで、2種類の商品が並んでいたら、二酸化炭素の排出量が少ない方を買うという選択ができます。

この表示をすると、その商品が選ばれて売れる以外に、なにか経済産業省からご褒美でもあるのかと思いましたが、そういうわけではないそうです。では、表示する企業にはどういうメリットがあるかといえば、低炭素を心掛けているという意思表示をすることにより、イメージアップがはかれる程度のようです。
ま、とにかく、国としては、すべての物について、二酸化炭素をバンバン出して生産するようなことが無くなることが目的なのでしょう。



パックごはんにも表示がついています。左は2.6kg、右は1.6kg。どうして同じ商品なのに数値が違うのかと思ったら、一方は5パック分、もう一方は3パック分の二酸化炭素ということでした。ピーマンは100グラム当たりになっていましたが、ご飯はそうではなく、表示をよくみないとわかりません。パックご飯の場合、食べる時に電子レンジで温めるのと、プラスチック容器の生産や処分時に排出される二酸化炭素の量があります。



商品は食べ物に限らず、衣類・電化製品・雑貨・印刷物などすべての分野に渡ります。
そこで、例えば、LED電球について見てみます。
LEDは、白熱灯に比べて省エネであり、長寿命です。ところで、この表示を見ると、二酸化炭素排出量は1製品当たり133㎏となっています。これは大量です。
内訳は、原料調達6%、生産0.3%、流通0・02%、使用維持管理94%、廃棄リサイクル0・008%です。
電球は使う時に電気を使用するので、それがなんと94%にもなって加算されてしまうわけです。この写真のLEDは消費電力6.5Wとわずかですが、寿命は約4万時間もあるため、その期間の長い分、二酸化炭素量が増えてしまいます。例えば、白熱電球の場合は、1000~2000時間の寿命しかありません。当然数値は小さなものとなります。そうすると、1製品あたりの二酸化炭素排出量の比較で、環境に優しいかどうかを判断することは意味がありません。1年あたりでの数値でも出さないと比較できないでしょう。

その他、例えば食器なども、「使用維持管理」の部分で、洗浄や乾燥などに必要な二酸化炭素の量が想定されて加算されているそうです。そのときに使う洗剤を生産するのに排出された二酸化炭素や、水道水の分まで入っているのはどういうものでしょうか?使用回数を1000回などと想定しているようですが、あんまり意味がないように思えます。洋服なども、それが廃棄されるまでの着る回数や洗濯・アイロンにかかる排出量などが想定されて計算されて表示されていますが、その想定で出された数値は、なんだかあまり意味がないように思えました。

この制度は、まだ試行段階のようですが、表示方法も様々ですし、算出方法もどこまで信頼できるものか疑問が残るように思いました。いかにも役人が考えるような現実に即さない印象を受けたのは否めません。
二酸化炭素の排出を減らし、地球温暖化を食い止めようという意気込みはわかるのですけど、ちょっとどうかなという部分があります。

イオンやコープ、前回ご紹介したサンエー印刷などが、この制度をとりいれています。ちなみに印刷物は、使用は読むだけなので、二酸化炭素の排出は無いということで計算されています。
私は普段買った物にこのマークを見かけた記憶がないので、今後注意してみようと思います。

ここは実は、朝1番で見学し、そのとき、元総理大臣の鳩山さんをとりまく一群に遭遇しました。やはり、経済産業省でやっているところだからいらっしゃったのでしょうね。護衛の人などもついてはいるんでしょうけど、現在の総理ではないため、一般人のすぐ近くに普通に立っていたので驚きました。