山本飛鳥の“頑張れコリドラス!”

とりあえず、いろんなことにチャレンジしたいと思います。

ザ・コレクション・ヴィンタートゥール

2010-09-02 19:42:37 | 美術・美術館
肝心な、世田谷美術館の展覧会について書きます。
今回は、音声ガイドを聞きながら絵を見ていきました。やっぱり、説明を聞かないと何が何だか分からず、絵の前をそのまま通り過ぎてしまうことが多いです。
音声ガイドは500円もするので、入館料とともに貧乏人にはきついですが、奮発します。
さらに、絵ハガキやファイル等も必ず買ってくるので、すごい出費ですが、しかたがありません。

さて、クリアファイルに載っている絵です。



まずは、右下から。クロード・モネ「乗り上げた船、フェカンの干潮」(フランス近代。印象派)
モネと言えば、「池の睡蓮」という印象があり、あまり「海の船」というイメージはありませんでしたが、海に行って船の絵を描くことも多かったようです。この船の絵では、空の明るさに対して、地面の船の陰になる黒が際立っているとか言う説明でした。なるほど、言われてみればそうかな~。

次に右上。フィンセント・ファン・ゴッホ「郵便配達人ジョゼフ・ルーラン」(フランス近代 印象派以後)
帽子と洋服の青と背景の黄色がくっきりとしている。ひげ等の描き方には印象派の影響があるが、自然の姿をそのまま描くのではなく、もっと主観的な意思を持って色付けをしている。
というような説明でした。なるほど、実際ヒゲはあんな緑色ではないんでしょう。顔も実際とはかなり違うのでしょうが、なんとも味があるというか、非常にインパクトのある絵です。
この絵は、あきらかにこの展覧会の目玉作品のようですが、この絵が好みの人はあまりいないようで、絵の前には人があまり集まっていませんでした。

左上。オディロン・ルドン「アルザスまたは読書する修道僧」(フランス近代、印象派以後)
この絵は、ちょうど第一次世界大戦が始まった1914年ころの作品だそうです。
アルザスはフランスとドイツの国境にあって、この絵が描かれたときは、ドイツに占領されるかもしれないという状況であり、ぼんやりした色で塗りつぶされた背景や、この修道僧の姿にその不安が描かれているというような説明でした。
説明を聞かないと何が何だか分からず通り過ぎる絵だったに違いありません。
「フランスアルザス フランスアルザス と先生が黒板に文字を書いた」という「最後の授業」っていう小説を思い出しました。
ルドンという画家はあまり知らない人だったので、覚えておきたいと思います。

左下は、アンリ・ルソーの「赤ん坊の祝い」という絵です。
これはもっと新しい時代の絵なので、後で書きます。




次に、ドイツとスイスの近代絵画に移ります。
左。アルベルト・アンカー 「コーヒーとコニャック」
この静物画は、非常に整った美しさを感じさせられるもので、見入っている人が多かったです。
静物画っていうのは、あんまり面白くもないものが多いと思いますが、なぜにこの絵はこんなにも人をひきつけるのかというと、まずは、それぞれの物が完璧に配置されていて、重なりあったりせず絶妙な位置に置かれているのだそうです。そして、陶器やガラスやそれに入っている物の質感などがそれぞれに緻密に描かれているということです。
画家というのは、描くのがうまいだけではなく、置き方の時点でもう違うんだな~と思いました。
次元が違いますが、私も写真を撮るとき等、あったものを適当に並べて撮るのではなく、もっと配置を考えなくちゃと思いました。そうしたら、同じオートで撮っても、ちょっとは違うかもしれませんね。

右。アルフレッド・シスレー「朝日を浴びるモレ教会」(フランス近代、印象派)
シスレーはこのような教会の絵をたくさん描いているそうで、どれも南西の方向から描いているとのこと。そして、この絵では日光の当たっている壁と当たっていないところのコントラスがはっきりしているとのことでした。なるほど。

次に20世紀の絵になります。(表現主義的傾向)


右。 アレクセイ・フォン・ヤウレンスキー「ルネサンス風の頭部」
説明は全然覚えていません。黒い太い線や色使いも面白いですね。

左。ワシリー・カンディンスキー 「はしごの形」
左下から上への活力ある動き。右上から下への静への動き。
上下の世界を行き来することのできる梯子?
私は最初左下の三角の重なりは木だと思ったのですが、これは何であるとはっきりした物を描くことをしない主義だとか?でも、左上は私には太陽に見えます。
このころは、抽象画がでてきて、周囲にも他の画家のわけのわからない絵が並んでいました。
でも、この絵はちょっといい感じで、気に入りました。
パウル・クレーの「水脈占い師のいる風景」という絵も印象的でした。

最後に、アンリ・ルソーの絵。


左。「花束」、右「赤ん坊の祝い!」。
このころは、素朴派かあら新たなリアリズムの絵の時代。
プロの画家たちが抽象画を描いている一方で、素人の描くわかりやすい絵が注目されるようなったようです。
その中で、ルソーも絵の勉強をしたわけではなく、独学で絵を描き始めた人だったそうですが、既存の手法にとらわれない描き方で、才能を発揮したようです。

左の花瓶の花は、何気ないのですが、いい感じですね。

そして、最後に、この赤ん坊の絵。ものすごいインパクト!です。
赤ん坊なんだか、男の子なんだか、ウルトラ坊やというか。
この頑丈な体に、意志の強そうな顔。とてもかわいいとは言えないのですが、おお、強健!
きっと力強く生きて行くに違いありません。
この絵は、赤ん坊の祝いの絵として注文によって描かれたものらしいです。
赤ん坊は、摘んだ花を衣のすそに包んで右手で持ち、左手にはおもちゃの操り人形。
背後の木の葉を見ると、ああ、ルソーの絵だなと思えますね。
成長する木や花などとともに、この絵は子どもが力強く成長することを示しているようです。音声ガイドでその様なことを言ってました。

これを見ていて、「あれっ、どこかでこんな雰囲気のものを見たことがあるぞ」と思いました。
なんだったかな・・・?
そして、「おお!金太郎じゃん。これ、西洋版の金太郎だよ」と思いました。
この力強さといい年かっこうといい、まさしく“金太郎”ではないか。

展示を見た後、ミュージアムショップに寄ると、なんとこの絵の男の子の顔の金太郎飴が売っていました。
ああ、やっぱり、金太郎だと思うのは、私だけではなかった。
やっぱり、金太郎ですね。

この展覧会の目玉は、この絵かな。


ここに記載したのは、買ってきた絵ハガキなど、ごく一部の作品についてですが、他の作品も非常に見ごたえのあるものでした。
それにしても、ヴィンタートゥール美術館の作品をこんなに持ってきちゃって、本拠地のスイスのほうは大丈夫なのかな?などと気になってしまいましたが、美術館経営としては貸出も重要?それに、スイスまで行かなくてもこんな名画が見られるのは嬉しいことですね。