山本飛鳥の“頑張れコリドラス!”

とりあえず、いろんなことにチャレンジしたいと思います。

映画「変身」

2007-09-09 00:46:08 | テレビドラマ・映画
また、DVDを借りてきて見た。まるで予備知識はなく、お店で物色する中で、東野圭吾氏の原作であることと出演者を見て決めた。作品の内容についてパッケージに書かれているが、老眼ゆえ読むことができないのである。だから選び方はあてずっぽうである。

出演は玉木宏と蒼井優で、このひとたちも最近磨きをかけてきている俳優である。この作品をみると、今とは雰囲気が少し違って、妙に若い感じがしたので、かなり古い映画かと思ったら2005年とのこと。まだ2年だからそんなに古くはないようだ。

内容は、他人の脳を移植したことによって人格が変わっていくという恐ろしいものであるが、それに立ち向かう二人の愛を描いたものだった。
本来幸せになるはずの2人が、何ものかの不条理な行いによって破壊されていくという悲劇は、白夜行にも似ている。愛は残るが割り切れない悲しみものこる。

登場人物は少なく、筋もそれほど複雑ではなく、2人の演技力で見せる場面も多かった。
映画の描き方としてはいいほうだと思う。
しかし、根底に流れる不気味さと、幸福な気分で終わることのできない点では、宮部みゆきの模倣犯などにも共通する部分があるように思う。
どうして、こういう割り切れない作品が多いのか?世の中が不安につつまれているからだろうか。
絵画の世界でも、印象派のころまではきれいな作品が多かったが、その後20世紀の作品となると死や不安の匂いのする作品が多くなった。文学や映画も同じようなことが言えるかもしれない。世の中に厳然としてある不条理とそれに翻弄されるしかない小さな存在の人間。昔は貧しさや危険のなかでも、厳然とした人の心と信頼があって、それを頼りに生きていくことができた。しかし、現在ではそれも危うくなっていて、頼れるものや信じるものがなくなっているのかもしれない。

脳という唯一信頼できる心を操作されてもなお、人はやはり脳を頼りに生きていくしかない。