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集会報告、読書記録、観劇記録などの「ときどき日記」

朝鮮半島情勢、緊迫のなかでの3・1朝鮮独立運動集会

2018年03月01日 | 集会報告
平昌(ピョンチャン)冬季オリンピックの幕が下りた。
隣国では1950年以来朝鮮戦争が続き、いまは1953年以来の長い停戦状態であり、オリンピックは軍事対立から平和協定へ、平和や統一を進めるひとつのチャンスだった。開会式や閉会式で「対話」がなされ、朝鮮半島統一旗をもって入場行進が行われ、女子ホッケーの南北合同チームができた。ところが開会式でムン大統領や北の代表団、IOC・バッハ会長が立ち上がって拍手を送るなか、日本の安倍晋三首相とアメリカのペンス副大統領は二人とも座り込み、記者会見で「米韓軍事演習の実施を望む」などと冷水を浴びせ、当の韓国大統領に「内政干渉だ」と不快感を示された。なぜ隣国の平和促進、統一促進を歓迎できないのか、そして軍事対立を煽るようなことばかりするのか、謎である。隣国の軍事緊張は安倍首相にとってなにか利益があるのだろうか。

こうした風潮に異議を唱える集会がオリンピック閉会式の前夜、2月24日(土)夜、文京区民センターで開催された。3・1朝鮮独立運動99周年「止めよう!安倍政権があおる米朝戦争の危機 2・24集会(主催:日韓民衆連帯全国ネットワーク在日韓国民主統一連合など6団体の呼びかけによる実行委員会)である。
昨年のこの会は、キャンドル革命成功直後に行われ、キム・ジャンホさんから明るく力強い報告を聞いた。今年は平和のオリンピックのさなかなのに、トランプ大統領と安倍首相は制裁強化一辺倒で、特に安倍首相は「圧力をかけ続ける」としか言わず、NHKの日曜討論はほぼ毎週北朝鮮情勢を扱っている。まるで戦争前夜の雰囲気である。
今年は、安倍の9条改憲に関する半田滋さんの講演とキャンドル革命後の韓国の平和と統一をめぐる現在と今後の展望についてハン・チュンモクさんのお話を聞いた。両国とも「平和」が差し迫ったテーマになっていた。

安倍政権があおる米朝の危機
      半田 滋さん(東京新聞論説兼編集委員、獨協大学・法政大学非常勤講師)

●攻撃能力を備えた自衛隊の装備
長期政権を続ける安倍首相は9条改憲を狙っている。9条2項は軍隊の不保持と交戦権を否認する世界にも例のない条項である。いままで自衛隊が合憲だったのは、侵略に対する「必要最小限の実力行使」であり、交戦権ではなく実力行使とされたからだ。自衛隊は他国のような攻撃的兵器はもたないとされ、2013年までの防衛白書では、日本が保持しない「他国に脅威を与えるような強大な軍事力」の例として「大陸間弾道ミサイル(ICBM)、長距離戦略爆撃機、攻撃型空母」の3つを挙げていた。しかし第二次安倍政権が成立した2012年12月から1年あまりたった2014年の白書からこの例示は消えてしまった。
来年の防衛予算は5兆1800億で、射程900キロの長距離巡行ミサイルを含み北朝鮮に着弾できる。これは2017年夏の概算要求には入っていなかったが、11月のトランプ来日で突然購入が決まり、追加された。同様に、迎撃しにくい弾道ミサイルで敵基地攻撃能力をもつ島嶼防衛用高速滑空弾も加わった。また護衛艦「いずも」の攻撃用空母化計画も進んでいる。北朝鮮まで戦闘機を飛ばすための空中給油機も4機持ち、上空で指揮できる空中警戒管制機(AWACS)も6機保有している。対地攻撃ができるF2戦闘機は10年以上前からあるし、F35ステルス戦闘機も今年から導入した。このように自衛隊は敵基地攻撃能力を一部保有し、さらにミサイルを保有するようになりつつある。それは安倍以前から一貫して準備してきたものだ。その他、イージス艦、そうりゅう型潜水艦、90式戦車、IT化された陸上部隊など、「必要最小限」どころか一般軍隊として、世界でも先端の装備品を備えている。
●活発化する自衛隊の海外活動
92年の国連平和維持活動(PKO)以降、10回2万人もの自衛隊員が海外で活動してきた。イラクやクウェートには特別措置法で派遣したが、2015年9月成立した安全保障関連法で、いつでもいつまででも、どこにでも派遣できるようになった。「存立危機事態」なら許されることになっているが、これは「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」と定義されている。密接な関係にある他国とはたとえばアメリカのことだが、アメリカは1万キロも離れている。アメリカは世界のいろんなところで戦争をするが、たとえば中東でアメリカの軍艦が攻撃されるとなぜ日本人の生命や自由が脅かされることになるのか、関係ない。
当初、安倍首相はアメリカの軍艦で避難する日本人母子を自衛艦が護衛するという例で説明しようとした。しかしなぜ大使館が早い段階で母子に避難勧告しないのかとか、自衛艦が護衛に行けるのなら、そもそもアメリカの軍艦でなく自衛艦に乗せればよいという矛盾に気づき国会には出さなかった。それに代わりホルムズ海峡の機雷除去を持ちだした。これに対しイラン大使が「日本はイランの友好国ではなかったのか」と猛抗議をした。ちょうど7月23日の衆議院強行採決の日だった。参議院通過前には「いま現在の国際情勢に照らせば、現実の問題として具体的に発生するものとは想定していない」という答弁となり、最終的に「政府が総合的に判断」ということになった。政府のさじ加減次第ということだ。
安保関連法が成立し、まず南スーダンでかけつけ警護が発令された。次に日本海のアメリカのイージス艦に日本の補給艦が洋上補給を行った
北朝鮮の核依存の主張は、もし核を持たなければリビアやイラクのようにアメリカの餌食となる、深刻な教訓だというものだ。冷戦時代の米ソの相互確証破壊の理論で、核があればそうならないというものだ。2013年に外相が「アメリカは共和国と平和協定を締結し、武力攻撃をしないことを確約すべきだ」と述べた。
日本はイージス艦やPAC3などミサイル防衛システムを装備しているが、そもそも72年に米ソのあいだでは軍縮の観点からABM条約で、ミサイル防衛はしないことにしていた。さらに17か所しか守れないし、原子炉をカバーしていない。しかも核兵器禁止条約に参加もしない。
安倍政権は、北朝鮮とアメリカの危機をあおることはあっても、平和への取り組み、核軍縮の取り組みはゼロといってよい。
●憲法改定を止めるために
安倍政権は自衛隊を憲法9条に書き込もうとしてしている。あとでできた条文が前にできた条文を凌駕するのは法学の常識だ。自衛隊は自己増殖する。
日程的なことを考える。3月末までは来年度予算があるので、それ以降に憲法論議が始まる。秋の臨時国会で発議されると60―180日に国民投票となるが、来年は4月末に天皇代替わりがあるので5月以降になるだろう。
最悪のケースは7月の参議院選との同日施行だ。というのは国民投票は公職選挙法に縛られないので、戸別訪問もできるしおカネも使い放題、広告宣伝も14日前までできるので与党に有利になる。また地方自治の住民投票と異なり最低投票の規定もないので、人口の2割の賛成で憲法改定ができてしまう。自衛隊が軍隊になる。
できれば国会前にみんなが行き、「改憲の発議をするな」という運動を始めないと安倍の暴走は止められない。わたしたちの力は微力であっても、やっていかないといけない、と思う。

2018年激変する情勢と韓国民衆運動の方向

      ハン・チュンモクさん(韓国進歩連帯常任代表)
平昌平和オリンピックの応援に、日本の朝鮮総連と韓国民主統一連合の方が200人韓国を訪問された。総連は16年ぶり、韓統連も李政権とパク・クネ(朴槿恵)政権の間は訪問できなかったので10年ぶりになる。
当初の予定では、閉会式の日はパク大統領の任期最後の日、つまり大統領選挙になるはずだった。そうならなかったのはのべ1700万人が参加したキャンドル革命の成果だ。パク・クネを追い出し、監獄に送ったが、世界の革命の歴史のなかで銃と流血による成功はあっても、ローソクと市民の力で成功させたことはなかったのではないか。これはひとつの奇跡だ。
もうひとつの奇跡は、北が核武力をもち、抑止力をもつことを世界に宣言したことだ。北は世界のなかでも小さい国だが、核とICBMを保有しアメリカやロシアのような覇権国と対等に肩を並べられるようになったことだ。最終的に米朝はパワーゲームをどのように終結させるのか。わたしたちは、対話と交渉で解決できるという希望をもっている。わたしたちがキャンドル革命によりムン・ジェイン(文在寅)を押し出せたからこそ言えることだ。
平昌平和オリンピックに北は高位級代表団、応援団、選手を派遣した。そして開会式に南北合同チームが統一旗で入場した。ムン・ジェイン大統領もキム・ヨンナム(金永南)委員長も、バッハ会長も立ち上がり拍手した。しかしペンス副大統領と安倍首相だけが座ったままだった。南北の女子ホッケー選手が聖火台への階段を駆け上がるのをみたキム代表は涙を流したようだった。90歳を超える代表は胸がいっぱいになったのだろう。
2月23日アメリカは最大限の制裁を科し、北への物資をすべて遮断することを宣言した。アメリカが本当に友好国なのか、日本と韓国はしっかり見極めるべきだ。アメリカを克服しないと朝鮮半島の平和と統一、東アジアの平和と繁栄はない。南と北が和解と協力、南北首脳会談に向かうか、それともトランプや安倍が願うように韓米日合同軍事演習、戦争への道を進むのか、わたしたちはその岐路に立たされている。
オリンピックが終わればわたしたちはすぐ韓米軍事演習反対に立ち上がる。8月15日には全国決起集会を開催し、アメリカ大使館をヒューマン・チェーンで取り囲む。来年3月1日は朝鮮独立運動100周年に当たる。独立運動は国内的には自主独立運動だが、世界史的には民族解放闘争の側面もある。そこで平和を求める世界的集会を開催したいと考えている。ソウル、ピョンヤン、東京、ベルリン、アメリカなどで国際的な運動をつくっていきたい。

統一旗への寄せ書き
オリンピックには南北だけでなく、海外からも多くの人が応援にかけつけた。韓統連代表の8人もそのグループのひとつだった。またこの日の集会にはカナダのトロントから翌日の東京マラソンに参加する市民ランナーが参加し、「明日は統一旗をまきつけて走る」とアピールした。
そのほか沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックから沖縄の問題、「許すな! 憲法改悪・市民連絡会」から憲法「改正」発議の問題、VAWW RACから「慰安婦」合意、「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会から朝鮮高校生の裁判についてアピールがあった。また会場には大きな統一旗が広げられ、みんなで寄せ書きをした。

67校全国行脚の報告
その1週間前の2月18日(日)午後、同じ文京区民センターで「高裁での逆転勝利へ! 再決起集会」(主催:東京朝鮮高校生の裁判を支援する会ほか3団体)が開催された。
2月23日には朝鮮総連本部への銃撃事件が発生し、2人が逮捕された。これは明白なテロである。朝鮮高校生への無償化排除も、日本社会の在日差別の一環であり、日本国家による
朝鮮学校へのテロともいえる。
集会の演題は3つで、まず3月の控訴審を前に、また2月19日の控訴理由書に対する国の反論を前に、3人の弁護士から控訴理由書の解説などがあった。控訴審第1回口頭弁論は3月20日(火)14:15から101号法廷で行われる。
次に在日本朝鮮人人権協会の朴金優綺さんから「国際社会から見た朝鮮学校差別問題」という報告があった。2008年以降、無償化排除に関し国連の自由権規約会議、人種差別撤廃委員会、子どもの権利条約委員会、社会権規約委員会から4回日本政府に勧告が出た。それに加え昨年11月16日に国連人権理事会で日本に対する第3回UPR(普遍的定期審査)の報告書が採択された。これは5年に一度定期的に行われる。自由権規約会議などの条約機関では勧告の対象は条約締結国のみ、審査形式は個人の専門家(たとえば人種差別撤廃委員会の場合、18人)であるが、UPRはすべての国連加盟国を対象に、国家による相互審査として行われる。ただし条約機関による勧告をベースにしている。
人権協会は、事前にNGOレポートを17年3月に提出し、17年9月に東京で15か国の駐日大使館にブリーフィングを行い、10月にジュネーブで13か国の外交団とのミーティングで要請をした。「朝鮮学校にだけ明確に差別したの? 21世紀にそんなあからさまなことをしていいの?」と驚いてくれた外交官もいた。その結果11月14日に審査が行われ16日の報告書では、たとえば
オーストリアが「社会権規約委員会及び人種差別撤廃委員会による勧告に沿った形で、マイノリティの子どもが差別されることなく教育を受ける権利を享受することを確保すること」と勧告するなど、ポルトガル、パレスチナ、北朝鮮の4か国がこの問題で日本に対し勧告を出してくれた。
最後に67の朝鮮学校の全国行脚を昨年6月から12月に達成した長谷川和男さんから報告があった。朝鮮学校には、
日本の学校が失った「学校の原点」が残っているとのことだった。なお会の前に、今年もスンリ基金に100万円の裁判カンパの贈呈式が行われ、会の最後に金曜行動でも歌われている「どれだけ叫べばいいのだろう奪われ続けた声がある」の「声よ集まれ、歌となれ」をみんなで合唱した。
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