風を切る唸り音が聞こえてきそうなほど、豪快に火の粉を飛び散らせているのは、東大寺二月堂の修二会(しゅにえ)、お水取りの松明。
これぞ炎の祭り。お松明を自在に操る童子たちの腕の見せ所です。
本堂の欄干の縁に松明の竿をあて、勢いをつけて高速ローリング。
今までもうもうと立ち上っていた松明の炎が、回転と同時に全方位火の粉を蒔き散らせるのです。
お堂の下で待ち受けていた観客達からは、「おうっ!」という低いどよめきと拍手が沸き起こります。
見ていると、松明を扱う童子の手腕によって、美しい炎とそうでないものがあるのに気が付きます。
手慣れていない童子の場合は、回転の芯がぶれてしまい、回っている時間も少ないのですが、ベテランともなると、中心軸がピタリと決まり、回転の軌跡を目で追っていると、まるで炎のソフトクリームのように、きれいにとぐろを巻くのです。
写真は、おそらくこの日の最高傑作。
観客の歓声もひときわ大きかった美しい炎の軌跡です。