ゆるり空間事変

そう、自分の影がすこし大きく なりすぎたから

村上春樹と二十代前半の空気

2005-04-25 19:36:53 | kattenisiyagare
村上龍の小説を高校のときによく読んでいた僕は、書店で隣に並ぶ村上春樹という作家を、気になりながらも、黙殺していた。なんだかタイトルからして自分に合わない気がしたから。
しかしやはり心のどこかで引っかかっていて、読む小説がなくなったころ僕は始めて彼の作品を手に取った。
確か、それは「ノルウェイの森」だった。
そのとき読んだ感想はまずまずというところだった。
しかし、そのあと半年くらい経ったころになって、急にまたノルウェイの森が読みたくなってきたのだ。それは知らぬ間に体の中で増幅していた。そういった感じになるのは初めてのことだった。
そこから村上春樹の世界に引き込まれてゆくのに、時間はかからなかった。
彼の作品から僕は、とても鮮明な「学生の空気」みたいなものを感じる。その作品の舞台が、学生時代であってもなくてもだ。
彼の作品を読んだのは高校生のときだったが、大学生という二十代前半くらいの微妙な時期の空気をどんなものより感じ取ることができた。
大学生になった今思うのだが、その空気は、僕の目の前のリアルな空気よりリアルなのだ。うまくいえないのだが。
そして僕は学生であるのにも関わらず、学生の空気のにおいが無性に懐かしくなり、彼の作品をまた読み返すのだ。

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