ゆるり空間事変

そう、自分の影がすこし大きく なりすぎたから

安藤忠雄

2005-05-11 00:49:56 | kattenisiyagare
建築を志す前、つまり建築というものに興味を抱く前に、偶然テレビで安藤忠雄の建築を見た。
そのとき、安藤忠雄という人物を知らなかったけれど、テレビに映されたその家は僕に衝撃を与えた。
コンクリート打ち放しで、ディテールもかなり完璧、家という箱の中で光までもあやつっていた。すべてが極限にまで洗練され絞り込まれた空間。田舎で建売住宅に囲まれた環境に育った僕にとってそれは信じられないくらい美しい光景だった。
それから何年か経って、自分で建築がつくりたいと思ったとき(少なからず醜い空間に囲まれた僕は時折テレビや雑誌や限られた場所にある美しい建築に飢えていたのが動機として自分の中に潜伏していたのだと思う)、初めに好きになったのは安藤の建築だった。そして勉強するにつれて、僕が何年か前にテレビで見たのが安藤の「小篠邸」であると知った。
僕は何も知らずに安藤にはまり、そしてそのことを知ったとき、何も知らなかった僕をとらえた安藤建築のすごさを見せ付けられた。
ブランド志向の世の中、作品だけで人をひきつけることはすごいことだ。
彼の作品はコンクリート打ち放しという今となっては氾濫した表現を多用しているのにも関わらず、作品を見ただけで安藤のものだとわかる何かを秘めている。
単純な幾何学の構成の中に潜む、とんでもないカオスというか、透明感というか、静けさというか・・
うまくいえないけれど彼の作品の中には注意深く見れば見るほどオリジナルがある。
きっとそれがものを創っていく上でもっとも重要なファクターを占めるものなのではないかと思ったりする今日この頃なのでした。
自分も早く自分のオリジナルを見つけなくては。

今日聴いた音楽・travis、chemical brothers