詩の自画像

昨日を書き、今日を書く。明日も書くことだろう。

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鎮魂の木

2016-10-15 06:12:01 | 

鎮魂の木

      

 

朝になると

太陽を背負った時間は金色に光り輝くから

私は鎮魂の木と呼んでいる

 

津波被害を受けたこの地区は

戻らない人がいるので

その木はまだ姿を隠したままだ

 

海から見て その線上の先にある定位置

目を閉じると

ボコボコと津波の走る音が聞こえてくる

 

山にぶつかる音がして

名前を呼ぶ声が波に跳ね返され

舟がゆらりと浮いた

 

夕暮れを見送ると 

夜が来て朝が来る

長い夜には考えることがいっぱいあって

朝まで残ったりしている

 

水平線から昇り始めた太陽が

丸みを帯びた背中からゆっくりと入ってくると

私の中に鎮魂の木は出来上がるのだ

 

私は 一人静かに

そこに向かって手を合わせる

そこにはたくさんの願い事や考え事が

ぶら下がっている

 

風が吹くと擦れ合う音がする

この音が切ないのだ

木からも涙が零れ落ちてくるから

周りはいつも水浸しになっている

 

このようにして時間が過ぎてきた

手を合わせるとき 今も心の中に名前を置く

 

太陽を背負った木は育っている

いつまでも枯れることなく朝になると光り輝く

この木の本当の姿は誰も知らない

(詩集 桜蛍)

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