柔らかな日差しが 秋の終わりを告げようとしていた
散歩に出て 目に留まったブルーの扉・・・
そういえば この通りは 何時も人影がまばらで 静か・・・
窓辺の花が素敵と目をやった時
あなたが見えて 戸惑うこころを宥めようと はにかむ私に
あたたが 言う
こんにちは いいお天気だね
この一言は 晩秋の街並みを 風のように揺らした・・・
偶然と言う言葉が あると言うなら
角を曲がろうとした私に 自転車でぶつかりそうになった時
微かな記憶を 探る私に
あぁ 君は この前の 散歩していた人？
悪びれることもなく 笑顔で語りかける
あの青い扉の人は
すごい また出会ったね と
手を振り 走り去っていった 
友人の見送りを済ませて 帰り道
向かいのホームに いたその人は
大きな声で 私に手を振り 待つように言う
肩で息をして たどり着いて 一言
行く先々で出会うのは きっと 運命だと笑いながら
さぁ君は これから何処へ行くの？
旅の人である私は
問いかけに 戸惑いながら
もう行かなければ・・・
と 言葉を濁し
やわらかなまなざしを するりと交わして
立ち去ろうと歩みを進める
また 会えるかな の呼びかけに
答えられない もどかしさを かみしめながら
会えるかもしれないけれど
会えないかもしれない
季節が廻らないと・・・
と 答えにならない答えを 残して
消えた私
青の扉の人は どうしたかしら
時々 思いめぐる季節の忘れ物のような出来事
旅の空は 季節を置き去りにできないからと
急ぎ足で 旅人をせかして
冬に向かわせる
そして 晩秋は 初冬へと色を変えてゆく
グラスに写る季節は 何色かなんて
誰も知らない・・・嘘ばかり
では また
