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N響 2021年11月B定期(ファビオ・ルイージ 指揮)

2021年12月01日 |  pocknのコンサート感想録2021
11月25日(木)ファビオ・ルイージ 指揮 NHK交響楽団
《2021年11月Bプロ》 サントリーホール


【曲目】
1.パガニーニ/ヴァイオリン協奏曲ニ長調 Op.6
【アンコール】
 ♪ コリリャーノ/レッド・ヴァイオリン・カプリス~第4変奏、第5変奏
 Vn:フランチェスカ・デゴ
2.チャイコフスキー/交響曲第5番ホ短調 Op.64

N響の次期首席指揮者への就任が決まっているファビオ・ルイージを迎えた11月B定期は、ルイージの力を見せつけ、N響との相性の良さを確かめる機会となった。

前半はルイージと同郷のパガニーニのコンチェルト。この曲は前奏から元気溌剌のお祭り騒ぎの印象があるが、ルイージ/N響の演奏からは、派手さや華美を抑えた落ち着いた風格が感じられた。品があり優美な前奏に続いて入ってきたフランチェスカ・デゴのヴァイオリンも張り切りすぎず滑らかに「美味しい」フレーズを紡いでいった。

ヴィルトゥオーゾを見せつけるのではなく、自由で楽々と自然体で楽しんでいる様子が窺える。奔放と云うよりも繊細で流暢なイメージ。軽やかに艶と香りを振りまくヴァイオリンは、妖精が飛び回っているよう。ただ、次々とヴァイオリンが技巧的なパッセージを繰り出し、オケは伴奏に徹することが多いこの曲は、聴き進めば進むほど飽きてくる。単なる好みだが。

後半はチャイコフスキーの第5シンフォニー。これはルイージとN響による熱くて充実した名演となった。冒頭はゆったりしたテンポで始まった。濃厚にじっくり歌い上げ、熱いものがこみ上げる。それが突如エネルギー全開となりテンポアップ。これでもかと煽るシーンはライブならではの醍醐味。

こうしたパフォーマンスを、その場の空気やインスピレーションというより、緻密に構築された必然として聴かせるところが、ルイージの匠の技の見せどころ。ミケランジェロの彫像のように均整がとれ、ムーヴマンと力強い美しさがみなぎっている。オケが一丸となって体を揺らしてノリノリで迫り、ボリューム満点に邁進すると、聴き手も思わず身を乗り出してしまう。各パートがとにかく能動的に歌い、そこから醸し出される香りも濃厚。なかでもチェロの歌に魅せられた。

熱く押しまくるだけでなく、フッと力を抜き、軽快で楽しく乗りのいいダンスも顔を覗かせ、様々に表情を変えていく。N響の各プレイヤーの技も光っていた。第2楽章のホルン(誰だかわからなかった)の名旋律は柔らかくて優しい表情で歌い、その楽章の最後に出てくる伊藤さんのクラの最弱音の豊かな表情も沁みた。水谷さんのファゴットもあちこちで耳を引いた。

大局でも各パーツでも充実しきった、まさに脂の乗ったゴージャスな演奏で、最終盤ではトリハダ立ちまくり。会場は大喝采となり、N響とルイージを讃えた。オケが退場したあとも拍手は鳴りやまず、まろさんと共にルイージの一般参賀となった。来シーズンからのルイージを首席指揮者に迎えてのN響を聴くのがいよいよ楽しみになった。

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