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パーカッショングループ72 「声」と打楽器アンサンブル

2007年02月13日 | pocknのコンサート感想録2007
2月13日(火)パーカッショングループ72 35周年記念第23回定期演奏会
「声」と打楽器アンサンブル
杉並公会堂大ホール

【曲目】
1. ケヴィン・プッツ/OCTOVER SONG (2002)
ヴォーカル:市川恵理、小澤英理子、辛島小恵、岩田健志、平林龍、山下淳
2. 三宅榛名/「君は、最初の通りを…」 (1988)
3. 小橋 稔/「鬼女」 (1975)
Bar:桑原英明
4. 西村 朗/「ケチャ」 (1979)

関先生から戴いた招待状で出かけたコンサートだったが大変おもしろかった。パーカッショングループ72は芸大生によって35年前に結成された男ばかりの打楽器グループで、数々の委嘱作があり(今夜の1と4も)、世界的にも活躍しているという。

プッツの曲は6台のマリンバにヴォカリーズが加わったアンサンブル作品。アメリカ合衆国北部の秋を再現しようとしたとのことだが、大自然の中のある切り取られた風景が時間と共に徐々に、しかし刻々とその色や姿を変えていくような大きな時の流れと、ひとつのテーマを感じる幻想的な音楽。声とマリンバが共鳴し合い夢幻の世界へ誘われるよう。

三宅榛名の「君は、最初の通りを…」は散文的でユーモラスな作品。打楽器奏者が詩を一節ずつ読み上げながら、パーカッションの響きとリズムで彩られて行った。

小橋稔の「鬼女」は草野心平の詩がバリトンソロのよって歌われ、緊迫感溢れるパーカッションが「鬼女」のおどろおどろしくも幽玄な世界を効果満点に演出する。70年代頃の現代曲にはこうした厳しさに支配された音楽が多かった。パーカッショングループ72はそうした厳しさを極めたような一糸乱れぬアンサンブルを聴かせた。

西村朗の「ケチャ」もまた大変聴きごたえのある作品。中央の4人の奏者はコンガやマラカスやスティックなど、民族色のある簡素な楽器を奏しながら同時に「ケチャ」を歌い、オリジナルを模したような形で「ケチャ」を演奏する。彼らの左右にはティンパニやチャイムなどの大規模なパーカッションを配し、これらが大きな響きで「ケチャ」を演出する。打楽器奏者達は楽器を叩くだけでなく、こうして「声の打楽器」や拍手などもこなさなければならないがそれも見事に決まり、ケチャ独特の世界へと引き込まれて行き、それが左右の大型楽器のある時はエモーショナルな、またある時は幻想的な効果で更に別世界へと誘ってくれ、この作品の独特な魅力を堪能した。

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