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MAROワールド 「バッハ」

2007年10月25日 | pocknのコンサート感想録2007
10月25日(木)MAROワールドVol.8“バッハ”
王子ホール

【曲目】
1.バッハ/管弦楽組曲第3番ニ長調BWV1068よりエア
2. バッハ/ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調BWV1041
Vn:篠崎史紀
3. バッハ/2つのヴァイオリンのための協奏曲二短調BWV1043
Vn:伝田正秀、篠崎史紀
4. バッハ/ヴァイオリン協奏曲第2番ホ長調BWV1042
Vn:篠崎史紀
5. バッハ/オーボエとヴァイオリンのための協奏曲ハ短調BWV1060
Vn:篠崎史紀/Ob:古部賢一
アンコール:「ハッピーバスデー王子ホール」


【合奏】
Vn:篠崎史紀、伊藤亮太郎、清水醍輝、伝田正秀、戸澤哲夫、西江辰郎/Vla:佐々木 亮、鈴木康浩/Vc:上森祥平、宮田 大/CB:西山真二/Cemb:鈴木優人


王子ホールの目玉シリーズのMAROワールドは第8回目でバッハが初登場。ヴァイオリンが入るバッハのコンチェルトを全て聴けるという素敵なプログラム。

演奏はもちろんMAROワールドゆかりの若い名手達が集まり、今回は総勢12名という大所帯による強力アンサンブル。この仲間達をまろさんは「MAROカンパニー」と命名。
「会社という意味じゃなくて、Compagna(仲間)ということ。和訳すれば一座、『MARO座』ってとこでしょうか」とMAROワールドのために集まる仲間達を紹介。

MAROワールドというと、毎回音楽以外のいろいろな分野で活躍するゲストがトークをしたり、パフォーマンスをしたり、というのがこれまで多かったが、今回はゲストの時間を演奏で埋め尽くし、バッハの素晴らしさを心行くまで堪能した。

もちろん、途中ではまろさんのトークが入り、仲間達に突然マイクを向けたり、上森さんにはバッハの無伴奏のさわりまで弾かせてしまうという、MAROワールドならではのサプライズやお楽しみが散りばめられている。瑞々しく能動的な演奏からメンバーがアンサンブルを楽しんでいる様子が伝わってくる。

「MAROカンパニー」という言葉を聞いたせいだろうか、バッハのコンチェルトって、ベートーヴェンやそれ以降のコンチェルトでのように、ソリストがオーケストラとあるときは対峙し、常にヴィルトゥオジティーを求められ、孤独を強いられているのに比べると、仲間とのトゥッティが基本で、そこからソロが羽ばたいて美しい姿を見せ、再び仲間のトゥッティに舞い戻って行く、というような、仲間に盛り立てられ、仲間と共にある音楽だったんだな、ということを感じた。

そんな仲間と作り上げる演奏は、トークが入ったり仲間がしゃべったり、それがお客さんに受けたりして場が盛り上がるに連れて益々音に温かみが増し、演奏者達の気持ちがひとつに集まっていくように感じる。最後にオーボエの古部さんが初めて加わって演奏されたヴァイオリンとオーボエのコンチェルトは、そんなMAROカンパニーの集大成のように、メンバーの心と身体のベクトルが合わさって何倍にも増幅したような、熱い息遣いを感じる素晴らしい演奏だった。古部さんのびろうどのようなデリケートな語り口のオーボエにもうっとり。

しかし、それで終わりではなかった。アンコールに用意されていたものが、今回のMAROワールドでの飛び切りのサプライズだったかも。加速度的に盛り上がっていった「MAROカンパニー」が行き着いたこのアンコール。王子ホールの15周年の誕生日を祝って、ハッピーバースデーのメロディーをこれまでに重ねてきたMAROワールドを回想しながら、モーツァルト、ベートーヴェン、シューマン、ブラームス、ドヴォルザーク、タンゴやワルツ等々、いろんなバージョンのアレンジで繰り広げて行ったこのアンコール!この楽しさはこの場に居合わせた人にしかわからない。こんな風にアニバーサリーを祝ってもらえる王子ホールって、素敵なホールなんだなと思った。 

それにしても、あのよくできたアレンジは誰がやったんだろうか? もともとあるのか?今回のための書き下ろしか… いずれにしても、この「MAROカンパニー」の素敵な演奏があってのアンコールだ。

MAROワールドって本当に素晴らしい世界だ!

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
本当に (一静庵)
2007-10-26 02:22:58
まろワールドって素晴らしい世界ですね!!

王子ホールさんも幸せ者だわ
返信する
まろさん最高! (長い夢)
2007-10-26 15:47:08
前後は忙しかったけど、いいひとときでした。
アンコールをもう一回聴きたいなっ。
返信する

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