『今日の一冊』by 大人のための児童文学案内人☆詩乃

大人だって児童文学を楽しみたい、いや、大人こそ読みたい。
ハッとする気づきのある絵本や児童文学をご紹介♪

選択の時期にある人へ(受験・就活・転職etc.)

2017-05-01 17:41:57 | 絵本


『おとうさんの庭』
ポール・フライシュマン作 バグラム・イバトゥリーン絵
藤本朝巳訳 岩波書店


こ・れ・は、素敵な絵本!!!
自分のやりたいことって一体なんだろう?
受験生&就職活動中の学生さん、そして転職をはじめ、岐路に立っている大人たちに贈りたい。

子どもも、楽しめる絵本(うちの子たちは好きでした)ですが、内容的には大人かな。
こちら、絵も丁寧でとってもいいです。紙ではなく、壁画とか布に描かれてるのかな。独特。

三人の息子と、農夫の仕事を愛してやまなかったお父さんのお話です。
時代は開拓時代。なので、農作業なのにびっくりするほど、きちんとした格好で、しゃべり方も丁寧でいいんですよね~。こんな感じ↓

「こまったね、とうさん。いったい、どうしたらいいんでしょう」

ああ、なんかほっとする

この農夫が動物たちに愛情たっぷりで、すばらしい人柄なんです
飼われている動物たちは、家畜じゃなくて、家族なんだなあ。

だから、日照りが続いて動物たちを売り、農場を手放さなければならなくなったときのつらさと言ったら
父子(母親はいないみたいです)はちっぽけな小屋に移り住むのですが、笑顔のない日々。山に囲まれ小川が流れる、そこも素敵じゃない、と私なんかは思わず思ってしまうのですが、深い悲しみに包まれている農夫たちには、そんな素敵な景色も目に入らないんですね。
刃物をとぐ仕事で生計を立てるものの、もうだあれも歌う気持ちになんてなれないんです。

人は自分が心からやりたいと思ってることじゃないと、歌もでてこない。

ところが、ある日、いけがきの手入れをしなければと思い立った農夫が、じっといけがきを見つめていたら、あるものが見えてくるんですね。それは心の奥底にあった願い。その見えたとおりに、刈り込んでいくと、農夫の口からは、ふたたび歌があふれ出てきます

そして、それぞれの息子が自立の時期にさしかかると、農夫は、どんな仕事をしたらいいか聞く息子に対し、ハサミを渡してこう答えます。

「毎日、しっかり見なさい。よく、かんさつすることだ。いけがきは、きっとおまえに答えをだしてくれるよ。もちろん、おまえがじぶんで、かりこみをしなければならないがね。」


いけがきは、自分の心の奥底にある願いを映し出してくれるのです。
じっくりと自分の心に向かい合うこと。

独立した息子たちが、戻って来たときに、したこととは?
最後に、どっと温かいものが流れ込んでくる、心に残る絵本です。

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