ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

とと姉ちゃんロケ地の旅 ―20160613 浜松―

2016-06-29 00:23:30 | 連続テレビ小説とと姉ちゃん

加賀さんルーツ旅の翌日、加賀さんのちからか昨日はもっていた雨が堰をきったようなあいにくの天気になりましたけど、本日はいよいよとと姉ちゃんのふるさと、浜松でございます。

浜松は、来年の大河ドラマ「女城主井伊直虎」のゆかりの地でもあります。

浜松はとと姉ちゃんと井伊直虎で二年続けてアツいですね。

百田夏菜子さんは静岡のご出身なんですね。平成28年度後期連続テレビ小説「べっぴんさん」に出演されます!。楽しみですね。

ロケ地巡りに来たら、その街の観光案内に行くようにしています。街によっては朝ドラ推しだったりして、最近は、気合が入ってる街だとロケ地マップを作ってくれてます。実在の人物だと、以前からゆかりの地マップを用意してあるところは多かったのだけど、ロケ地巡りも観光のいちジャンルになりつつあるのかもしれませんね。というわけで、浜松について早々、JR浜松駅にある浜松市観光インフォメーションセンターさんに拠りました。

とと姉ちゃんのポスターをしげしげ見ていたら、とてもスタッフさんに声をかけていただきました。浜松の人柄なのかしら。センターのスタッフさんは皆さん明るくて、とっても気さくです。観光案内は街の顔だし、みんな情報が欲しくて来ますから、スタッフさんはやっぱり元気なほうが良いですね。

「とと姉ちゃんご覧になってるんですか?」
「はい!。大好きです」
「ポスターいっぱい貼ってあるんで、良かったら見てってください」
「撮っても大丈夫ですか?」
「ええ。大丈夫ですよ。ここのポスターは、浜松オリジナルなんです」
「え?」
「そうなんですよ」
「ど、どういうことです?」
「それはですねー。左の上のほうを見てください」

「はい」
「「物語は、遠州からはじまった」って書いてあるでしょ?」
「ありますね」
「あれ、シールなんですよ。NHKさんがポスター持ってきたときに一緒に渡してくれて、貼ってあるんです。あのシールが貼ってあるポスターは浜松にしかないんです」
「マジっすか!!」
「はい。ポスター一枚一枚にシリアルナンバーがついてて、管理してあるんです」
「なんとそこまで!」
「最近はオークションとかに出す人とかいるでしょ?」
「ですよね。著作権もなにもあったもんじゃないですからね。そうなんだー。それは素敵なことを教えていただきました。他にもとと姉ちゃんのロケ地に行ったんですけど、シール貼ってた記憶がないなあ」。
「そうですか」
「浜松が、ロケ地というかとと姉ちゃんの地元でもあるからなんですかねー。いやあ、ありがとうございます」。

「ロケ地に行かれるんですか?。じゃあ良いのがあります。ロケ地マップを作ったんですよ」
「ほう!」
「こんな感じなんです」
(ごめんなさい。中はぜひ、浜松に行ってご覧になってください!)「おお!。いや、実は、一箇所だけロケ地を特定できてないシーンがあったんだけど、書いてあるじゃないですか!。これは嬉しい。すっごく嬉しいです!」
「お役にたてて嬉しいです。あ、でも今日はサッカー?。FC東京のサポーターですよね?」
「え?。そうですけど、なんで分かりますの?」
「そりゃあその恰好を見たら」
「ですよね(^^;。ありがとうございました。嬉しかったです」
「こちらこそ。試合とロケ地、楽しんでくださいね」。

浜松市観光インフォメーションセンターさん、ありがとうございました。それでは本日は、とと姉ちゃん静岡ロケ地の二日目。浜松の西部をぐるっと巡ってみたいと思います。車じゃないとまず無理(^^;。

先ほどセンターで教えていただいた、事前に特定できてなかったロケ地にさっそく向かいます。奥浜名湖方面です。天竜浜名湖鉄道西気賀駅の国道をはさんで南側です。西気賀駅の本屋は国の登録有形文化財なんですね。建物内に素敵なレストランもあるみたいなので、寄ってみたかったなあ。気賀は井伊直虎ゆかりの地でもあるらしく、街中にのぼりがいっぱい立ってました。国道362号線を西に向かって、こちらのコンビニ跡を左折します。天浜線西気賀駅は右側。

ここをまっすぐ。一方通行の標識はみかけなかったのですけど、道幅がとても狭く、一般の住宅地ですのでご迷惑にならないよう、たぶん西側から反時計回りにまわったほうが良いと思います。地元のかたがそうされていたので。

ここはプリンス岬です。陛下が皇太子時代に静養された別荘があったため、この名がついたのだそうです。

それでは、とと姉ちゃん静岡ロケ地巡りの二日目、浜松編をスタートします。「約束してくれないかい? ととの代わりを務めると」「はい。約束します」「常子はますます悩んでしまいました。自分はどうしたら、ととになれるのだろうと…」。よっちゃんを元気付けられないで悩んでたとと姉がしょんぼりしてた浜辺。

「もっと体力つけないと。おば様方に負けちゃうわ」。買い出しの野菜をかかえたとと姉と鞠ちゃんが玉置ブラザーズに出会う浜辺の道。

「これから大安売りは逃せないもんなぁ。あっ、出た…」。

「けっ! 運動会でおらたちに勝ったからってよ~ いい気になって、長芋抱えてんじゃねえで!」。

「いい気になってるから抱えてるんじゃないわよ。安かったから抱えてるの!」「もっとマシな言いがかりはないの?」「…うるせえ!  兄ちゃも何か言ってやれ! 兄ちゃ?」。

「あ? …おう。長芋、安かったんけぇ」「だから、そう言ってるじゃない」「よかったな」「うん?」「えっ?」「行くで!」「ちょ…兄ちゃ!」「具合でも悪いのかしら」「さぁ…」。

「ねえ、鞠ちゃん、あれって…」。

「あっ」「叔父さん?」。

「あ…。どうして逃げるんだろう?」「まさか…。近所に出没する泥棒って…」「ない、ない」。

「叔父さんにそんな事する度胸ある訳ないって」「そうそう。せいぜいできんのはビワ泥棒くらいよ」「アハハハ!」。

「あっ、いた?」「ううん」「行こう。あっち」。君子さんを探してとと姉が走ってた道。その後とと姉が鞠ちゃんとよっちゃんと出会うシーンはプリンス岬ではないようです。残念ながら特定できず。

続いては、極楽寺にまいります。ロケ地はこの上、なんと極楽禅師の駐車場です。

「かかれ~!」。

小橋シスターズがいさましく鳩に向かった境内。

「ねえ、まだ?」。小橋シスターズが隠れてた岩。

「し~っ! 焦らないの。鳩が我々を意識しなくなったその時が勝負よ」。とと姉が隠れてたのはこちら側。

「はい」「…はい」。鞠ちゃんとよっちゃんが隠れてたのはこちら側。

「よっちゃん」。

「えいっ!」。

「やった~! やった、やった!」「まだまだ行くわよ」。

「ひぃ、ふう、みぃ…。10羽…って事は?」「5円?」「お~!」。

「いた?」「いない」「あっ、あっち」。家に帰ってなかった君子さんを小橋シスターズが探してた小道。

続いて中田島砂丘です。ウロウロ探したのですけど、かなり広くて似たような風景なので、残念ながら場所を特定できず。イメージで失礼します。

「いちに…かか、もっと腕振って! いちに、いちに、いちに、いちに。いちに、いちに、いちに、いちに…」。とと姉と君子さんが二人三脚を練習していた防風林。

「常子、常子! はぁ、はぁ…。随分よくなってきて… よくなってきたんじゃないの?」「私もそう思います。でも、もう少し頑張りましょう」「厳しいのね…」「フフフフ…。せ~の、いちに、いちに、いちに…」。

「ほら、行こう」「ここでいい」「せっかくなんだから応援しよう。ほら」。鞠ちゃんとよっちゃんが練習を見ていた砂丘。

続いては、県道49号線を佐浜入口で西に入ります。そのまままっすぐ進み、岬の突端、白山鼻をぐるっと時計回りに回って庄内湖に出て、湖を北上します。ここをまっすぐ。ここから先は未舗装路です。道が狭いので、対向車に注意してください。

すぐに、なんだか見覚えのある木が左手の湖側に見えます。

少し進んだら、左手の果樹園の先。

左側に空き地が見えてきます。浜松市西区佐浜町付近です。

それでは、浜松ロケで一番印象に残るあのロケ地です。「おい! 何やってるでえ! 危なっかしい」。初回の最初の宇多田ヒカルさんの「花束を君に♪」の直後のシーン、つー姉ちゃんが走ってる広場です。

「あ~あ、見つかった」。

「ごめんなさい! でも、平気ですから!」「平気な訳ねえだに!」。玉置ブラザーズが働く、遠州織物の干場です。

「どう? つー姉ちゃん」「やっぱり上ってよかった。万華鏡の中にいるみたい」「この頃はまだ、「つー姉ちゃん」と呼ばれている常子」「家族を守るため、父親代わりに奮闘し始める頃には、2人の妹から、こう呼ばれる事になるのです。「とと姉ちゃん」」。残念ながら櫓は既に撤去されていました。私有地だと思うので仕方ないですね。

「あ~あ~…」「早く離せよ! ほれ、手離しっせい!」「怖い怖い! 高い高い!」。つー姉ちゃんを心配した竹蔵さんが自転車を飛ばしていた道。

「常子!」「とと!」「常子!」。

「ご迷惑をおかけして、申し訳ありません! 申し訳ありません!」「二度とこんな真似させんでくりょ」「はい」「はい!」「申し訳ありませんでした! 申し訳ありませんでした!」。

「常子ちゃん…よかった」「こら」「私は止めたんです。でも、つー姉ちゃんが無理やりに」「どうしてこんな事を?」「つづり方の宿題のために」「つづり方?」「「きれいなもの」という題で、宿題が出たんです。それで、ここの景色を書こうと思った時に、上から見た方がきれいだと思って」「いけないと言ったはずですよ。人に迷惑をかける事や、危ない行いは」「ごめんなさい」「でも、どうしようと自分で考え、自分で行動した事は、すばらしいと思います」「フフ…」。

「常子! 常子!」「かか!」「よかった。無事だったのね。大丈夫ね? 本当に大丈夫なの?」「はい。心配かけてごめんなさい」「君子、どうしてザルを?」「え? 常子が、落ちそうだって聞いたから…」「それじゃ無理でしょ」。

「いや~実は、ゆうべの事なんだけどね。酒のせいで全く覚えておらんのだ」「ああ、そうでしたか」「それでね、今日になって、絵がない事に気付いたんだよ」「ああ、あの絵ですか」「やっぱり君が持ってたか。ピカッツァを」「ええ。私に下さるとうちの壁に」「そんなことを言ったか。いや~悪いんだけどね、あれは、大層値打ちのあるものなんだよ。返してもらう訳にはいかんだろうかね」「もちろんでございます。すぐにお届けに上がります」。絵が大変なことになってることを何も知らない竹蔵さんがのんびり自転車をこいでた道。

「ああ、よかった~」。大迫専務から絵を買った竹蔵さんと小橋シスターズが通りかかった広場。

「ととは、どうしてこんな、ボロボロの絵にお金を払ったんです?」「おかしいですか?」「だって専務さんは、お金要らないって」「お金は払わなくてはいけませんよ。素敵な絵を手に入れたんですから。それは、世間的には何の価値がなくても、ととにとっては、3人の娘が力を合わせて描いた傑作です。最初は美子のイタズラですが、それをなんとかしようとした、鞠子と常子のやさしさが生み出した、名画ですよ。うん。帰ったら、居間に飾りましょう。どうしました?」。

「ごめんなさい。おうちの大事なお金、使わせてしまって」「ごめんなさい」「ごめんなさい」「それは、ととが欲しくて買ったんです。それに…謝らなければならないのは、とともです。こんなことを起こすぐらい君たちを悲しませたのは、ととが約束を破ったことがそもそもの原因です。改めて、すまなかった」。

「やはり行きましょうか」「どこに?」「紅葉狩りです。明日ならまだ、紅葉もきれいでしょうから」「でも、お仕事は?」「何とかします。みんなで行きましょう」「やった~!」「わ~い!」「ここからは帰れますよね。ととは仕事に戻るんで、かかに伝えといてください」「はい」「フフフ…」。

「平気なのかな?」「うん?」「つー姉ちゃん、ととが亡くなって、何で悲しくないのかな?」「悲しくない訳ないじゃない。あの子なりに…」「全然悲しそうなそぶり見せないよ! つー姉ちゃんは冷たいんだよ!」。ととの遺品を整理した帰り道、遺品を乗せた自転車を押してとと姉が歩いてた道。

「あとは、かんぴょうの五目煮作って…」「フフッ。本当鞠ちゃんかんぴょう好きだよね。お~! 今日もきれいだのう。ちょっと…危ない…あっ」。女学校帰りのとと姉と鞠ちゃんが歩いてた通学路。

「小汚え顔して見上げてっからよ。それで拭いた方がええんじゃねえけぇ?」「うまい事言うなあ、兄ちゃ」「だろ~? ハッハッハッ」「この3人、玉置三兄弟。奇しくも、常子、鞠子、美子とそれぞれ同い年で、常子たちは気にも留めていないのに、やたらと突っかかってくるのです」「おい、とと姉ちゃ~ん。俺たちも、とと姉ちゃんみたいなととが、欲しいやぁ~。うちのととになってくれよ~」「くれよ~」。玉置ブラザーズとの実質初対決。

「私はこんな小汚い弟はいりません」「ほんっと野蛮」。

「おい、何でえ! 逃げんのけぇ? とと姉ちゃ~ん!」。

「おい、美子に言っとけよな。いっつも暗い顔してんなら学校来るなって!」「暗い顔って何の事?」「さあ?」。

「ねえねえ、お父ちゃん」「仕事中だで邪魔すんない。帰ったら遊んでやるからよ」「きっとだに」「ああ」。ひとりぼっちで帰るよっちゃんが親子を羨ましそうに見ていた道。

「よっちゃん。偶然ね。一緒に帰ろう」「だから、そっとしとこうよ」。

「今日ね、学校で面白い事があったの。先生がね、静かな中で、グ~っておなかが鳴ったの。そしたら顔が真っ赤になっちゃって。で、その先生のあだ名が消防自動車だったから、おっかしくって。消防車が真っ赤! アハハハ」「ハハハハ…」「つまらない」。

「お~い! とと姉ちゃ~ん!」「何なの? もう…」。

「何でとと姉が制服なんて着てるでぇ?」「学校帰りだから当然でしょ」「とととか言っときながら、仕事してねえのけぇ!」「稼ぎもねえくせに何がととだよ!」「のんきなもんだなあ! 俺らは、仕事で大変だってのに」「ふ~本当、本当」。

「よっ、桃尻女」「あっ、美子待って」。

「やめて! ついてこないで!」「何だ何だ? 仲間割れけぇ?」「「やめて」! 「「ついてこないで」!」「ハハハハハ!」「おい! 何サボってるで! 働かんけぇ!」「すんません!」。

「よっちゃん、待って。今のは可哀想じゃない? とと姉も、不器用なりに頑張ってくれてんだよ。まあ、美子の気持ちも分かるよ。とと姉、ちょっとおせっかいなとこあるし。わざわざ「面白いよ~」って言ってから始める話もそんなに面白くないしさ。あっ…今の、本人に言ったら駄目だからね。意外とそういうの気にするから」。

「かか~! かか~!」。小橋シスターズが君子さんを探してた道。

「あの…」「おい、何しにきたでぇ!」。小橋シスターズが玉置ブラザーズにお別れの挨拶に来た干場。

「おう…東京行く日だら」「うん」「見送り行けなかったで、ちょうどよかった。んっ」「ん?」「んっ。餞別にやるにぃ。おらの染めだ」「へぇ~。きれい」「大した事はねえにぃ。運動会でその…手拭いもらった礼だで」「ありがとう」。

「おう…。…で、何の用でぇ?」「あ…あのね…」「おう…。おらに、何か、言いたい事でも?」「最後に…上りたくて」「あ?」「親方に、頼んでもらおうかなって思ったんだけど。やっぱり自分で聞いてみるね。手拭いありがとう」。

「正雄君。体大事にお仕事頑張ってね。立派な職人さんになる事期待してるわ」「…おう」。

「幹雄君、今までありがとう。廊下に立たされなようにね」「じゃあ」。

「お願いします。もう一度だけ…」。

「相変わらず大した度胸でぇ。女にしとくにゃもったいないねぇ」「私も上る!」「よし、私も!」「やいやい」。

「もう、お別れだね」「うん」「常子は、竹蔵との約束を胸に、浜松の生活に別れを告げたのです」。

浜松ロケ地最後に訪れますのは、佐鳴湖です。佐鳴湖は湖岸がぐるっと佐鳴湖公園になっています。ロケ地は西岸の中央付近にある池です。

先客がいらっしゃいました。

池の近くに駐車場があって、その北側の道を湖から反対に進みます。

すぐ右手にこの橋が見えてきます。

それでは参ります。「その翌日」「とと、かか。早く!」。小橋家が紅葉狩りに来た公園。

「はい、はい。待って」。

「わ~きれい!」「すご~い。赤とかあるね」「いろんな色があるわよ」。

「緑もあるね」「何色がある?」「緑だ」。

ちょうど紅葉の実がついてました。秋には綺麗でしょうね。

駐車場から南に向かいます。ここで左手の歩道に入ります。

すぐのここの左手の湖畔です。

「おお。ああ、美味しそう」。小橋家が紅葉狩りのお弁当を食べてた湖畔。

「はい」。

「いただきます」「いただきます」「あっ、美子」「おっ」「ととは何を召し上がりますか?」「きんぴらを」「どう?」「うん、おいしい」。

これにて、とと姉ちゃん静岡ロケ地巡りはおしまいです。あいにくの雨模様で雰囲気がちょっと違ったけど、梅雨らしくしっとりしてる浜松も、ゆっくりと気持ちよかったです。


2016J1リーグ1stステージ第17節横浜F・マリノスvsFC東京@日スタ20160625

2016-06-26 17:51:07 | FC東京

どんよりとした梅雨空も、予報の降水確率80%がそれてくれて、夜は風が通って夕涼みができました。

2016Jリーグ1stステージも最終戦。今年ももう半分が終わってしまいます。ついこの前まで寒い寒い言ってたのに、Jリーグを追っていると、時がたつのがはやいですね。

マリノスの栗原さんが前節でJリーグ300試合出場です。おめでとうございます。

最終戦の相手はそのマリノスでございます。昨年のアウェイ横浜は、東京の結果は早々忘れましたけど、深夜にジャパンのスプリングボクス撃破の快挙で盛り上がったなあと想い出しました。本日のYou'll Never Walk Alone♪

昨年の意趣返しのごとく、秋元の神セーブと相太の千金ヘッドで最終戦を勝利で飾りました。

東京は2ndステージをみこしてか、日替わり布陣です。シフトは4-4-2。4-3-2-1はやはりヒロシの想いではなく、ACLスペシャルオプションだったようですね。GKは秋元。CBはモリゲとまる。今日のSBは右に拳人左に諒也。今日のボランチは梶山とヨネ。今日のメイヤは右に広貴左に慶悟。2トップはバーンズとめっちゃムリキです。

マリノスは大エース俊輔が足首の不調でお休み。下平も怪我で不在です。代わって喜田が戻ってきています。シフトは4-2-3-1。GKは哲也。CBはボンバーとファビオ。SBは右にパンゾー左に今日は新井。ボランチは喜田と中町。WGは右にマルティノス左にまなぶ。トップ下は兵藤。日替わり1トップは今日はカイケです。

どうもなんとなく、日スタでのマリノス戦は毎年渋い試合になる印象があります。昨年まで三年連続1-0のスコア。1勝2敗。ただいま連敗中です。やっぱり相性というものがあるのでしょう。近年のマリノスは守備を重視する闘いかたを選択していますので、同じく守備を発想の起点にしている東京とウマが合うのでしょうね。

ただ、東京とマリノスは闘いかたはちょっと違います。というよりも、マリノスの闘いかたがJリーグのなかでもとても特異ですので、マリノスのほうが異質だと言えると思います。言わずもがな、俊輔システム。チームの顔であり核である中盤の大エースは、堅剛やヤットなど、サッカーを観る喜びを与えてくれるのですけど、チームの闘いかたそのもの、もっというとチームそのものという存在なのは、俊輔だけでしょう。その俊輔自身が、今年は守備的な闘いかたを取らざるを得ないと言っていますから、守備を重視していることは間違いないと思います。

でもマリノスの闘いかたの発想の起点は、誰がチームを率いようが守備ではなく、いつも変わらず俊輔です。それは俊輔のプレースタイルの特質にあります。いわゆる攻撃的MFは、中盤の前に入る場合とボランチに入る場合がありますけど、いずれにしろプレーポジションが教科書通りに特定されます。でも俊輔の場合は、名目上トップ下もしくは右WGですけど、実際のプレーエリアは中盤全体です。それで、俊輔がいるポジションがマリノスの攻撃の基本ルートになります。一般的に攻撃は中央突破やサイドアタック、ポゼッションやカウンターなど、チームはパターンを選択するのですけど、マリノスの場合は俊輔が現場で発想したプレーがそのままパターンになりますので、規定されたかたちは無いと言っていいと思います。

さて、今日はその俊輔がいません。マリノスはどうするかなと思っていました。俊輔は満身創痍ですのでコンディションが万全なことなどもはや有り得ないので、俊輔不在をマリノスは何度も経験していると思います。俊輔が居ない場合は、コンサバティブなサッカーをするのかなと思っていたら、さにあらずでした。

今年のマリノスをはじめてみるので、そもそも俊輔が入ったかたちを確認できていないのですけど、俊輔がやりそうなプレーを、今日は喜田とマルティノスの二人で分担していたイメージです。まずは喜田。ビルドアップの際、喜田は最終ラインに入ります。ボンバーとファビオが開き加減になり、3バックのようなかたちになります。CBが開くので、パンゾーと新井はほぼ最前線と言っていい位置まで上がります。マルティノスとまなぶも内に絞り、カイケをはさんで3トップのように並びます。中盤は前に兵藤、下がり目に中町。喜田はチームの最後尾からパスを左右に散らす役割を担います。俊輔はボールを保持して試合をコントロールしたいときに、アンカーの位置まで下がってパスを左右に散らしますけど、同様のプレーを喜田が担っていました。

もうひとつの俊輔シャドウはマルティノスです。今日のマルティノスは、喜田以上にポジションレスでした。もしかすると、マリノスには規定通りに配置した選手の間を潤滑するようにウロウロする選手が必要で、それを前提とした闘いかたをとっているのかもしれません。これが俊輔システムの本質なのかもしれないと思いました。

マリノスは基本的に攻撃を急がないのですけど、アタッキングサードでは、最前線の選手は常にラインの裏に抜け出すことを狙っていて、出し手のほうも、スルーを送る機会を伺って呼吸をはかっています。アタッキングサードまでボールを運ぶプロセスは、サイド基調です。前述の通り高く位置取ったSBが一次基点となって、それにWGと兵藤が絡んで、ショートパスやタベーラを使いながら前を狙います。この時、マルティノスが重要な役割を担います。マルティノスはいちおうまなぶの反対側のWGなのですけど、時としてまなぶと同サイドに流れ、まなぶと絡もうとします。あるいは中盤の底まで下がって、中町と絡んでビルドアップの起点になります。さらには、アタッキングサードをドリブルで進撃して独力突破を試みたり、カイケのお膳立てをしたりします。まさに八面六臂。まさに俊輔。さながらマルティノスはトップ下のように見えます。もしかしたら今日のマリノスは、兵藤とマルティノスの二枚トップ下+WGのまなぶという、変則的な中盤構成と言えるのかもしれません。

兵藤もある意味で特異な選手です。とても気が利いていて、必要なところに必要なタイミングで居てくれるのが兵藤です。兵藤を使うためには、なので自由人と組ませることが望ましいのかもしれません。今日のマリノスが、少なくともシュートまでのアプローチがとてもスムーズに感じたのは、自由人マルティノスと気遣いの兵藤が組んでいたため、なのかもしれません。

東京は前の試合でリトリートスタイルに徹しました。それは、陣形でもって相手を押し込むかたちを作る浦和ゆえでした。本来の東京は、トランジションポイントを中盤においた、よりアグレッシブな守備を旨とします。今日はそれが出来ていました。中盤の三列目でトランジションできるので、浦和戦とは違い、本来の攻撃のかたちを見せられます。

遼一を前線に置いた場合の東京は、サイドにはるメイヤが一次基点となり、アタッカーもしくはSBを走らせる攻撃パターンでした。浦和戦からバーンズとムリキの2トップになり、このパターンに変化が見られます。今日のメイヤのスターターは、遼一トップの時と同じ広貴と慶悟ですから、その違いが顕著に現れます。狙いはCBのかく乱です。

基点はトップが担います。と言っても中央でどーんとポストをはるわけではありません。バーンズとムリキはサイドに流れます。バーンズが右ムリキが左。攻撃に入るとサイドに当てることは変わらないのですけど、当て先がトップの二人。バーンズとムリキです。これによって、二つの動きを誘引します。ひとつはSBのオーバーラップです。今日は拳人も、途中から入った徳永も、そして諒也も、攻守の切り替えがとてもスムーズでした。理由はよくわかりません。なにかやり易さがあるのか、諒也に聞いてみたいところです。少し考えられるのは、三点ほど。メイヤが基点になるよりも2、3mほど基点の位置が高く感じます。それから、とくにムリキは、少し内側でボールを持ちますのでライン際が開きます。そもそもトップがポストを受けることで、SBにすると攻め上がりのきっかけをつかみ易いのかもしれません。

もうひとつの動きが、CBのかく乱に直接影響します。それはメイヤです。広貴と慶悟は、サイドに流れるバーンズ、ムリキとクロスオーバーしながら、ダイアゴナルにゴール前に入ります。つまりメイヤとトップが入れ替わったかたちになります。広貴と慶悟が中央に入ってくるタイミングに妙味があります。はやめにポジション変更しても、ボンバーとファビオにはたいして影響はないと思います。バーンズとムリキからスルーが出てきそうな最終局面で、広貴と慶悟は中に入ってきます。しかもSBとCBの間から裏に抜け出そうとしますので、ボンバーとファビオは一瞬マーク対象を見失うことになるかもしれません。今日は残念ながら出し手とのタイミングが合わず結果を残すことはできませんでしたけど、興味深い試みだと思います。

前半も終盤に入り、東京にアクシデントが起こります。バーンズが頭を打った影響で退場します。代わって相太が同じくトップに入ります。浦和戦に引き続きバーンズにはキレがありましたし、1年かけてようやくバーンズが活きる役割が見えてきてチームもそれに合わせようとしているので、この交代の影響はちょっと大きいかなと思いました。注目の相太の役割はバーンズと同じでした。右サイドに流れ、基点を作ります。ただ、さすがにバーンズとはリズムもポジションも微妙に異なると思いますので、活性化してきていた東京の攻撃がいったん巡行に戻ります。

今日は中盤に梶山が入りました。前の試合とは異なり、チームの重心を少し高めに出来ることが想定されたので、よりリズムと縦へのチャレンジを意識するという意図だと思います。梶山は独特のリズムと視野があるのですけど、どちらかというとチームが梶山のリズムに合わせたほうが全体が調和し易いと思います。チームとしての基本的な闘いかたがあるなかで、相手と作戦によって出場するかしないかが決まるのは、梶山にとっては合わせるのが難しいのかもしれません。逆にマリノスにとっては、梶山のリズムが目立つのでノリ易く、むしろターゲットにし易かったかもしれません。梶山は意思のないパスをけしてしないのですけど、同時にリスクを三つ持っています。縦チャレンジが無理目な場合があること。ボールを持っている時リズムを生み出すのですけど、相手に寄せられ易い場合があること。それから、リズムを作るためにバックパスをするのですけど、そのタイミングを読まれて狙われることです。すべて梶山のリズムにチームが合わせれば連携ができるのですけど、今はミスのように映ってしまいます。

マリノスは梶山を狙ったのかどうかわかりませんけど、中盤の高い位置でのトランジションからラインの裏を狙うプランを用意していたようです。前半、まなぶがシュートをポストに当てたプレーが象徴していました。

そして、そのまなぶのシュートが、東京にとってひさびさ、眠れる神を起こします。神復活の予兆を感じながら、前半はスコアレスで終了。

後半に入っても、流れは基本的に変わりません。守備全体は東京もマリノスもリトリートスタイルですけど、互いに中盤を攻守の切り替えポイントと見ていますので、中盤のコンタクトはとてもタイトです。ヒロシもエリクさんも、その中盤を含めた守備がある程度のクオリティを保っていたので、しばらくはこれで良しと見たのでしょう。

ただ、前半の流れから、幾分マリノスが優勢になります。確かなスタッツを見たわけではないのですけど、中盤の攻防で、幾分マリノスのほうが高めの位置でトランジションする回数が多くなっていたような気がします。マルティノスを中心としてまなぶ、兵藤、カイケが絡む連携が機能してきて、マリノスがゴールに迫ります。

そして、神が降臨します。後半のはやい時間帯にマリノスがリズムをつかみ、カイケと兵藤が立て続けに有効なシュートを放ちます。それをことごとく秋元が防ぎます。ようやくこの名を冠せる、守護神秋元の降臨です。権田神の移籍以来、ひさびさに神を拝することができました。マリノスユース出身の秋元がマリノス戦で神になるというのも、秋元本人にとって格別でしょう。

秋元に神が降臨したのを確認したヒロシが動きます。中盤の守備を安定させます。梶山に代えて徳永を右SBに投入します。拳人がボランチに回ります。これで中盤はアーティスティックな要素が無くなりますけど、青春一直線などストレートサッカーに変貌します。

エリクさんも合わせて動きます。カイケに代えて敬真を同じく1トップに投入します。今日はカイケの日ではないということだと思います。フィニッシャーがそれなりに揃っているマリノスですけど、いずれもどんぐりの背比べで、エリクさんは悩ましいでしょうね。秋元が神でなければ3点くらい取っていても不思議ではない試合で、中盤からアタッキングサードに至るアプローチは素晴らしかったですから、なおさら最終局面が残念でした。でもまあ、神が降りたら仕方ないですね。

マリノスには、俊輔システムをコピーしたくてもできないものがあります。それはセットプレーです。俊輔のFKは、匠を超越して、芸術です。今日も絶好の位置でFKがありました。きっと秋元は子供の頃から俊輔のFKを見てあこがれてきたでしょうから、二人の勝負を観てみたかった気もします。

秋元神が降臨してから試合の流れが変わります。前半からエスプリを効かせていたマルティノスが消えはじめます。それを見たエリクさんが動きます。マルティノスに代えて渓太を同じく右WGに投入します。渓太はさすがに俊輔モデルをコピーすることはできませんから、マリノスの攻撃プランそのものが変わります。より直線的で、1on1を挑むかたちになります。渓太はプレーに勢いがあって、おもしろいですね。マーカーがいてもおかまいなしに挑んでいきますから、チーム全体がアグレッシブになったように感じました。

マリノスのアジャストで試合がオープンになってきたのを受け、ヒロシが動きます。慶悟に代えて宏太を右メイヤに投入します。広貴が左に回ります。矢には矢を。右には右を。宏太にラインの裏を狙わせ、東京も直線的なモードに移行する意図だと思います。

それでも東京、マリノスとも、守備網にほころびはできません。東京は何度かラインの間を抜かれましたけど、神を含めた総合的な守備力は安定していました。マリノスのほうは流血ボンバーを中心とした体をはった守りで、集中力を切らしません。これはスコアレスかなと思っていたら、最後の最後に四番のひと振りが飛び出します。

89分。諒也の左CK。マリノスのストーンは三枚。ゴール前に兵藤と敬真。ニアにまなぶです。東京は2オプションです。ゴール前はムリキと宏太がいて喜田と中町が見ます。少し離れ気味に主力艦隊が縦陣で構えます。ゴールに近いところから相太、拳人、まる、モリゲ。マリノスのマッチアップはファビオ、新井、パンゾー、ボンバーです。諒也のキックモーションと同時に東京の主力はニアに拳人とモリゲ、ファアに相太とまるが分散します。今年の1st第5節ホーム名古屋戦の81分のモリゲのゴールと同じパターンですね。この時相太が、拳人の背後にいてマークのファビオから隠れます。拳人がニアに入りマークの新井を引き付ける動きで、新井の後ろから相太を見ていたファビオが一瞬相太から目を離します。東京が仕掛けた罠にファビオが見事にはまってくれます。諒也は少し速いクロスを相太に送ります。落下点にはやく入った相太は、対応が遅れるファビオを征し、先に飛翔します。渾身のヘッドで合わせたシュートは、サヨナラゴールとなりました。マリノス0-1東京。

ホームで負けられないエリクさんが動きます。兵藤に代えて翔をトップに投入します。同時にシフトを4-4-2に変更します。前線の選手を増やし、さらにターゲットマンを入れることで、放り込み大作戦に移行する意図でしょう。

でも、すでに時は無し。このまま試合終了。マリノス0-1東京。眠らない街♪プロポーズ大作戦♪

攻の相太と守の秋元。とてもわかり易いヒーローの構図となりました。もうちょっとはやめにゴールしてくれたらノンビリ見られていいのですけど、ドラマチックなエンディングもまた良いものです。できればホームでこれをやってくれたら、もっと多くのサポーターが幸せな気分になれるし、お客さんも増えるのですけど。相太のシュワッチ秋元のシュワッチ

それはともかくも、もやもやした1stステージの終盤戦でしたけど、最後の最後にとても良いかたちで勝利することができました。約一か月ぶりの勝利ですし、2ndステージに向けて勢いがつくといいなと思います。

鹿島アントラーズのみなさん、おめでとうございます。そしてまた横一線からスタート。東京の2ndステージはもうはじまってます。


2016J1リーグ1stステージ第13節浦和レッズvsFC東京@埼スタ20160622

2016-06-25 14:16:43 | FC東京

「だからはわたしは、なんらかの意志が宇宙を動かし、自然に生命を与えているものと信じる。一定の法則に従って動く物質はある英知をわたしに示してくれる」。

西日本の大雨が心配です。毎年のように大雨被害が起こるようになりました。年々酷くなっているんじゃないかと、気がかりです。

梅雨の合間をぬうように、どんよりとしたなかにも関東地方の雨は避けられたミッドウィーク。怒涛の5連戦の4戦目は、互いに連戦の荒波に揉まれている東京と浦和の対戦でございます。本日のYou'll Never Walk Alone♪。本日の威風堂々♪

対照的な作戦は、前半は東京、後半は浦和にサッカーの女神が微笑み、悔しい逆転負けです。

東京は5連戦中のシフトは一貫しています。アタッカーは日替わり。シフトは4-4-2。GKは秋元。CBはモリゲとまる。SBは徳永と諒也。ボランチは秀人とヨネ。メイヤは今日は右に拳人左に羽生。今日の2トップはバーンズとムリキです。

浦和はベストメンバーです。1stステージの優勝がなくなってどうするかと思いましたけど、年間勝ち点を積み上げるワンステップを大切にします。シフトはおなじみ3-4-2-1。GKは周作。3CBは右からモリ、航、槙野。ボランチは勇樹と陽介。WBは右にタカ左に宇賀神。2シャドウは右にただなり左にムトゥ。1トップは慎三です。

5連戦前半の成績は、東京は0勝3分0敗2得点2失点。守備はとても安定感がありますので、課題は得点につきます。浦和は0勝0分3敗2得点7失点。前節広島はゴレアーダをくらいました。ガンバ戦しか観ていないので簡単には言えませんけど、今年のテーマにしていた中盤をタイトにした守備がそのガンバ戦では見られなかったので、ちょっと闘いかたをリセットしている感があります。

というわけで、まず確認したかったのは、東京と浦和それぞれのオプションです。これはすぐに確認できました。双方とも、最近の闘いかたを踏襲します。

というわけで、試合の様相はポゼッションを高める浦和が攻めきるか、守備陣形を重視する東京のカウンターが炸裂するかの、両極する考えかたの激突となります。

前述しましたように、浦和は今年、中盤のタイトな守備を重視して、守攻が一体化した近代サッカーの要素を取り入れることをテーマとしてきました。と、メディアで言われてきましたし、浦和のスタッフ、選手の発言でも繰り返されてきました。もちろん事実なのでしょうけど、少なからず疑っていました。タイトディフェンスは昨年から取り組んでいたことですし、そもそも昨年の1stステージを征したサッカーは、高速なショートカウンターを基調としていたと記憶しています。技術に長けた選手がワンタッチ連携で縦にはやいサッカーをやったら、そりゃ強いに決まってる、反則やで君しかしと思っていました。

アーティストのキャラ要素が濃いというか、アーティストそのもののミシャがそのプリンシパルをかなぐり捨てて高速サッカーを続けるとは思っていませんでした。2ndステージは、前半を獲った余裕からか、オリジナルのミシャサッカーに回帰していました。もちろんそれが失速の原因だとは思いません。分かりきったサッカーをして分かりきった対策を施されても、その上をいく様式美を貫けば、これはもう圧巻そのもの。相手はぐーの音も出ません。これぞロマンチックが止まらない。

しばらく浦和を観ていなかったのですけど、1st終盤にきて、浦和は本来の浦和らしいサッカーに回帰しています。回帰が昨年より少しはやまっています。理由は分かりません。ガンバ戦のときはガンバがリトリートスタイル、それこそ優勝した年のリアリスティックなサッカーに回帰していたので、必然的に浦和もポゼッションスタイルになったのかなと思っていました。今日の東京もリトリートスタイルですから、たまたま自分が観た試合が似たような対戦構図だっただけなのかもしれません。ただ、最近はミシャサッカーの批判の定番が聞こえていたので、極端なポゼッション志向がある程度はなされていたのだろうと思います。

最近の東京は、とくにスクエアな4-4-2にしてから、これまた極端なリアクションサッカーになっています。自分はこれが好きです。いや、リアクションサッカーが好きという意味ではなく、サッカーの多様性が好きです。ポゼッションスタイルが見た目に押してる感があって良いという意見もありますけど、美やワクワクの感性は人それぞれであって良いと思います。今年とくに興味深いのは、あれほどポゼッション信者だったヒロシがリアクションに徹していることです。正しくは、トップレベルの闘いのなかで、プリンシパルそのものを柔軟に変えて来たこと。結果としての、今リアクション。漢ヒロシはちょっとやそっとじゃ信念を曲げない頑固親父だと思っていたのですけど、案外懐ろ深いキャラに変態して戻ってきました。

さて、東京は浦和にどうリアクションしたのか。それは左サイドの処理にポイントがあります。羽生+諒也vsタカ。浦和の攻撃パターンはおおまかに言って二つ。中央突破とサイドアタックです。1stチョイスは中央。アタッカー三人衆が熟練の連携を見せると、守備側は手に負えません。なのでまず、東京は中央をかためます。CBとボランチで中央にボックスを作り、ただなりもしくはムトゥへのポストを有効にさせません。

東京はまず、4+4の2ラインからなる守備陣形をキープすることを守備の第一義とします。スタンドからヒロシを見ていると、しきりにポジションキープの手振りをしていました。これは浦和をしてカウンターの可能性をなさしめ、完全なポゼッションスタイルにいざなう罠です。ただファーストディフェンスとしては中盤でのトランジションも狙って、プレスをかけます。ポイントはモリと槙野です。浦和が後方でパスを回すとき、左右のCBに入ると拳人と羽生がプレッシングを仕掛けます。中盤でのパスミスを誘うことはもとより、サイドに浦和を追い出す意図です。

こうして勝負の局面はサイドに移ります。サイドの守備は、WBに入った位置で異なります。中盤でWBがボールを持った場合は、徳永と諒也がそれぞれ宇賀神とタカのマークにつきます。一方アタッキングサードでサイドアタックを仕掛けられると、浦和の前線三人が動くスペースを消すために、最終ラインの四人がちょうどペナルティエリア幅くらいに絞ります。左サイドには羽生が入りタカをケアします。なのでディフェンシブサードでは、5バックのような形になります。諒也、羽生とも、タカの対処のポイントは共通していて、中へのドリブルを警戒します。なので諒也は縦、羽生はクロスをある程度は容認していたと思います。

一方反対サイドは少しテイストが異なります。徳永がディフェンシブサードで絞ることは変わらないのですけど、拳人がラインに入ることはありません。ディフェンシブサードでの拳人は、宇賀神にマンマークするイメージです。おそらくこれは、タカと宇賀神のキャラの違いから考えた作戦だと思います。宇賀神は内に絞ってムトゥと絡む、てかムトゥが開けたスペースに入っていって、ペナルティエリアでフィニッシャーも担います。なので拳人をつけることで、スペースではなく宇賀神そのものを消すことを考えたのだと思います。

つまり右タカ左宇賀神のセットでは、浦和のサイドアタックは右で作って左で仕留めるパターンになります。後方からのロングフィードがタカをターゲットにしていたのはそのためです。そのゲームメイク力を機能させないために、東京は人数をかけて左サイドのスペースと人を同時に消すことを志向します。

こうして、東京の浦和対策がはまります。ただし、この作戦には、明確な守備面のウィークポイントがあります。ディフェンシブサードの状況です。メイヤがともにWBにつくため、4+4の綺麗な2ラインは崩れ、6+2のような極端な低重心になります。つまり、ボランチの脇にスペースができるのです。当然浦和はそこを狙います。シャドウがこのスペースに下がり、中央突破の基点になろうとします。長々両軍の作戦をたどってきましたけど、ようするにこの試合の行方を左右する局地戦は、ボランチの脇のスペースの取り合いとなったのです。

おそらく東京も浦和も承知の上だったでしょう。ここから先はもはや真田昌幸公の出る幕ではなく、猛将のガチバトルになります。結果は東京がものにします。東京のモリゲ、まる、秀人、ヨネのボックスは、ただなりとムトゥからの中央突破を許しません。やむなく浦和はサイドに出しますけど、そこにはくだんの東京のサイドアタック封じ作戦が敷かれていますから、浦和が圧倒的に攻めている風情なるも、次第に完全な東京の掌握下に入ります。こうしてイニシアチブは東京に渡ります。

東京の攻撃の狙いは、必然的にロングカウンターです。この点は浦和対策というか、守備からさんだんした選択だと思います。最近はサイドで基点を作る短いパスの連携で、アタッキングサードのサイドに最終局面を作る攻撃パターンでした。今日のロングカウンターは、浦和の攻勢を受けてのアジャストなのかAプランなのか分かりませんけど、いずれにしろ、機能します。

東京は抜け目のない最終ラインの守備網により低い位置でトランジションすると、バーンズに長いボールを預けます。今日のバーンズの役割は、最終的にムリキにシュートを打たせるためのチャンスメークです。遼一でも相太でもなくバーンズだったのは、前線で時間をつくることを志向しなかったためだと思います。自在なドリブルで独力でしかけられるバーンズですから、ロングボールを受けて、そのままアタッキングサード右サイドをめがけて自ら仕掛けます。そして、逆サイドからペナルティエリアに入るムリキが良いかたちでシュートできるお膳立てをします。

東京にいざなわれるように攻勢を高める浦和は、ゴールの一歩手前まで迫ります。ここがまずはターニングポイントでした。相当程度の攻勢を受ける覚悟は東京にはあったと思いますけど、耐え切れるかどうかは現場の感覚でしか分からなかったと思いますし、もしかしたら、分かっていても押し切られる可能性も考えていたと思います。なので悪魔が魔力でヒーローを取り込むが如く、浦和が勢いのまま行っちゃうとむしろ怖いと思っていました。

ところが、浦和が一瞬止まります。冷静になって攻略ルートをサーチする選択をしたのかもしれません。一瞬、ほんの一瞬ですけど、エアポケットのような時間ができます。むしろ集中していたのは、能動的に止まった浦和ではなく、闘いかたをシンプルに整理できていた東京でした。

13分。羽生のモリへのチェックをきっかけに東京の守備網が押し上げ、ジワリとプレッシャーをかけます。それに感じたか、航が勇樹に安易なふわりとしたパスを当てようとします。これを虎視眈々とヨネが狙っていました。ヨネがカットしたボールはバーンズに渡ります。カウンター発動です。バーンズは中央を上がるムリキにパス。ムリキは右足で流し込みました。浦和0-1東京。

浦和は一瞬の躊躇を悔やんだことでしょう。さっそく取り返すべく、ふたたび猛攻モードに入ります。通常浦和は、攻撃時に勇樹を最終ラインに入れて4バックのようなかたちになりますけど、先制されてからは、勇樹も陽介とともに中盤に上がります。後ろは航とモリの二枚だけ。スクランブルです。

東京は自信を持ったことでしょう。浦和の威力のデータを肌感覚で得たとは言え、守備のやり方をわずかでも狂わせたら、その針の穴から大きな代償となることは分かっていたでしょうから。先制した東京は、あらためてロングカウンター大作戦を研ぎ澄ませます。そして、その流れのまま、理想的な追加点を得ます。

31分。中盤で激しいボールの奪い合いになり、オープンファイトになりかけます。タカの縦パスをモリゲがカット、ヨネを経由して、左サイドのムリキに渡ります。ハーフウェイ付近でキープしたムリキは秀人に戻します。秀人はライン際を上がる諒也に入れます。諒也はムリキとのタベーラで浦和陣に入ります。諒也は寄せるバーンズにパス。バーンズはワンタッチでムリキに戻します。ヒロシのサッカーらしい、心地好いリズムが生まれます。これで浦和の守備陣を右サイドに片寄せます。逆サイドは中央に槙野、その向こうに宇賀神だけ。ムリキは大きくサイドチェンジ。徳永に渡します。徳永は縦にチャレンジ。攻撃スイッチが押されます。パスを受けたバーンズは、四人に囲まれながらターン。このチャレンジが活きます。バーンズのチャレンジはカットされますけど、ボールはゴール方向に溢れます。そこに拳人がいました。ちょうど拳人へのスルーのかたちになります。拳人は右足で流し込みました。浦和0-2東京。

公式戦で複数ゴールを得たのはACLのホーム上海上港戦以来一ヶ月ぶり。リーグ戦に至ってはホーム川崎戦以来の二ヶ月ぶりです。今日は闘いかたが洗練されていたので、なんとなくこのまま行けるんじゃないかと思いましたし、まったく疑いなく落ち着いて観ることができるようになりました。前半は東京のオーガナイズのまま終了。

ミシャは後半頭からドラスティックに動くことが多いので、何か手を打つかなと思っていたのですけど、思いのほか静観です。むしろ、スターターメンバーに魔法をさずけたかもしれません。ところが様相は、ますます東京がオーガナイズを揺るぎないものにするように流れていきます。

浦和が攻め東京が守る展開は変わらないのですけど、後半がはじまってしばらくすると、東京が幾分高い位置でトランジションできるようになります。まず前半はほとんど浦和に拾われていたイーブンなクリアを拾うことができるようになります。そうして中盤にコンタクトのかたちができると、浦和の中盤のパスリズムをつかみ、勇樹と陽介を狙った仕掛けができるようになります。前半からメイヤがモリと槙野を追うチェックから中盤でのトランジションを狙った仕掛けを続けていましたけど、ようやく有効なターンオーバーが狙えるほどにリズムが整います。

そこでミシャが動きます。タカに代えて駒井を同じく右WBに投入します。タカは少し意地になっていたというか、東京の左サイドがつくる蜘蛛の糸にからまり、成す術がなくなっていたので、リフレッシュしたかったのでしょう。駒井はよりドリブルの頻度を高めます。縦への仕掛けだけでなく、内に絞るドリブルを見せます。これで、東京の左サイドの守備のバランスを刺激しようとしたのだと思います。

ここでヒロシが動きます。バーンズに代えて遼一を同じくトップに投入します。前半からロングカウンターの基点として激しく動いていたバーンズですから、コンディションを考慮したのでしょう。それに加えて、中盤を支配しつつある良い流れを加速させるために、トランジション後の預け先を前線に作る意図だろうと思います。

すぐにミシャが重ねます。ムトゥに代えて梅崎を同じく左シャドウに投入します。ムトゥもまた、タカと同じように、東京守備網の蜘蛛の糸にからみとられ、どんなプレーも守備陣にひっかかってしまうんじゃないかという迷いがあったと思います。これもリフレッシュの意図だろうと思います。梅崎は基点というよりかはドリブラーアタッカーですので、単独での仕掛けを期待したのだと思います。梅崎の前にズィライオが用意していたのですけど、ミシャはここはまだ仕掛けが活きる状況だと思ったのでしょう。

この時、浦和に「なんらかの意思」が舞い降ります。おそらく、埼スタに眠るニートレディアが突然目覚めたのでしょう。今日ばかりは、雨ではなく勇気、積極性と少なからずのラックを浦和にもたらします。そしてレディアからセーバーが浦和の選手に降り注がれます。

66分。陽介の左CK。これは中央でクリア。イーブンボールを駒井が拾い、梅崎に渡ります。梅崎はサイドチェンジをモリに送ります。モリは左に流れてきた慎三にスルー。これを諒也がケア。慎三は寄せる諒也を見て、深い位置からのマイナスのクロスを送ります。この時ゴール前はCKのセットが残っています。浦和はニアから航、槙野、ただなり。東京はニアからヨネ、モリゲ、まるのマッチアップです。そこに勇樹が飛び込んできて、数的不利ができます。慎三のクロスはちょうど入ってきた勇樹とその後ろの槙野の間に届きます。まると勇樹、槙野の1on2。まるの反応が一瞬遅れて、槙野が合わせました。浦和1-2東京。

東京にはシェルを唱えられる選手がいなかったようです。あるいはレディアの魔力が勝ったか。ここから12分間、浦和にかかった魔法が有効な状態が続きます。

直後にヒロシが動きます。徳永に代えて広貴を右メイヤに投入します。拳人が右SBに回ります。広貴にはバーンズ同様の役割で、右サイドの基点を担うことを期待したのだと思います。拳人を残したのは、ゴールしていますし攻撃力を期待したのだと思います。オリンピック代表候補でもあるので拳人推しも必要ということだろうと思います。ただ、拳人はともかく広貴に関しては、結果的に今日はほとんど試合に絡めませんでした。広貴が活きる前提は、中盤でイニシアチブを握れていることが必要なのかもしれません。

失点するまでの流れがよく、ここから先はもう少し中盤の仕掛け合いが増えると予想したのではないかと思います。この思惑は浦和にかかったセーバーによって覆されるのですけど、勝負はときの綾ですから致し方ないとは思います。そして、浦和にかかった魔法がふたたび威力を発揮します。

72分。アタッキングサード左サイド深くの宇賀神のスローインから。左サイドで展開していた浦和は、航から駒井にサイドチェンジ。東京はペナルティエリア付近で陣形を揃えています。駒井のトラップパスをニアでただなりがスルー。後ろの慎三に渡ります。慎三は丁寧に落とします。そこにスローインで上がっていた槙野がいました。槙野は躊躇なくダイレクトで右足を振り抜きます。ゴラッソ。浦和2-2東京。

今年リーグ戦でゴールの無かった槙野ですから、魔法以外にあり得ません。これを受け、ヒロシが動きます。羽生に代えて草民を同じく左メイヤに投入します。中盤のコンタクトをよりタイトにして、バランスよりも局地戦を挑もうという作戦だと思います。つまり、ここに来てガチ勝負に出る覚悟をしたということだろうと思います。半ば乗せられた感がありますけど、これも魔法の成せる技なのかもしれません。もっとも東京が成すべきは危険領域のディフェンシブサードから重心を上げることでしたので、基点になれる草民の投入は妥当だろうと思いました。

そしてミシャが動きます。宇賀神に代えてズィライオを右シャドウに投入します。ただなりが左シャドウ、梅崎が左WBにそれぞれ回ります。浦和の最終モードとして、いよいよフルアタックに臨もうという腹つもりだろうと思います。

魔法がまだ活きていることを願って、一気にイケイケの状態に持ち込んでしまいたいということだろうと思います。そして、魔法がいよいよ最大魔力を発揮します。アルテマが唱えられます。

78分。陽介のペナルティエリア左角やや外側のFK。東京はムリキと広貴がストーン。ゴール前はニアから槙野、慎三、ただなり、ズィライオ、航。マッチアップはニアから遼一、モリゲ、秀人、諒也、まる。クロスはまるがクリアします。このイーブンボールの落下点にいたモリがペナルティエリアの外からダイレクトショット。これがズィライオに当たって、ふたたびペナルティエリアに戻ります。それが勇樹に届きます。勇樹もミドルを試みますけど、バーに当たって跳ね返ります。そこにただなりがいました。ただなりは肩で押し込みます。浦和3-2東京。

後半の浦和のラックの連鎖の極みのようなゴールでした。でも積極的なシュートチャレンジがあってこその結果です。浦和の選手にチャレンジングスピリットをわかせた魔法は、ホントに強力でした。残念ながら東京に魔法防御のちからが足りませんでした。

浦和はこれで自重します。通常モードに戻ります。東京は、アタッキングサードで遼一を基点に攻撃を仕掛けられるようになりますけど、守備モードに入った浦和を崩し切ることはできませんでした。さすがにアウェイ、東京は攻撃魔法を持ち合わせてはいませんでした。このまま試合終了。浦和3-2東京。

思い返してみれば、どちらがどうということはないのですけど、なぜかいつもこの対戦は激戦になります。互いに特段特別視をしている対戦というわけではないのに、激戦になる相性のようなものがあるのかもしれません。今日もまた然り。

浦和の12分間を魔法と表現しましたけど、もちろん攻める意志と具体的なチャレンジがないと結果は残りません。浦和の選手の、攻めたいんだ勝ちたいんだという強い気持ちが、今日は少しばかり魔力を呼び寄せたのだろうと思います。

結果的には、90分間トータルを総合的に見ると、リトリートして浦和を受ける作戦は失敗に終わりました。ただ、選択肢があったのかというとそれは分かりません。東京は近年、レアル・マドリ―のようなスタイルをとっていますから、浦和の特性を含めて相対的に考えると、合理的なプランだったと思います。あの12分間を除くと、とくに66分間はパーフェクトな展開を主体的に作り上げられていましたので、ほんのちょっと何かが足りなかったのだろうと思います。自分にはそれが何なのか分かりません。だから、魔法のせい、レディアのせいにしたいと思います。

1stステージは次で最終戦です。2ndステージのスタートは、間をおかずすぐにはじまります。浮上のきっかけをつかむために、有効な一戦にしてほしいと思います。


とと姉ちゃんロケ地の旅 ―20160612 島田―

2016-06-21 22:05:29 | 連続テレビ小説とと姉ちゃん

蒸し暑い日が続きますけど、皆さん体調など崩されてませんか?。

AKの予告通り、長い長い序章がようやく終わって、いよいよ今週からとと姉ちゃんは出版の世界に飛び込みますね。楽しみです。

とと姉が本格的にとと姉になる前に、すでに過ぎし日になった浜松を訪れなきゃと思っておりました。とと姉ちゃん放送前からこの日と決めていた、アウェイ磐田戦から一夜明け、とと姉ちゃん静岡ロケ地を巡ります。

一日目の本日は、ちょっと遠出して、島田市内のロケ地に向かいます。

浜松から国道1号線、国道473号線、県道63号線と乗り継いで、やってまいりましたのは、川根温泉でございます。

道の駅川根温泉です。

こちらには足湯がございます。

道の駅川根温泉は北側に隣接する川根温泉ふれあいの泉と駐車場を共有していまして、そちらの施設も利用できます。

道の駅の建物の正面を向かって左手、お手洗いの脇から川側に出ます。

すぐに見えてまいります。とと姉ちゃんファンの皆さんはもうお分かりですね。河原のなかに入ることはできますけど、増水する場合があるので気をつけましょう。サイレンが鳴ったら非難してください。

それでは、とと姉ちゃん静岡ロケ地巡りの第一日目、島田編をスタートします。「よっちゃん、ぬか漬けちょうだい」「すいません、隣いいですか?」「あ…はい。鉄郎さん!」「ん~! どうして?」「どうしてはこっちのセリフだよ。家行ったらもぬけの殻でよ。慌てて大家のとこ行ったら手紙もらってさ。詰めろ詰めろ。詰めろって」「そこに連絡していいか分からなかったんです。決まった所に住んでないから」「まあ、間に合ったからよかったけどよ~」「別にすぐ来なくても…」「まあ、偶然、俺も東京で一山当てようと思ってたとこだったしさぁ」「新潟行くんじゃなかったでしたっけ?」「ん? ん~…まあな」「また失敗したんだ」「うるせえ!」「とにもかくにもよろしくな。東京でがっぽり儲けたらうまいもん食わしてやるから。これ頂戴~」「あっ、それ私の分!」「キュウリと交換しよう、キュウリ」「要らない」。東京深川に向かう小橋家が乗っていた列車が渡っていた鉄橋。あのシーンは蒸気機関車でしたね。特定はできてないのですけど、時代から言っておそらくC10形じゃないかと思います。

大井川鐡道大井川第一橋梁です。

ちょうど運よく、21000系が折り返し運転をしていました。

続いては、とと姉のたぶん人生唯一の恋が終わる、あの感動のシーンです。「すみません」。星野さんが列車のなかから、見送りにきたとと姉を見つけた河原。残念ながら確認はできなかったのですけど、このシーンは下り列車から北側の河原を撮っていると思います。

「常子さん! 常子さ~ん! 常子さん! 常子さん! 常子さん!」。とと姉が星野さんが乗った列車を見送っていた鉄橋。こちらは上り列車を南側から撮っています。

寂しさとも悲しさとも決意とも、なんとも言えない複雑な微笑ともとれる表情をしたとと姉が立ってた河原。胸に迫るシーンでした。

もと来た道、国道473号線を南に下ります。473号線から1号線に入ろうと、大井川鐡道日切駅付近の交差点で信号待ちをしていたら、なんとトーマスに会うことができました。運転中だったので残念ながら撮影はできませんでした。手前から、473号線の沿線に近隣のかたがたが出てきてらっしゃって、小さなお子さんがいっぱい待ってたので何かな?と思っていたのです。それだけじゃなく、行き過ぎる列車を追っていると、最後尾になんと、E10形がくっついていました!。あの、星野さんを乗せた列車を引いてた電気機関車です。間近で観るE10形は、案外ちっこくてずんぐりむっくりしてて可愛かったです。

今回は時間の関係で、朝ドラロケの名所中の名所、島田市内の大井川鐡道新金谷駅には行かなかったので、今度朝ドラで使われたら、ぜひE10形に会いに行ってみたいと思います。

本日最後は、こちら。

島田はロケ地の名所がいっぱいあるのですけど、その御三家がとと姉ちゃんで使われいます。大井川第一橋梁、新金谷駅、そして蓬莱橋

アピタ島田店のすぐ南側、大井川の北岸沿いを走る県道342号線を渡ったところにあります。橋のたもと、342号線沿いに未舗装の駐車場があります。ちょっと西に行くと舗装の駐車場もあります。

橋のたもとで通行料を払います。大人100円也。

たしか蓬莱橋は、木製では世界一長い橋だったと思います。今回は時間がないので南側まで渡らず、ロケ地だけを観ることにしました。

通行料を払う小屋の脇に、ロケ地の案内があります。

それでは蓬莱橋ロケ地を巡ります。「はい。それでは今日も…」「行ってらっしゃい! 行ってきます!」「走れ!」。とと姉と鞠ちゃんの通学路の橋。

「あれ?」「2つも食べるの?」「これ、美子の…。あ…かかが間違えたんだ」「常ちゃん?」「あっ、ごめんなさい。ごめんなさ~い」「美子~!」。とと姉がよっちゃんのお弁当を持って走ってた橋。

「常子と君子は、空いた時間を見つけては、みっちり練習を重ねました」「かか、もうひとふんばり!」「はい!」「時にはスカートがめくれあがっても… 時には筋肉痛に耐えながら…。勝利を目指して特訓を続けました」。とと姉が腿上げ走をしていた橋。

「あっ」。小橋シスターズが君子さんを探してた川沿いの小道。

「かか…かか! かか!」。小橋シスターズが君子さんを見つけた橋。

君子さんが歩いてた橋。

「かか!」。君子さんが小橋シスターズに気付いた橋の上。

「かか!」「常子?」「かか!」。

「どうしたの?」「思い直して下さい! 私何でもしますから! やっぱり女学校もやめます。ととも分かってくれると思うし。だから、だから…」「ちょ、ちょ、ちょっと待って。一体何の話してるの?」。

「かか、私たちのためにお妾さんになろうとしてるんですよね?」「私大家さんの話聞いてたもん」「お金ならみんなでなんとかしましょう! ちゃんとした鳩捕まえれば、生活できるかもしれませんし」「ちゃんとした鳩?」「一人で背負い込むなんてそんな悲しい事やめて下さい!」「やめて下さい!」。

「アハハハハ…。ちょっと座りましょ」。

続いて、橋のたもとに向かいます。橋の東側のこちらから土手におります。

ここをまっすぐ行ったところです。川沿いなのでくれぐれもご注意を。

「まず言っておきます。私は、お妾さんになるつもりは、ありません。確かに大家さんにお話は頂いたけど、すぐにお断りしたのよ」。

小橋家のみんなが座っていたのはこの辺り。

「そうなの?」「最後まで聞かなかったかも。フフ…」。

「では…どこへ行こうとしていたんですか? そんなに改まって」「女学校です。転校の手続きについて、詳しくお聞きしようと思って」「転校?」「どうして?」。

「実はね…。母のところに、お世話になるかどうか、悩んでいたの」「母?」「私の母。あなたたちの、おばあ様」「え? おじい様もおばあ様も、もう亡くなってるはずじゃ…」「君子の口から知らされた、思わぬ祖母の存在に、常子たちは驚くばかりでした」。

「竹蔵が亡くなって4年。小橋家は、貯金を切り崩して生活していましたが、それもままならぬ状態となっていました」。

「ごめんなさい」「どういう事ですか?」「18年ほど前なんだけど、いろいろあって、かかは、おばあさまと仲たがいをして家を飛び出したの。その時、もう二度と会わないと心に誓った。だからあなた達に…」「では…まだお元気で?」。

「ええ」「うわ~」「そうなの…」。

「私は実家は、東京の深川にある老舗の材木屋なの。父が亡くなってから、母がその、青柳商店を、切り盛りしながら、一人で私を育ててくれてね」「かかと一緒だ」「そうなんだけど、おばあ様は、厳しい人で。言う事は、絶対に曲げず、従うしかなかったの。所作や考え方はもちろん、ついには、結婚相手まで。200年も続く、老舗を守り続けるという生き方こそが、母の中では全てでね。自分が選んだ、婿入りして下さる商家の方との縁談を、強引に進めたの。そのころ、既に、竹蔵さんに思いを寄せてたから、それだけはと拒んだの」「ととだ! それでそれで?」「その結果、母の口から出たのは…」。

「だったら、出ていきな」。

「それから、一切、会わないつもりで、家を出て、浜松に。もう連絡しないつもりだったんだけど。情けない事に、私のお給金だけではどうやっても、学費を工面できなくて。貯金も、あと僅かになってしまったし…。さんざん悩んだあげく、母に便りを出したの。返事がないことも覚悟してたんだけど、母は、返事をくれてね」。

「荷物まとめて、こっちにおいで」「ありがとうございます。よろしくお願い致します」。

「はぁ…。え? …って事は、私たちは、東京に行くという事ですか?」。

「ええ」「えっ?」「えっ?」「えっ?」。

「私の、実家に…。あなたたちが、賛成してくれるなら、だけど」。

本日のロケ地巡りはこれにておしまいです。明日は浜松へ。


2016J1リーグ1stステージ第16節FC東京vsアルビレックス新潟@味スタ20160618

2016-06-19 18:48:21 | FC東京

サッカーを中心とした人の輪のつながりの尊さ。それもまたサッカーが持つ力。

Jリーグのコミュニティのなかにいるひとは、チームの垣根を越えて、時にはイデオロギーをも封じて、友人のために力を配ることができます。本当に美しいことだと思います。

アルビレックス新潟の早川史哉選手が突然の病にかかり、一時サッカーからはなれ闘病生活をされています。アルビに関わるすべてのひと達が心をひとつにして、闘う早川選手の快復を祈り、さまざまに力を与えていらっしゃると思います。

ぼくらも、東京の選手も早川選手を応援しています。一日もはやい快復を願います。そしてまた、元気に走る姿を見せて欲しいと思います。You'll Never Walk Alone♪

今日のアルビは気迫が籠っていました。気圧された感がありましたけど、後半は流れにのることができ、相太の復活ゴールでドローです。

5連戦の3戦目となる東京はターンオーバーです。シフトは前節に続き、4-4-2。GKは秋元。CBはモリゲとまる。SBは徳永と諒也。ボランチは今日はヨネと拳人。メイヤは右に草民左に慶悟。2トップは相太とムリキです。

新潟は前節リーグ戦では約二か月ぶりとなる勝利をあげた布陣を踏襲します。シフトは中盤スクエアな4-4-2。GKは守田。CBは舞行龍と大野。SBは右にマツケン左にコルテース。ボランチはレオ・シルバと裕紀。メイヤは右に大左に成岡。2トップはギュンギュンと端山です。

現在地の東京と新潟は、とても似通ったサッカーです。シフトが暗示する通りです。大エースがいないという点も似ていて、攻撃のアプローチはともにそれなりに成立していても、結果がロースコアになったことの要因のひとつだろうと思います。見た目の内容はほぼ互角に映りました。ただスタッツを見ると東京が圧倒しているので、クオリティの差が幾分あったのだろうとは思います。

東京はターンオーバーですけど、やり方そのものは基本的に変わりありません。最近の取り組みを継続しています。攻撃はサイドアタック基調です。左は慶悟を基点にしてムリキを走らせ、マツケンの背後を狙うパターンです。右は今日は草民なのでテイストが少し異なります。ランナーの宏太やトリックマニアの広貴と違い、草民はファイターアタッカーですから、自身をさらすことで、自ら相手を圧倒するか、徳永とヨネをフリーにする役割を担います。東京は現在、サイドを基調にした組み立てに取りんでいますけど、右に関してはタレントのバリエーションが高いレベルで豊かになっていて、相手によって使い分けをしたり、試合中のチェンジ・オブ・ペースに活かすことができるようになると思います。

ただ、宏太にしろ広貴にしろ草民にしろ、シュートアテンプトをもう少し強く意識できるようになるといいと思います。三人ともシュートを打てるのですけど、シュートを打つかたちになっていないような気がします。これは、三人の役割がチャンスメークで、フィニッシュのひとつ前の仕事を担っているためだと思います。つまり、今取り組んでいるサッカーは、攻撃面に関しては個に依存せず、コンビネーションで崩し切ることを志向しているということを表していると思います。

残念ながら、今はまだ、コンビネーションが十分ではないのでしょう。最終局面のひとつ前までのアプローチは、美しさすら感じるほどになってきていて、十分にコンペティティブなクオリティを持っていると思います。でも、最終局面で残念な想いをすることが多いのは、そこからのアイデアの共有がまだ十分ではないからでしょう。アタッカーは常にシュートを狙う生態ですけど、コレクティブな攻撃を志向する場合は、ゴールから逆算してシューターが効果的なシュートを打てるように、周囲が配慮する動きが求められます。つまりシュートエリアで、シューターに有利なギャップを作ること。なので、最終局面ではつねに、ある意味矛盾が起こっています。役割を整理し矛盾を正常にするのは、やっぱりアイデアの共有につきます。

そのために何をすべきなのかはサッカーの経験すらないのでわかりません。でも、見た目の印象では、シュートに至るまでのアプローチが十分に威力を持ってきているので、足りないものは絞られてきているんじゃないかと思っています。攻撃のアプローチは四段階あると思います。攻守の切り替え、いわゆるポジティブ・トランジションが第一ステップ。基点を使ってボールをアタッキングサードまで運ぶビルドアップが第二ステップ。クロスやスルーやドリブルなど、最終局面の手前でチャンスメークするのが第三ステップ。そしてシュートの最終ステップ。

ポポさんのサッカーは第一ステップの理論をすっ飛ばして第二ステップだけに美を見出そうとしていたと思います。フィッカデンティさんのサッカーは逆に第一ステップの確立にこそ美があるという考え方でした。イデオロギーの違いなんだけど、互いに不足があるし、ともにアタッキングサード以降のステップは結局確立できず仕舞いでした。というよりも、アイデアの片鱗もよく見えませんでした。

ヒロシは、第一ステップから第二ステップへのスムーズな移行を進められるように取り組んできたと思います。なので、中盤でのトランジションを可能にする守備全体の安定性を優先してきました。きっかけは上海上港戦へのアプローチだったと思います。その流れから、5月以降のJリーグでは、いずれも中盤を優位に試合を進められるようになってきています。最近、イニシアチブを取られてひきこもる試合が無くなっているのは、そのためです。結果的に5月以降の成績は、ACLを含めて4勝4分1敗。リーグ戦では、今日を入れて6戦無敗中です。

スタッツをもうちょっと見てみます。シュート数63。一試合平均10.5。うちゴールは4。被シュート数36。一試合平均6。うち被ゴールは2。シュートのほうは、ガンバ戦を除くと先週まで一桁台が続いていましたけど、前節から二桁に乗せています。第三ステップ以降のチャレンジが少しずつ良くなっている傾向が伺えます。見た目にも、あれを決めていればというシュートが出てくるようになっています。ぼくらは基本的に単純ですから、スタッツではなく勝利で満足します。仮にまったく同じスタッツでも、一本の決定機を外すのと決めるのとでは、ぼくらの評価は180度変わります。だから、あと一歩というところまで来ていると思います。

迷ってはならないのは守備の安定感です。6試合で2失点、平均0.3というはすさまじい数字ですね。優勝ラインに匹敵するでしょう。実際、現在首位の鹿島の一試合平均失点が0.6ですから、余りある内容です。ですから、一試合平均得点が1点にも満たないことに注目するあまり、闘いかたそのものを翻すようなチャレンジはしてほしくありません。

ただし、得点力が課題なのは確か。はからずも一試合平均得点が1点未満なのは、同じくフィッカデンティさんのサッカーをベースとする東京と鳥栖だけ。本質的には、その根底にある何かが間違っているんじゃないかと思います。でも、繰り返すようですけど、取り組む課題は絞り込むべきだと思います。じゃないと迷走しますから。それでどこまで改善し、最終順位がどうなるかわからないけど、それはもう仕方がないんじゃないかと思います。

新潟の現在地は東京に似ているといいましたけど、スタッツが表す通り、攻撃に関しては課題として取り組むステップが東京よりもひとつ下がると思います。シュートアテンプトを得られていないということは、その過程を作れていないということですから、基点作りに課題があると思います。

トランジションに関しては、もとよりレオというJリーグ屈指の個の優位性がありますから、第一ステップは今日を見ていても十分にコレクティブです。今日の勝敗のターニングポイントは中盤にありました。ゆえに中盤のコンタクトがとても激しいものになります。さらにひとたび中盤を抜けるとチャンスにつながっていたことも、中盤が熱かったことを表しています。週のあたまに、新潟の要レオの移籍が取りざたされてびっくりしましたけど、試合までに無事収束できたことは、少なくとも今年の新潟にとって安心につながると思います。

新潟の場合、東京と違って大きなエクスキューズがあります。好調なシーズンインを迎えたラファエル・シルバの離脱は、とんでもない誤算だったろうと思います。Jにフィットしてきてゴールを量産する可能性がありましたから。先に述べました攻撃のステップをパターンとしてかたち作る着想の発端は、吉田さんがどのようなアプローチを取られているかは分かりませんけど、一般的にはシュートのかたちから逆算します。つまり今シーズンのモデルとして、ラファにゴールを取らせることを前提に、ラファがシュートを決め易いかたちでパスを供給する組み立てを第三ステップと最終ステップで考案します。そのラファがいなくなるということは、攻撃の組み立ての大前提を失うことですから、現場の混乱ははかり知れないものだったでしょう。吉田さんの当初の答えは、ヤンツーさんの攻撃プランの踏襲で、サイズのある選手を使って、よりコレクティブな攻撃を志向し、むしろ二列目に点を取らせるかたちを目指したと思います。

現在もそれは続いているようです。核となるフィニッシャーがいないのですから致し方ないでしょう。中盤戦以降は、高さではなくスピードとアジリティと対人の強さを基準に前線を選択しているようです。ギュンギュンを軸にしているのはそのためでしょう。もともとギュンギュンはキレで勝負するドリブラーシューターで、どちらかというとセカンドアタッカーなイメージがありますけど、新潟の軸になってからは、あえて身をさらす役割を担っています。これはボール保持力が上がっていることと、対人防御能力が高くなっているからこそできることです。ギュンギュンを見ていると、人は意欲と課題があれば、環境によって新たな能力を加え、進化していけるんだなって、あらためて感じることができます。ただ、新潟のエースにしては目立たないのが残念ですね。オーダー紹介のときに相手からブーイングが起きるような選手になってほしいです。

新潟と東京の攻撃の組み立ての違いはディテールの部分だけです。同じくサイドアタック基調ですけど、新潟はギュンギュンと端山がビルドアップに加わります。ギュンギュンと端山は左右で役割分担をしていて、右が端山左がギュンギュン。両者が同サイドに偏ることはあっても、ポジション交換はあまりありません。ビルドアップの際、ルート上にあるほうがサイドに流れて基点になります。

新潟の攻撃のもうひとつの特長は、頻繁にサイドチェンジすることです。サイドチェンジのルートは東京よりも高めです。これは、裕紀を経由するためです。新潟のボランチは役割分担が明確です。レオがスウィープとアクセントを担いますので、中盤を比較的自由に広範囲に動きます。それを実現するために裕紀は中盤の底、扇の要の位置を守ります。以前よりも裕紀は、攻撃コースを決めるときに迷いがなくなったような気がします。新潟のビルドアップが比較的スムーズに見えたのは、さすがにレオが長く中心として君臨していますから役割分担が洗練されているのに加え、裕紀のプレーにエレガントさが出てきたせいもあるような気がします。

とはいえ新潟のシュート数が少なかったのは、アタッキングサードから先に課題があるためというのは明確でしょう。アタッカーをサイドの基点とするということは、メイヤもしくはSBの攻撃参加を促すことが前提です。今日の攻防のポイントはここでした。右は大とマツケンvs慶悟と諒也、左は成岡とコルテースvs草民と徳永。この局地戦の軍配は守る東京に上がります。新潟は右はマツケンのクロス、左は成岡のクロスとコルテースのドリブルのダブルアタックを志向していると思いますけど、左右ともに仕掛けの位置が低かった印象があります。なので、仕掛けても単発に終わるし、止む終えずのアーリークロスも威力がありません。これは構造上の問題で、アタッカーをサイドに流して基点とするため、どうしても攻撃の支点が低くなるのです。もう2、3m高い位置で基点を作ることができたら、守備網を押し下げることができ、縦への推進力が生まれるのですけど。

さて、前半早々、新潟にアクシデントが起こります。舞行龍が相太とのセットプレーでのコンタクトで負傷し、退場します。代わって増田が左CBに入ります。大野が右に回ります。エースCBの不在の影響は少なくないと思いますけど、増田は今年、出場機会もあったので、守備の安定感は損なわれません。

攻撃のクオリティの差が少しずつ出はじめて、東京がイニシアチブを握るかなと思っていた矢先、そして、事件が起こります。

23分。ギュンギュンが放ったシュートをキャッチした秋元がフィードの出し処を探している間にペナルティを指摘されます。間接FK。抗議に集中している秋元にギュンギュンが寄ってきて、秋元からボールを取ろうとします。秋元は不用意に、ホントに不用意にギュンギュンにボールをあげちゃいます。すぐにリスタートしたギュンギュンは左にいた成岡にパス。成岡は無人のゴールに蹴り込みました。東京0-1新潟。

不用意以外にとくにコメントはありません。前半の残りはGK祭りになっちゃいました。前半は1点ビハインドで終了。

後半頭からヒロシが動きます。慶悟に代えてバーンズを同じく左メイヤに投入します。前線のオポチュニティを増やす作戦だと思います。慶悟は中盤で基点を担いますから、チャンスメーカーはムリキになります。そうするとゴール前が遼一の一枚になりますから、オポチュニティが減ります。ムリキを前線に残すために、バーンズにチャンスメークをさせるイメージだと思います。バーンズにパスを供給するために、諒也が少し高めに位置取るようになります。

この交代が奏功して、左サイドが活性化します。まず、前線のフォアチェックが機能して、高い位置でトランジションできるようになります。なのでショートカウンターを何度か繰り出せるようになります。これによって新潟に後方の不安を生み出します。これで中盤の攻防を優位にできるようになり、そして東京がイニシアチブを握ります。

重層的な攻撃を見せるようになって、スタジアムのムードが徐々に高揚するなか、ひさびさスターターのあの男が咆哮をあげます。

54分。諒也とバーンズの美しく大きなタベーラからのバーンズのクロスが大きく逸れ、局面は右サイドに展開。徳永からボールを奪ったコルテースが左ライン際の端山に渡します。端山はヨネが寄せてくるのを見てリセットを選択、後方の成岡に戻します。このホスピタルパスを草民が見逃がしません。セーフティーに後方に流そうとする成岡を追って、成岡から裕紀へのパスをカット。こぼれたボールをムリキが拾います。このプレーで新潟は、ボールサイドに成岡、裕紀、大野がつきます。増田はゴールをケア。これでゴール正面は完全にぽっかり空間ができます。そこにいたのは相太ただ一人。ムリキはこれをさらに完全なものにするために、ボールを持ってターン。新潟の守備陣の注目を全部ボールに集めます。そうしてムリキは丁寧に相太にパス。相太は左足でトラップ。フリーとは言え、ペナルティエリア外からで角度が限られる難しいシュートになりましたけど、相太は思い切りよく、かつ丁寧に左足を振り抜きました。東京1-1新潟。

振り出しに戻った状況に、吉田さんが動きます。成岡に代えて指宿をトップに投入します。端山が右メイヤ、大が左に回ります。ただでさえ重心が上がらず、それに加えて東京の多重攻撃で後方に引っ張られてきていたので、中央に明確なターゲットマンを置いて、まずはぐいっと腰の位置を押し上げようという意図だと思います。

同点になったことを受け、ヒロシが動きます。実戦復帰した翔哉がひさびさに登場です。ムリキに変わって左メイヤに入ります。バーンズがトップに回ります。ムリキとバーンズが揃った左サイドは、バーンズが動いてムリキが受けるかたちができていました。バーンズは単独でチャンスメークできますので、東京は左サイドでより人数をかけた攻めができるようになります。でもまだムリキのコンディションは万全ではないのでしょう。それを考慮しての交代だと思います。

ひさびさに観た翔哉でしたけど、しっかりとコンディションを整えてきたようですね。単独でゴリゴリいく強引なプレーを見せてくれました。翔哉にはシュートへの積極性がありますので、見ていてもゴールを近く感じられるようになります。翔哉が戻ると、左サイドにも選択肢のバリエーションが増えます。オリンピックが終わるまでは翔哉は主軸には考えにくいですけど、選択肢が増える秋以降は、布陣に悩みそうです。それが良い方向に転がるといいのだけど。

続けてヒロシが動きます。相太に代えて遼一を同じくトップに投入します。相太のコンディションを考慮したのでしょう。遼一を完全に休ませることも含めて相太にはもうちょっとやらせてあげたかったけど、まだ90分は難しいのかもしれませんね。

すぐに吉田さんが動きます。端山に代えて武蔵を同じく右メイヤに投入します。指宿だけではまだ起爆剤にはならないので、スピードマンに長いボールを預けて推進力を作りたかったのだと思います。

アプローチの差は結局埋まりませんでした。それでも、総合的に見たらやっぱり東京と新潟は似たもの同士です。序盤の新潟のロングボール基調の時間帯を除き、ほぼひと試合通じて同調した試合展開でした。お互いにあまりにもがっぷり四つになったので、かえって力勝負に偏っていったのかもしれません。もう少し技を仕掛けてもよかったかなと思います。ただ長い目で見れば、まだお互いにチームを探っている段階だと思うので、勝敗はともかく、トライに対する検証をしっかりできたことはよかったのではないかと思います。

結局東京は押し込むまでには至らず、このまま試合終了。東京1-1新潟。

新潟は順位は苦しんでいますけど、プレーのミスが少ないですし、クオリティの基準はかなり高く、選手も意欲的ですから、サッカーの内容は悪くはないので、迷う必要はないと思います。今取り組んでいるサッカーは、おそらく吉田さんが当初描いたプランではなく、現実的なアジャストだろうと思います。にわかにゴールゲッターを得られるわけではないので、コレクティブに粘り強く闘うことが、成績を安定させる最短ルートでしょう。

ヒロシ東京もまた、ACLの進捗に合わせ、当初描いたプランを捨て、現実的なアプローチに切り替えてきました。守備に関しては十分な成果を得たと思います。人数はいてもどんぐりの背比べなアタッカー陣の陣容を考えたら、変に色気を出さず、守備過重なサッカーをすべきだろうと思います。

ただ、長期的に考えてみると、そろそろ東京のサッカースタイルを普遍的なものにするエポックメイキングなチームが欲しいなと思います。近年上位に来てる広島、ガンバ、浦和、鹿島、川崎は、いずれも核となる、そして回帰することができるオリジナルスタイルを持っています。アイデンティティと言ってもいいと思います。東京にはまだありません。優勝というのは、スタイルの確立のその先にあるものと、ぼくは思います。