ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2014J1リーグ第31節名古屋グランパスvsFC東京@瑞穂20141102

2014-11-03 15:07:11 | 日記・エッセイ・コラム

11月最初の週末は三連休。天候には恵まれなかったのですけど、イベント目白押しです。

大阪でBKワンダーランドに参加して、マッサンとエリーに会ってきました。その模様はあらためて。

高槻で楽しいワインの夕べを過ごした翌日は、名古屋。名古屋には仕事でしょっちゅう来ていて、三日前にも来たばかり。アウェイ旅感はゼロですw。

東京は前節の敗戦で優勝が消えました。ACLも風前の灯火。まだ残留は確定していませんけどほぼ間違いない名古屋。お互いに大きな目標が無くなってしまいました。

手負いの名古屋に対し流れではほぼイニシアチブを握るも、不運もあって、とても悔しいドローになってしまいました。

東京は3トップを選択しました。GKは前節負傷した権田に代わって塩田が入ります。ここがひとつのポイント。CBはモリゲの相棒は今日はカズ。SBは徳永と宏介。3CHは今日は右に羽生が入り秀人、ヨネと並びます。3トップは右から千真、エドゥー、よっち。

名古屋はレアンドロ・ドミンゲスが怪我のため長期離脱中。さらに今日は、レギュラーダブルボランチの田口とダニルソンが二人ともサスペンションで不在です。まさに手負いの鯱。シフトはスクエアな4-4-2。GKは楢崎。CBは闘莉王と牟田。SBは右に貴章左に本多。今日のボランチは磯村と矢田が入ります。メイヤは右に田鍋左に永井。2トップは堅碁と力。

手負いの名古屋はとてもコンサバティブでした。今年の、というか優勝以降の名古屋は、アグレッシブな守備をしません。なので、コンサバティブの内容は、文字通りコンサバティブです。基本的に東京に攻撃権を与え、自陣で4+4+2の3ラインを維持します。守備の考え方は、まずはインサイドのコースを封じること。基本ですね。もとより東京はサイドアタックを志向しますから、自然サイドが攻防の主戦場になります。前半はとくに、左サイド加重でした。ここまでは、東京対策をしてくる他のリトリート系チームと同じアプローチです。

今日の名古屋の特長はここから。宏介にボールが入っても田鍋は寄せてきません。田鍋は貴章との距離を保ち、よっちのプレースペースをケアします。変わって矢田が宏介に寄せます。寄せると言ってもコースを切るだけ。本多サイドも同様。自陣に入ることは許しても、アタッキングサードで有効なプレーをさせないことを志向する守備です。まさに一般的に言われるリトリートです。

ところが名古屋はCBがもはや万能ではありません。正面を向いたガチの1on1は、以前圧倒的なパワーとテクニックを誇る闘莉王ですけど、スピードとアジリティにはやはり多少の影響があるのだと思います。牟田のカバーリングも、闘莉王をサポートするまでではなく、自分のテリトリーが精一杯のように見えます。東京はここを狙います。エドゥーと千真が変わるがわるセンターを取り、闘莉王と牟田の間を抜け出ようとします。東京はサイドのコースを切られても、アーリー気味にクロスを送ることで一気にアタッキングサードに入ることができました。

これによって名古屋の重心が下がり基調になります。バイタルエリアが開き加減になり、そこにヨネと羽生が侵入します。エドゥー、千真の戻しを拾い、サイドに展開。もしくは自らシュートを狙います。いつものことですけど、イニシアチブを握れているファーストアタックで先制できると、もっと有利に試合を進められるようになるのですけど。

名古屋のCBが東京の3トップの動きに慣れてくると、今度は名古屋が攻撃に転じます。名古屋はまず、ロングボールを川又に預けるところから作戦をスタートしました。もっともこれは、作戦というよりリトリートの常套で、守備陣形を整える時間稼ぎです。名古屋の攻撃志向はサイドです。

名古屋のサイドアタックは、ストロングポイントがとても明確です。わかりきっていても止められない優位性は、活かさない手はありません。右は貴章です。コンタクトに優れる貴章は、あえてマッチアップする相手を引きつけて、パワーでゴリゴリ進撃して味方の数的優位に貢献します。この恩恵を田鍋が前や横で受け、貴章自ら、もしくは田鍋からゴール前にクロスを送ります。

左は言わずもがな永井です。永井は、たとえば東京だとナオのように長めのスルーを送って走らせるタイプというよりも、ボールを持ってからよーいドンの速さ、つまり初速とトップスピードの両方に特長を持つ選手です。パワーとスピードでタイプは違いますけど、貴章、永井とも基点になることができます。そこに田鍋、本多が絡むことでサイドで優位性を作ります。

フルメンバーでもこの攻撃の基本プランは変わらないと思います。違いは、インサイドでの味付けです。レアンドロ・ドミンゲスと田口がいれば、中央で繋いでサイドチェンジ、あるいはダイレクトに中央のスルーパス。さらにダニルソンが加わると中央のロングシュートもあります。手負いとはいえ名古屋の基本プランを変えるほどの影響はなかったにしろ、スパイスがあると無いのとでは、勝つために自発的にアプローチする、つまりイニシアチブを握りに行こうとできるかできないかに大きく影響してしまいます。今日の名古屋は、サイドからのクロスに偏重してしまいます。

もちろん東京の帰陣がはやくクイックにクロスを送れない状況もありますから、そういう時はポゼッションします。でも中央で状況を打開できる選手がいませんから、一度ポゼッションに入ると名古屋の攻撃は実質ゴールを目的にはできなくなります。

サイドアタックからのクロスに作戦が絞られるということは、成否を分けるのはクロスのタイミングとフィニッシャーの質です。何度か良質なクロスが送られていましたけど、今日の堅碁と力は、ほぼ完全に東京守備陣に飲み込まれていました。堅碁は力と組むとパワー系のプレーを担わざるを得ません。本来は、アクロバチックなゴールが多いことから分かる通り、メインのターゲットマンではありません。その点力は自分のプレーをさせて貰えていると思います。堅碁と力は、縦配列になることが多いです。これは力がアジリティと短距離のスピードを活かすため、対峙するDFと距離を置いているからだと思います。今日は、堅碁をカズ、力をモリゲが見ていましたけど、結果的に完封しました。

ただちょっと不安があったのは、名古屋に数度あったシュートアテンプトで塩田がボールに触れず、微妙に反応が遅れているのかな?と感じたところです。責任感が強い塩田ですから、気負いがあったのかもしれません。それでもチーム全体では東京がほぼイニシアチブを握り、そのままオーガナイズまでできる展開に持ち込めたと思います。はやく先制点が欲しいなと思っていた矢先、名古屋がワンチャンスを活かします。

前半19分。名古屋は闘莉王と牟田以外全員が東京陣に入っています。東京もエドゥーを一人前線に残して帰陣。牟田がボールを持ちます。この時田鍋が内に絞り、サイドのスペースを開けます。そこに貴章が上がってきます。牟田から右ライン際、ほぼ最前線の近くまで高く位置取っている貴章にパスが入ります。よっちのポジショニングが中途半端でした。牟田のパスコースを切るでもなく貴章に寄せるでもなく。おそらく田鍋の動きをケアしていたのでしょう。このため貴章がどフリーです。貴章はトラップを前方に出しますけど、少しミスして内寄りに行きます。そこによっちが詰めてきます。そこで貴章は、意図的にスピードを遅らせよっちを引きつけます。肩でよっちの寄せをガードしつつルックアップ、ゴール前の状況を確認します。東京の最終ラインは揃っています。貴章の前方のコースを宏介が切っています。ニアの力はモリゲがマーク。ファアに川又がいますけどカズと羽生が見ています。大外の永井も徳永がケア。内側に田鍋がいますけどヨネが見ています。貴章は一瞬時間を作って状況を変えることを選択します。よっちを左手一本のハンドオフでガードしながら前方のドリブル。よっちとの間合いを開け、どフリーでクロスを上げます。狙ったのは人ではなくエリア。塩田と最終ラインの間に距離があったので、そこのスペースに上げておけば、力か川又が飛び込むだろうことを期待したのだと思います。このクロスが絶妙なコースに飛びます。合わせたのは、なんと不運にもモリゲでした。名古屋1-0東京。

思わぬ形で先制を許してしまいましたけど、流れそのものは東京にありましたし、失点直後にエドゥーがチームを鼓舞していたのを見て、直感的にすぐに追いつく予感がありました。そして実現します。

前半21分。左CKのクリアボールがふたたび東京ボールになります。拾ったよっちからヨネを経由して、もう一度左サイドに。ヨネからパスを羽生が受け、一瞬間を作ります。この時名古屋は、CKの守備陣形を作っていて、サイドのケアがありません。磯村が流れてきますけど、羽生の間で羽生を見ます。そしてライン際に残っていた宏介が完全なフリーになります。羽生はクロスを上げやすいスルーを丁寧に宏介に送ります。宏介はボールに追いつく前にルックアップ。この時間の流れは至極でした。ペナルティエリア内はCKの状態のまま。名古屋のCKの守備はマンマーク。ニアにモリゲがフリーで飛び込んできてます。中央はエドゥーがいますけど牟田、闘莉王、本多に囲まれています。ファアに千真とカズがいて、それぞれ貴章と矢田が見ています。この時モリゲがフリーだったことが微妙に名古屋のマンマークに影響を及ぼします。エドゥーの前方をケアしていた牟田がモリゲを追います。てっきり宏介はモリゲを狙うと思っていたのですけど、この一瞬の牟田の動きを見切ったのかもしれません。目の前が急に開けたエドゥーにクロスを送ります。ゴール真ん中に楢崎がいましたけど、エドゥーは右隅を狙って頭を振りました。名古屋1-1東京。

やっぱりエドゥーは頼りになります。少なくともパワー系では依然J屈指の闘莉王に対し、パワーだけでなく位置取りのテクニックでも完全に凌駕した一撃でした。その状況を瞬間で看破した宏介も見事でしたし、状況を作った羽生も素晴らしかったです。ところが、安堵する東京にふたたび冷水を浴びせるゴールが生まれます。

前半29分。左サイドアタッキングサード内の矢田のFK。東京は例によって横並びのゾーンとマンマークのハイブリッド。名古屋はニアに永井。ファアに闘莉王、牟田、貴章、堅碁、力が集まっています。矢田が蹴る直前に、闘莉王が大外に離れます。さらにその外に牟田。貴章、堅碁はまっすぐ飛び込み、逆に力がニアに流れます。このサインプレーから矢田が狙ったのは闘莉王でした。ファアをケアしていたのは宏介とヨネですけど、ヨネはバックステップしながらの難しいクリアになりました。宏介は背後から闘莉王が飛んできたので、一瞬ジャンプが遅れます。懸命に闘莉王に体を寄せますけど、闘莉王のほうがはやくそして高かったです。名古屋2-1東京。

エドゥーも凄いですけど、闘莉王のここ一番の集中力はさすがです。闘莉王の味方を鼓舞する声はスタンドからも聞こえました。ホームではオスカー役者ばりの演技はあんまりしないのが興味深かったです。

守ってあわよくばワンチャンスをという名古屋のプラン通りの展開になりました。そして試合が膠着します。と言っても手も足も出ないというのではなく、互いに特長とプランに即したチャンスメークまではできました。東京はシュートアテンプトが少なくなります。今年好調期を掴むことができたのは、よっち、相太、エドゥーの思い切りよいシュートアテンプトがひっぱていたと思います。ここ数戦の停滞は、よっちに思いっきりが欠けていたことも影響していると思います。

まったくビハインドの要素が感じられないにも関わらず、前半は名古屋の思惑通りこのまま終了。

後半に入っても状況は変わりません。思い切りの悪さがいっそう目立つようになります。ミステルが策を施します。まずシフトを変更します。羽生を右メイヤに置き、ヨネと秀人を内に並べます。よっちは左メイヤ。たぶんシフトを明確に変えたというよりは、羽生を右に張らせたと言ったほうがいいと思います。前半から、よっちサイドが封じられる一方で、右サイドが活性化していました。これは永井がいることが影響していると思います。名古屋は永井にボールを預け基点を作ります。ここに本多が積極的に絡みます。そこで本多の背後にスペースができます。今日3トップを選択した理由はここにあると思います。本多の背後を千真が執拗に狙います。このため右のアタッキングサードで基点を作れていました。

後半に入り、この役割を羽生が担います。千真はインサイドに移って羽生が上がるスペースを作るとともに、羽生の後方をサポートする徳永と絡みながら、ショートスペースでパスを回し、最終目的は名古屋の守備陣形、とくに闘莉王と本多、闘莉王と牟田の間にギャップを作ろうとします。これがはまります。右サイドが活性化します。

ミステルは、畳み掛けます。ここを好機と見たのでしょう。羽生に代えて陸を投入します。今度は明確にシフトを4-4-2に移行します。中盤は右から陸、ヨネ、秀人、よっちの並びです。陸が加わることで攻撃力が格段にアップします。縦への推進力に加え、徳永と千真との絡みから陸自らシュートも打てます。ここで一気に押し込めていたら、もしかすると名古屋の守備を混乱させられたかもしれません。

それでも名古屋の守備は突破できません。闘莉王と牟田は集中を切らしませんでしたし、磯村は足をつるほど体力を使って懸命に守ります。そこでミステルがさらに攻撃のギアを上げます。ヨネに代えてたまをそのまま右ボランチで投入。ヨネはなにかコンディションの考慮なのかもしれませんね。ただたまの選択は、前線に積極的に顔を出すことを期待しての作戦だと思います。

西野さんも動きます。力に代えて佳純を投入。永井をトップに上げて、佳純はそのまま左メイヤに入ります。おそらく東京の右サイドアタックを封じるために、本多との関係をバランス良くすることと、永井とはまた違ったテイストで、左サイドで基点を作れる選手を置こうとしたのでしょう。そしてこの交代の応酬は、ポジティブに動いたミステルのほうに軍配が上がります。

後半31分。名古屋陣。ペナルティエリア付近で名古屋DFがクリアしたボールがイーブンになり、中央付近に転がります。これに永井と徳永がチャレンジしますけど、一瞬はやく徳永が追い付きます。こぼれたボールにたまとよっちがチャレンジ。よっちは寄せてきた闘莉王を背負ってブロックしながらボールを確保します。闘莉王の加重が左によったのを感じて右回りにターン。寄せてきていた矢田もこの動きで逆をとって振り切ります。フォローにきたたまと交錯しそうになりますけどたまが避けてスクリーンプレーのような形になり、よっちはそのままドリブルで突進。アタッキングサードに入ります。この時正面にはエドゥーが貴章を背負ってパスを受ける準備を整えています。ファアには千真がいて本多がマーク。ゴール前は磯村と牟田がケア。エドゥーが貴章を引きつけている効果はもう一つ。田鍋が戻っていなかったので、左サイドにスペースがあります。よっちの選択はこのスペースでした。左に流れながらドリブルでペナルティエリアに侵入。これを見てエドゥーが貴章を離してゴール前に顔を出します。貴章はよっちをマーク。よっちは先制点の屈辱を挽回できるマッチアップがやってきました。よっちは貴章がコンタクトしてくる直前、一瞬タイミングをはかって、右足を軸にして体を大きく右回転させ左足でシュート。たぶんゴールは見ていなかったので感覚でしょう。楢崎の指先を越えました。スーペルゴラッソ。でも、直前に足を痛めていましたし、シュート自体ちょっと足に負担がかかるプレーなので、無理をしてほしくないと思います。名古屋2-2東京。

これを受け、西野さんが前線をリフレッシュしようとします。堅碁に代えてグスタボを投入。でも目立った効果はありません。

一方の東京も、コンタクトプレーでモリゲが痛んだりして、ベンチワークが難しくなります。ピッチ上でも、佳純投入の効果がじわじわ効き始め、右サイドアタックが鎮火してしまいます。

最終盤、互いに動きます。先にミステルが動きます。モリゲがなんとか大丈夫そうと確認でき、攻撃に集中します。残ったカードは河野、慶悟、翔哉。選択したのは、千真に代えて翔哉でした。翔哉はそのまま右トップに入ります。

2トップにしてから度々エドゥーと千真がかぶっていました。それに、エドゥーが裏に飛び出せす選手を要求していたように見えて、それにミステルが応えたんだと思います。ただ、名古屋守備陣を引っ掻き回す成果は得られませんでした。

アディショナルタイムに入って西野さんが仕上げにかかりました。田鍋に代えてヘジスを投入。磯村が足をつり加減だったので、守備を安定化しようとしたのでしょう。

そしてここは西野さんの思惑通りになりました。このまま試合終了。結果的には名古屋が逃げ切りました。名古屋2-2東京。

飛車角王落ちの手負いの名古屋は、手負いらしく、ホームなれど手堅い試合をしました。思惑通りに進みましたけど、そんな状況でも少ないチャンスを活かせたのは大きな意味があると思います。ただ、横綱相撲をとるには足りないものがまだあると思います。来年はレアンドロ・ドミンゲスを軸にするのであれば、いかにレアンドロを活かすかをじっくり考えてほしいと思います。

東京はなればこそ勝たないといけない試合でした。ACLを目指すには必死でくらいついていかないといけない状況でしたから。結果的に、まだ可能性は残っているけど、現実的にはもはや難しいと思います。もちろん勝っていくことが大事ですけど、ここから3戦は、来シーズンを見据えたチャレンジをして欲しいと思います。まずは3週間の中断に入りますから、今年の総仕上げとして、そして来年のために、もう一度チームをじっくり作って欲しいです。

さすがに2週続けての遠征は疲れました。来年はアウェイは厳選するだろうなあ。