ぽちごや

FC東京のディケイドSOCIOです。今シーズンは丹羽ちゃんとともに闘います。

2017J1リーグ第27節柏レイソルvsFC東京@日立台20170923

2017-09-24 15:59:33 | FC東京

雨予報が夜のうちにあがって爽やかな秋の陽気になりました。

本日は柏。だいたい例年早春のイメージがある柏に、今年は秋に来ました。路線が違うと何度来ても戸惑います。You'll Never Walk Alone♪

監督交代のリフレッシュ効果もひと試合限りとなったゴレアーダ敗戦です。

東京は前節の布陣を踏襲です。シフトは3-4-2-1。GKは彰洋。3CBは右から徳永、ヒョンス、まる。ボランチは洋次郎と拳人。WBはやっちと宏介。2シャドウは嘉人と慶悟。1トップは永井です。

柏は布陣を少しアジャストします。シフトは4-2-3-1。GKは航輔。CBは中谷と中山。SBは右に小池左にユン・ソギョン。ボランチは大谷とキム・ボギョン。WGは右にIJ左にハモン・ロペス。トップ下は武富。1トップはクリスティアーノです。

ぼくらのようなファンレベルであれば、サッカーの観戦は案外簡単です。サッカーは原則として攻撃を基準にしています。攻撃を基準にしない対戦スポーツがあるのかは知りませんけど。よく、チームのスタイルを攻撃的、守備的と表現します。的というのが、サッカーが攻撃基調であることを表わしていると思います。理由はしごく単純で、点を取らないと勝てないから。もちろんリーグ戦の文脈では勝たなくて良い状況がありますから、実際には点を取らないことを志向する場合もあります。でもすべての試合でそれをやると順位が上がらないわけですから、特殊論です。

つまりサッカーは、チームがどのように点を取ろうとしているのかを理解することができれば、ぼくらでもピッチ上で何が起こっているのかを割合簡単に理解できるのです。ただし予備知識があったほうが理解の速さと深さが増すのはたしか。馴染みのない試合の内容を瞬時に理解できるのは、やっぱりサッカーを仕事にしているかたや観戦技術が非常に高いかたなのでしょう。憧れますけど、自分には無理です。その意味で、J1と一部のJ2クラブに限ってですけど、予備知識のおかげで相手の闘いかた、すなわち攻撃のアプローチの理解は簡単にできると思います。

リーグ上位のチームと下位チームの見た目上の違いは、観戦時の攻撃アプローチの理解の速さに表れると思います。観る側が状況をはやく理解できる相手はおそらく闘いかたが洗練されているのだと思います。洗練されているということはチームとしての練度と経験知が高いことを表わしていますから、同じ攻撃アプローチを継続できていることを意味します。このようなチームは、必然的に上位にいるでしょう。

さて、柏はとても理解し易いチームです。ネルシーニョさん後期の倦怠感から、達磨さんの混乱期を経て、下平さんによって非常にはやく軌道修正がなされました。たぶん修正の方針はとてもシンプルだったと思います。それは柏の攻撃アプローチを再構築することだったと思います。ともすれば観念的になってしまっていた闘いかたを改め、攻撃こそがサッカーの基準であること見つめ直し、チームのなかで徹底されていることが伺えます。いま、東京がおかれている状況を考えるとコントラストが明確です。いまこの瞬間は悲しくもあり羨ましくもありますけど、中期的に考えると学ぶべきプラクティスが柏に限らずリーグにはいっぱいあるのですから、希望を感じます。

ファンレベルで攻撃アプローチを確認するポイントは、いわゆるストロングポイントとなる選手を見つけることです。サッカーは相対的なスポーツです。団体競技ですけど、競技のレベルが上がるにつれ、原則は1on1の局面の連鎖で構成されるようになります。ですからストロングポイントというのは対峙する守備側の選手に対し絶対的な優位性を持てる選手を意味します。現在の東京の問題は、このような選手がいないこと。柏においては、クリスティアーノとIJ。つまり突き詰めていうと結局良い選手がいるチームが強いのです。もうちょっと足すと、良い選手を活かすサッカーをするチームが強いと言えます。柏は、クリスティアーノとIJがいて、彼らを活かすサッカーをしているから強いのです。

陰陽学のような話になりますけど、ものごとには表と裏があります。サッカーの攻撃アプローチにおいても然り。表となるクリスティアーノとIJを活かすためには、裏となる相棒のアタッカーの組み合わせの選択が重要になります。八戦負け無し、三位の好調柏をかたち作っているのは、というわけでクリスティアーノとIJの裏方役のチョイスにあるのだろうと思います。今日は武富とロペス。ロペスは、IJが典型的なライトウインガーアタッカーなるが故、左サイドにも同質のクオリティとなる脅威を置きたいということだと思います。実際柏は、序盤は左サイドに荷重を置いていました。これは試合中盤から後半にかけてIJを使いたいという考えに基づく作戦だったと思います。

武富は、あるいは今日は一枚下がっていたけどボギョン、もしくは中川が入ったとしても、ウイングとはまた違ったかたちで裏役を担います。それは影。クリスティアーノがその身をさらして守備側の意識を集めることによって生まれるスペースに、忍者のように忍び込むことが仕事です。このことは二つの柏の特長を表わしています。トップ下は、ボギョンにしろ武富にしろ中川にしろ、誰が入ってもクオリティに違いはなく、相手に応じた様々なオプションが使えることを意味します。もう一つは、クリスティアーノの圧倒的な技術こそが柏の要だということです。

柏の攻撃プランは愚直です。今日の試合展開なればこそなのかもしれませんけど、90分間基本的に同じ作戦を貫きます。中央で高い重心と時間を作る間にサイドアタックの状況を生み出します。サイドはシンメトリーで、左右ともWGと攻撃力の強いSBを絡ませることで局面の数的優位を作ります。柏は、この反復的な攻撃を非常にクイックに実践します。ここがネルシーニョ後期と達磨時代との大きな違いです。柏の攻撃には迷いがありません。パス回しにも淀みがなく、ただゴールをまっすぐに目指すという意思が明白に伝わります。まさに攻撃アプローチを洗練させているが故に成せる技だと思います。

東京は、継続して観ているぼくらだからこそ何をしようとしているのか分かるのだけれど、たぶん対戦相手の一般的なサポは、何をやりたいのか理解できないと思います。これもやっぱりストロングポイントが鍵です。東京には分かり易いストロングポイントがありません。なのでゴールに至るシナリオがありません。だから攻撃アプローチが不完全です。パスを回すという理念があったとしても、それは攻撃の組み立ての一部でしかありません。誰がどうやってゴールするのか、フィニッシュのかたちがありません。ピチーチ経験者が三人もいますけど、嘉人にしろ遼一にしろウタカにしろ、極めて有能なゴールゲッターではあっても、攻撃アプローチを形成する鍵になる選手ではありません。それは、彼らがいずれも技術に秀でた選手で、超絶的なフィジカルを持っていないからだろうと思います。

というわけで、試合を通じた作戦は、柏が迷いなくマイペースで臨めるのに対し、東京は受動的にならざるを得ない状況に最初からありました。柏のもう一つの特長は中盤のハードコンタクトです。東京のFK数の多さが中盤の主導権争いの激しさをものがたります。これは柏の伝統。このことも現在の東京の状態を想うと対象的に感じます。かつては、おそらく相手チームは東京を嫌な相手だと思っていたと思います。それはハードコンタクトを基調とするチームだったから。これによって、東京にも相手にも高い集中が生まれ、観る側も試合をタイトに感じられたのだと思います。今日の東京は、これを取り戻そうとします。もしかすると安間東京のテーマのひとつに、ハードコンタクトの回帰があるのかもしれません。

加えて、今日はパス精度に気を配っていました。とくに中盤で互いにタイトに守り合うなかでも、ボールロストやパスミスをしないように、高い集中で臨めていたと思います。攻撃アプローチが確立されていなくても、中盤を支配できれば自ずと重心が上がり、シュートアテンプトも増えていくだろうという考え方だったろうと思います。中盤の我慢比べの試合になると思いました。

でも、残念ながら決壊します。終わってみれば、我慢比べを維持できるのは、やっぱり洗練した攻撃アプローチを持っている側だと、当然のことなのだけど感じました。東京は、柏のサイドアタックの圧力に屈したのです。

28分。左ライン際の慶悟がなかの拳人に送ったパスが流れます。拳人とボギョンの争いはボギョンが征し、これをカット。このボールが武富に渡ります。ターンした武富は、ルックアップ。コースが見えたのでしょう。ペナルティエリア外からでしたけど迷わず左足を振り抜きました。柏1-0東京。

気をつけていたパスミスの、たぶん最初のクリティカルなミスを柏が逃さなかったというところです。東京にとっては、今日の唯一絶対の作戦が根底から崩れたのですから、この時点で実質終戦でした。とは言え、サッカーにはセットプレーという合法的なパワープレールールがありますから、もう一度集中を取り戻してワンチャンスを待つべきだったろうと思います。

そして、東京はその選択肢を採用します。先制された東京は、あらためて柏のサイドアタックの威力に敬意するかのように、WBを下げた5バックモードにし、リトリートします。中盤の個の能力と集中でイーブンな状態を作ることが難しいことが分かったので、支配することは断念し、いったん厚い守備網を作るという意図だと思います。

この作戦は成功します。前半の残りの時間は柏に攻め込まれますけど、ゴールを脅かされる危険なシーンはほとんどありませんでした。このままミニマムなビハインドで終了。

後半頭から安間さんが動きます。やっちに代えてウタカを投入します。拳人が右WB、慶悟がボランチにそれぞれスライド。ウタカは右シャドウに入ります。さて、今日の問題はここから。ハーフタイムにどのような確認があったのかとても興味深いところですけど、結果的には再攻撃を選択します。前がかりになります。シフトを少し変えて、シャドウではなく3トップになります。

前半の課題は中盤の主導権争いが劣勢になったことなのですけど、もう一つあります。それはチームの重心が下がってしまったことです。前節も同じ傾向にありました。前節はシャドウがつるべの動きをすることで基点を作り、重心を押し上げることができました。今日もまったく同じ課題に直面します。嘉人と慶悟に納まる位置が低いため、WBのサイドアタックにしろ永井のスプリントにしろ、単発に終わってしまっていました。

前半に興味深いシーンがありました。ヒョンスがやっちに対し高く位置取るよう指示するしぐさをしきりに見せていました。これは安間東京が攻撃志向であることを示しています。と同時に、WBのポジショニングこそ、攻撃志向を実現する鍵なんだと伺えます。宏介もしかり。ただWBにしてみれば、もちろん自らの守備技術と走力に負う部分がありながら、攻撃的なポジションを取るためにはインサイドの裏付けが必要でしょう。だから重心を高める必要があり、そのための基点作りこそが最重要課題なのだと思います。今日は、完全に失敗します。

そして、3トップにすることで、中盤の負荷が大きくなります。慶悟と洋次郎が基点の役割も担います。中盤の守備が一枚になる場面も増え、リスクが高くなります。さらにWBの位置を高くします。アグレッシブになりますけど、当然背後にリスクができます。CBが三枚いるとは言え、まる裸な状態になる危険性が生まれます。そして、現実になります。

60分。ソギョンのスローインから。左ライン際でクリスティアーノからのパスを受けたロペスが縦に仕掛けて徳永を振り切ります。ロペスはルックアップ。このときゴール前は武富にまる、IJに宏介がついていて、2on2。ただ少し宏介がIJから離れていて、マークミスになっていました。ロペスはミスを見逃しません。ピンポイントのクロスに備えるIJに宏介はつききれません。IJはフリーで合わせました。柏2-0東京。

さらに追い打ちをかけられます。

67分。柏の自陣からのビルドアップから。右ライン際に流れたクリスティアーノが起点になります。クリスティアーノは、寄せる宏介とまるの間を通して中央の武富に渡します。武富はダイレクトでIJに落とします。このパス交換につられて洋次郎がIJに寄せます。これを見たIJは武富にタベーラ。フリーで抜け出した武富は、彰洋の位置を確認。ワントラップでタイミングを整えてゴール右隅に決めました。柏3-0東京。

そして、消沈した東京の気持ちを粉砕する、インテリジェントなゴールでとどめをさされます。

69分。ほぼゴール正面のFKを、クリスティアーノが跳ぶ壁の足元をゴロで抜くスライダーで決めました。ゴラッソ。柏4-0東京。

これを受け、安間さんが動きます。拳人に代えて遼一をトップに投入します。永井が右WBに回ります。意図した作戦変更はなく、ただ単純に攻撃系の選手を加えただけです。

それでも一矢報いることができました。

75分。ウタカが中山に倒されて得たPKを見ずから決めました。柏4-1東京。

安間さんが動きます。宏介に代えて諒也を同じく左WBに投入します。セットプレーキッカーのテイストを変えようとしたのだと思います。セットプレーに関しては、今後も期待ができると思います。ターゲットマンができましたから。今日も明らかにヒョンスと拳人をターゲットにしていました。見え見えであっても頭にヒットさせられたシーンが何度かありました。キッカーの精度とタイミングによっては、残り試合のひとつの武器になるような気がします。

となれば、いっそ攻撃アプローチをセットプレーに依存してみるのも良いかもしれません。超つまんないのであくまでも今年残り試合限りだけど。セットプレーをコンペティティブにしておくことは来年以降のことを考えても無駄ではないと思います。

さて、失点するまではとても良い内容だったので静観していた下平さんが一気にクローズにかかります。まずソギョンに代えて輪湖を同じく左SBに投入します。

続いて武富に代えて中川を同じくトップ下に投入します。

〆は、小池に代えて古賀を同じく右SBに投入します。すべてコンディションを考慮したセットアップだと思います。

このまま試合終了。柏4-1東京。

アイロニーではなく、監督交代後、早々と完敗したことは結果的に良かったと思います。変に未練を残すことなく、ここ数年の迷走の清算する決心がつくから。ぼくらも、今年の残りは、東京のひとつの時代の終焉を、サウダージとともに感じる機会になると思います。これは、ひとつのチームを点ではなく線として捉えることを選んだ者にとって不可避な経験だと思います。微妙な紆余曲折はあったにせよ、基本的には右肩上がりで登ってきたわけですから、ほぼはじめての真の下降線を耐えることは心理面で結構難儀です。それでもJ1にいられればまずは良いかなと個人的には思います。

季節は本格的な秋へ。来年の浮上のきっかけを、ほんのちょっとでもいいから垣間見たいなと期待しつつ、残り試合のひとつ一つを楽しみたいと思います。


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